2021年4月19日に、昨年から予告していたCore Web Vitalsのランキングシグナル導入を延期するという発表と合わせ、この導入を"ページエクスペリエンス アップデート"と呼ぶことがGoogleから発表されました。本特集では、「ページエクスペリエンス アップデートのキホン徹底解説」と題して、ページエクスペリエンス アップデートとCore Web Vitalsについて以下の4記事にわたって解説します。
記事(1):ページエクスペリエンス アップデートとは?変更点を把握しておこう
記事(2):Core Web Vitalsとは?指標の意味と計測方法を理解しよう
記事(3):Core Web Vitalsの改善方法とは?
Q&A:SEO担当者必見!Core Web Vitals(コアウェブバイタル)でよくある質問14選
ページエクスペリエンス アップデートとは
2021年4月19日の発表時に”ページエクスペリエンス アップデート”という名称がつきましたが、このアップデートではCore Web Vitalsのランキングシグナル導入以外にも複数の変更が実施されます。
ランキングシグナルの変更
・Core Web Vitalsのランキングシグナル導入
Core Web Vitalsと呼ばれるページエクスペリエンスを評価する指標が、自然検索の順位決定時に考慮されるようになります。Core Web Vitalsに含まれる具体的な指標の説明は次の記事で解説しますが、ユーザーがストレスなく閲覧できるページをより検索結果で見つけやすくすることが狙いです。ランキングシグナルへの導入は当初2021年5月と予告されていましたが、2021年6月中旬から8月末までに段階的に展開すると、延期が発表されています。
また、Core Web Vitalsがランキングシグナルに及ぼす影響はさほど大きくないことも認識しておきましょう。Googleは検索キーワードに対するWebページの関連性やWebページの品質を特に重要視しているため、いくらCore Web Vitalsが優れていても関連性や品質が評価できない場合は上位に表示されることはありません。同程度の関連性・品質のページが複数あった場合に、Core Web Vitalsが優れている方が上位に表示されるくらいの影響であると理解しておくとよいでしょう。
Google 検索面における変更
・トップストーリーカルーセル(トップニュース枠)掲載の要件緩和
これまではAMPに対応したページであることが必須要件でしたが、ページエクスペリエンス アップデート後はこの条件がなくなります。これにより、AMP非対応のサイトであってもトップニュース枠の表示を期待できるようになります。あわせて、Core Web Vitalsのスコアやページエクスペリエンスのステータスも影響しないことが明言されていますが、Google ニュースのコンテンツポリシーを満たすことは必須要件となります。
参考:Google ニュースのポリシー
・AMPを示すバッジ表示の廃止
これまでAMPに対応したページでは、検索結果画面でAMPページであることを示すバッジが表示されていましたが、これが廃止になります。Googleは、AMPに限定せずにページエクスペリエンスが優れたページを検索結果で特定できるようにする取り組みを進めているようです。
(図1:検索結果に表示されるAMPバッジの例 ※2021年5月時点)
・Signed Exchange(SXG)がすべてのコンテンツでサポート対象に
これまでSXGは、主にAMPページがAMP CDNキャッシュサーバーから配信された際にブラウザでオリジナル(本来のコンテンツ発信元の)ドメインを表示できないという課題を解決するために活用されていましたが、今回の変更でGoogle 検索において非AMPページでもサポートされるようになります。これによりSXGに対応しているページは、検索結果に表示されると主要なリソースがプリフェッチされるため、より高速な読み込みが可能になります。
Google 検索で重要視されるページエクスペリエンスの種類
ランキングシグナルに導入済みの指標も含め、Google 検索で重要視されているページエクスペリエンスは5種類あります。今年6月中旬から予定されているページエクスペリエンス アップデートでは、図2の緑色の枠で囲まれたCore Web Vitalsが新たにランキングシグナルに導入されることになります。
参照元:Timing for bringing page experience to Google Search
(図2:ランキングシグナルに使われるページエクスペリンスの種類)
・Core Web Vitals
今年6月中旬から8月末にかけてランキングシグナルに導入される指標です。ページの読込速度やインタラクティブ性、視覚的な安定性(コンテンツのズレなど)の観点で優れたページが評価されるようになります。
・モバイルフレンドリー
フォントの大きさや要素の位置関係などがモバイルでの閲覧に適している状態が評価されます。
・セーフブラウジング
ページにマルウェアなどの悪意のあるコンテンツや不正なコンテンツが含まれていないことが評価されます。
・HTTPS
URLがHTTPでなく、HTTPSで配信されていることが評価されます。
・煩わしいインタースティシャルの非表示
モバイル検索からユーザーがページに遷移したときに、簡単に本来のコンテンツにアクセスできる状態が評価されます。ページに遷移したときや閲覧中に、メインのコンテンツを覆い隠すようなポップアップを表示したり、メインのコンテンツを見る前に閉じる必要のあるスタンドアロン型のインタースティシャルを表示したりするページは、順位が低くなる場合があります。
ページエクスペリエンスを総合的に把握するためのレポートがサーチコンソールに登場
2021年4月に新たに登場した「モバイルでのページ エクスペリエンス」レポートで、Googleが重視するページエクスペリエンスに関する指標を総合的に確認できるようになりました。
(図3:Google サーチコンソール「モバイルでのページ エクスペリエンス」レポートの例)
これまで、個々のページエクスペリエンスを確認するためのレポート(Core Web Vitalsを確認できる「ウェブに関する主な指標」レポート、モバイルフレンドリーかどうかを確認できる「モバイル ユーザビリティ」レポート)はありましたが、新たなレポートではページエクスペリエンスの総合的な状況を把握することができます。
また、「検索パフォーマンス」レポートのフィルタ機能も改良されており、ページエクスペリエンスが良好なURLのみにフィルタしてパフォーマンスを確認できるようになっています。
(図4:Google サーチコンソール「検索パフォーマンス」の新たなフィルタ)
Google 検索でページエクスペリエンスが「良好」になる基準
Google 検索でページエクスペリエンスが「良好」になるための基準をまとめると以下の通りとなります。前述の「モバイルでのページ エクスペリエンス」レポートを活用し、運営しているWebサイトの状況を確認しましょう。
(図5:Google 検索でページエクスペリエンスが「良好」になる基準)
参考:ページ エクスペリエンス レポート - Search Console ヘルプ
まとめ
本記事では、6月中旬から導入が予定されているページエクスペリエンス アップデートの概要について解説しました。対応が求められるCore Web Vitalsについては次の記事で詳しく説明していきます。
▼関連資料
この記事の著者
増渕 佑美
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタントとして従事。ソリューション部署に所属。通販や人材などデータベース型サイトを中心に経験を積んでおり、現在はメディアサイトのSEOも担当し幅を広げている。
好きなこと:散歩、パズル、動物の動画をみること
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタント...