運用型広告の成否は、広告代理店や制作会社の質に大きく左右されるため、その選定は重要です。しかしながら、それらの会社の運用実績が表に出ることはほぼないため、何を基準にして選べばいいのか、悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、運用型広告のクリエイティブ制作を依頼する会社を選ぶポイントについて、アイレップ クリエイティブUnit 責任者 湯浅直人氏に聞きました。
広告代理店や制作会社に依頼する目的を明確に
- 運用型広告のクリエイティブ制作を外部に依頼するにあたって、どのような基準で広告代理店や制作会社を選べばいいのでしょうか?
湯浅
運用型広告のクリエイティブは、いいグラフィックや映像が作れるかといった表層部分が判断指標ではないので、難しいですよね。いわゆる普通の広告クリエイティブであれば、広告賞を取った会社だとか、有名なアートディレクターがいる会社といった判断も可能ですが、運用型広告の場合は、運用実績(≒広告効果)が外部に出ることはまずないので、会社名や担当者名だけでは判断ができません。
つまり、明確な判断指標がないため、結局は会社の知名度、大きさ、Web記事で見かけるなどのイメージだったり、制作単価を優先して選んだり、知り合いから紹介されたという理由で選びがちです。
- 知り合いの会社に頼むとか、制作単価の安さで選ぶことは多いようですね。
湯浅
残念ですが、よく見かけるパターンではありますね。結果的によい成果を出せる場合もあるので、一概にダメとは言えないのですが。
- それ以外の基準で外部の会社に依頼したいときには、どういったポイントで選べばいいのでしょうか?
湯浅
広告代理店や制作会社に依頼する際には、「何がしたいのか」の目的を明確にすることが大事です。当たり前のことなのですが、案外この意識が抜けているケースはよく見かけます。逆説的ではありますが、目的を達成できるクリエイティブがいいクリエイティブだということをまず意識していただきたいと思います。例えば、「Webでの集客を増やしたい」という目的があったとして「クリエイティブが良くないので改善したい」とバナー制作や動画制作の相談を受けたとします。よくよく分析してみると、流入後のサイト構造に問題があったり、広告のターゲティングとクリエイティブの相性が悪かったりなど、根本原因が表層的な広告クリエイティブ以外の部分にあるケースはよくあります。つまり、クリエイティブの相談を起点にして分析やプランニングまで任せられるかどうか、が重要な観点です。
3つのレイヤーを一気通貫で担当できる会社かどうか
- 目的を設定した上で、依頼する会社を選ぶポイントはなんでしょうか?
湯浅
それは、運用型広告の3つのレイヤーを一気通貫して担当してくれるかどうかです。運用型広告クリエイティブの仕事には、大きく分けて以下の3つのレイヤーがあります。
① プランニング
② 実制作
③ 効果検証
1つ目は、要件を決める、課題を決める、戦略を立てるといった、プランニングのレイヤー。2つ目は、ディレクターやデザイナーとやり取りをして実際に制作していく、実制作のレイヤー。3つ目は、結果が出たときにそれをどう考察するか、次のアクションを考えるかといった効果検証のレイヤーです。
前述の例のように、この3つのレイヤーがバラバラだと成果を出すことは非常に難しいので、一気通貫で担当してくれる会社を選ぶ必要があります。
- ただ、広告代理店や制作会社のWebサイトを見て、一気通貫で担当してくれるかどうかを判断するのは難しそうです。
湯浅
確かに、対外的に出ている情報では判断するのは難しいですが、会社によっては完全分業制を掲げているところもありますので、そうした情報を考慮して検討するといいと思います。もう少し具体的に言うと、クリエイティブの担当ディレクターが、プランニングと実制作と効果検証をまとめて見ている会社が成果を出せる確率が上がるということです。繰り返しになりますが、クリエイティブとひとことで言っても、成果を出すための変数はプランニング~効果検証までに散らばっています。バケツリレー型の完全分業制で対応する会社に比べ、ディレクターが一気通貫で対応する会社はプランニング・実制作・効果検証の3レイヤーを全体最適で分析することができます。
大量制作アピールやツール導入系は要注意
- ほかに選択のポイントはありますか?
湯浅
クリエイティブ制作の量や方法に関する考え方について、確認することをお勧めしたいです。クリエイティブをたくさん作れることを売りにしている会社や、ツールやソリューションを売ろうとする広告代理店や制作会社は、慎重に検討したほうがよいと考えます。
第2回でお話ししましたが、運用型広告のクリエイティブは、たくさん作ればいいというものではありません。適切に機械学習をおこなわせるためにも、過去のデータなどに基づいて最適な分量を制作・運用していく必要があります。クリエイティブの大量生産と成果はかならずしも比例しないのです。さらにいえば、大量に広告を配信するということは、その分広告出稿費を消費しているわけで、機会損失と捉えることもできます。
ツールを導入し、クリエイティブのパターンを大量に作ることで成功するケースも一定数はありますが、ギャンブルに近い施策なのは確かです。だからこそ、そこに多額の広告費を投下することには慎重に判断するべきです。
- 頼む側も安易な提案には乗らないという意識が必要ですね。目的をきちんと設定しておくというのは、こういうところでも効果を発揮しそうです。
湯浅
そうかもしれませんね。私はクライアント企業の担当者からいろいろ話を聞く機会がありますが、「とりあえずクリエイティブの数を作ったけど成果が出なかった」「ツールを入れてみたけど成果が出なかった」という話はよく伺います。逆に言えば、そういうビジネスをしている会社が、たくさんあるのだろうと想像できます。
だからこそ、これから外部に依頼する際には、ここまでお話ししたポイントに留意して選んでいただきたいと思います。
成果の継続性を重視するアイレップ
- 当然アイレップはすべてのポイントを満たしているわけですよね?
湯浅
完全にポジショントークの流れですが(笑)、上記2つのポイントは、「単発」の成果や売り上げではなく、「成果の継続性」を最も重視するアイレップにとっても、非常に大事にしているポイントです。
先ほど、クリエイティブ制作における3つのレイヤーがバラバラでは成果が出にくいと言いましたが、アイレップではこれを、クリエイティブ制作担当者の1つの業務フローとして標準化しています。
また、アイレップでは、制作の売上目標を個人の評価指標に組み込んでいないので、大量のクリエイティブを売り込む担当者はいない、ということも、少なからず影響はあると思います。
手厚い教育体制で均一な品質を維持
- 3レイヤーの一気通貫を標準業務としているということは、反面、個々のディレクターが抱える業務範囲が非常に膨大なものになるという問題があります。当然ながら、その品質管理が大変ですし、この3つの領域を実施できる人材の確保も大変だと思いますが、アイレップではどのように対処しているのでしょうか?
湯浅
その問題解消のためにアイレップでは、入社時の教育カリキュラムを、手厚すぎるくらいの期間と分量を用意しています。入社後3カ月はこのカリキュラムに沿ってインプットしてもらうことで、3つのレイヤーに必要な知識を満遍なく身につけたディレクターを育成しています。
特にマルチタスクな業務においては、たまたま能力の高い人材がいたかどうかがプロジェクト成功の可否に影響したということはよく見聞します。そういった属人性に左右されることなく、手厚い教育体制によって安定した品質を提供できているのは、強調したいところです。最近はインハウス化への流れも見られますが、やはりこうした人材を本業以外に確保するのは企業にとって非常に大変なことでもあるはずなので、ぜひ、こういった点は重視していただきたいと思います。
また「成果の継続性」を重視する姿勢はクライアント企業からも高く評価いただいており、われわれの部署の運用型広告のクリエイティブ制作は、お取引を開始したクライアント企業のほぼすべてが継続を希望されています。ご興味のある担当者の方は、ぜひ一度ご相談ください。
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この記事の著者
湯浅 直人
2013年アイレップ入社。デザイナー/ディレクターを経て、2016年よりマネージャーに就任。プランニング・施策設計・デザイン・効果検証など幅広い領域を守備範囲とする。さまざまな商材のクライアント案件において、LP/バナー等クリエイティブを起点とした成果改善を経験。2018年度マネージャーオブザイヤー受賞。2022年よりクリエイティブ部署責任者。
2013年アイレップ入社。デザイナー/ディレクターを経て、2...
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