Webサイトを運営していると、内容が同一または類似したWebページが複数生成されることは珍しくありません。こういったケースでは、SEO担当者はインデックスしてほしいURL(正規URL)を検索エンジンに伝えることが推奨されます。本記事では、SEO担当者向けに正規URLを伝える方法のひとつであるcanonicalについて解説します。また本記事では、検索エンジンがGoogleの場合を前提としています。
canonicalとは?
canonicalとは、検索エンジンに正規URLを示すときに使用するタグのことを指します。
Webサイトを運営していると、同一の(もしくは類似した)Webページが複数生成されることは珍しくありません。
(図1:類似ページが複数生成される場合のイメージ)
これ自体に問題はありませんが、検索エンジンはこれらを重複コンテンツと判定し、ひとつのURLのみインデックスします。重複コンテンツをすべてインデックスして検索結果に同一(もしくは類似した)ページを複数表示してしまうと、検索者の利便性を低下させるためです。この時、Webサイト運営者が検索エンジン向けに何も指示していない場合は、インデックスするURLは検索エンジン側で自動的に選択されます。
(図2:重複コンテンツを検知するとひとつのURLのみがインデックスされる)
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Webサイト運営者側でインデックスさせるURL(正規URL)を指定したい場合は、正規化と呼ばれる対応をおこないます。この正規化の手法のひとつに、canonicalタグを利用した方法があります。
(図3:正規化のイメージ)
正規URLを伝える(正規化)方法
canonical以外にも、正規URLを伝える方法は複数あります。目的や状況に応じて適切な方法を選択しましょう。本記事では、下記表ひとつめのcanonical(<link>タグ)について具体的に紹介しています。
手法 | 説明 | メリット | デメリット |
canonical (<link>タグ) |
重複するWebページのHTMLに正規URLを示す<link>タグを設置する |
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canonical (HTTPヘッダー) |
HTTPヘッダーでrel=canonicalを送信する |
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サイトマップ | サイトマップで正規URLを指定する |
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301リダイレクト | 重複するWebページへの訪問者(クローラ含む)をすべて正規URLに転送する |
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参考:重複した URL を正規タグに統合する | Google 検索セントラル | ドキュメント | Google Developers
自己参照canonicalの必要性
自己参照canonicalとは、正規URLのcanonicalタグで自身のURLを指定することを指します。
(図4:自己参照canonicalのイメージ)
Webでページを公開していると、SNSで共有された場合や外部からリンクを設置された場合に、意図しないパラメータがURLに付与されることがあります。こういったURLを検索エンジンが検知すると、正規URLを正しく認識してもらえない恐れがあります。しかし、あらかじめ正規URLに自己参照canonicalを設定しておくと、意図しないパラメータがついてもcanonical先が正規URLを示す状態を作れます。
このため、正規URLを正しく伝えられるよう自己参照canonicalは、設定しておくことが推奨されています。
canonicalの利用を検討すべきシーン
重複コンテンツが生成されてしまう場面はさまざまですが、本章ではよくあるcanonicalの利用シーンをいくつかご紹介します。
さまざまな種類のデバイスに対応するために、複数のURLを用意している
PC用ページとモバイル用ページで、URLを分けているケースなどが該当します。
・URL例
https://example.com/news/koala-rampage(PC用ページ) https://m.example.com/news/koala-rampage(モバイル用ページ) |
・対処法
別々のURLではなく、レスポンシブウェブデザインもしくは動的な配信で対応することにより、一意のURLで運営することができます。
(図5:モバイルサイトを実装する3つの方法)
参照元:モバイル設定を選択する | 検索セントラル | Google Developers
別々のURLで対応する場合は、PC用URLとモバイル用URLでアノテーション(canonicalとalte-rnate)を指定します。
参考:別々の URL | 検索セントラル | Google Developers
検索パラメータやセッションIDなどで動的URLを利用している
URL末尾にパラメータを付与しているケースが該当します。一般的には、重複する静的なURLと動的なURLがある場合、静的なURLへ正規化します。
・URL例
https://www.example.com/products?category=dresses&color=green https://www.example.com/dresses/green/greendress.html |
・対処法
インデックスさせたい正規URLに向けて、その他のURLから正規化処理をおこないます。
参考:重複した URL を正規 URL に統合する | Google 検索セントラル | Google Developers
詳細ページを複数カテゴリに含めており、カテゴリを示す文字列を含むURLルールで運用している
通販サイトの商品詳細ページやブログサイトの記事ページなどを、複数のカテゴリに含めると生成される場合があります。
・URL例
https://blog.example.com/dresses/green-dresses-are-awesome/ https://blog.example.com/green-things/green-dresses-are-awesome/ |
・対処法
カテゴリを示す文字列を含めないURLルールで運用することにより、一意のURLで運営することができます。利用しているシステムの都合などで別々のURLで対応する必要がある場合は、正規URLを決め、そちらに向けて正規化処理をおこなうことを検討しましょう。
canonicalの設置方法
canonicalは、正しく記述しないと検索エンジンが読み取ってくれないため、ルールを守って記述します。
<head>セクション内に記述する
canonicalは記述位置が決まっており、<head>セクション内に含めることになっています。
<body>に記述すると、検索エンジンは正しく認識しないため注意しましょう。
<!DOCTYPE html> <html> <head> <link rel="canonical" href="https://example.com/aaa/" /> (...) </head> <body> (...) </body> </html> |
canonical先は、絶対参照で記述する
URLの記述方法には、絶対参照と相対参照がありますが、canonicalを指定するときは、絶対参照での記述が推奨されています。適切に検索エンジンに認識してもらうためにも、canonical先のURLは絶対参照で記述しましょう。
絶対参照:https://example.com/aaa/bbb/ →canonical指定時には、こちらの方法で記述する 相対参照:/aaa/bbb/ →canonical指定時には使わない |
正規化が認識されているか確認する方法
GoogleサーチコンソールのURL検査ツールで確認が可能です。検査結果の「ユーザーが指定した正規URL」を確認してみましょう。Webサイト管理者側が指定した正規URLが「ユーザーが指定した正規URL」と一致していれば認識されている状態です。
(図6:URL検査ツールで正規化が認識されているか確認する例)
GoogleがWebサイト管理者の指定したURLと異なるURLを正規URLとしている場合は、「Googleが選択した正規URL」にそのURLが記述されます。
(図7:Googleが選択した正規URLとWebサイト管理者が指定した正規URLが異なっている例)
canonicalは確実に反映されるわけではない
Googleは、正規URLの決定にcanonicalを含めた複数の要因を加味しています。このため、can-onicalは無視されることもあると認識しておくと良いでしょう。Google側の処理の不具合でca-nonicalが機能していないような場合は、Googleサーチコンソールから再クロールをリクエストすることで問題を解決できることがありますが、これで解決しない場合は、Googleが意図的にcanonicalを無視している可能性が高いです。この場合は、canonicalの目的や必要性などを改めて確認し、どうしても正規化したい時は別途方法を検討する必要があります。
canonicalが無視されているURLは、Googleサーチコンソールのインデックス カバレッジ レポートの「除外>重複しています。Googleにより、ユーザーがマークしたページとは異なるページが正規ページとして選択されました」から確認できます。
(図8:canonicalが無視されているURLを確認する例)
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まとめ
正規URLを検索エンジンに伝える手法のひとつであるcanonicalについて解説しました。正しく使うことでインデックスさせたいURLを検索エンジンに伝えることができますが、誤った使い方をすると意図しない自然検索流入の減少を招く恐れがあるため、慎重に利用するようにしましょう。重複コンテンツやURLの正規化で課題をお持ちの場合は、当社にお問い合わせください。
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この記事の著者
増渕 佑美
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタントとして従事。ソリューション部署に所属。通販や人材などデータベース型サイトを中心に経験を積んでおり、現在はメディアサイトのSEOも担当し幅を広げている。
好きなこと:散歩、パズル、動物の動画をみること
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタント...