「ライブコマース業界最前線 ライブコマース実践ウェビナー 〜ゆうこすとアイレップが定義するコマーサー人材とは〜」ウェビナーレポート 後編
2021年3月21日にアイレップは株式会社321と業務提携し、ライブコマースに特化した配信者人材である「コマーサー」の育成・キャスティング事業を開始しました。
本記事では、業務提携に伴い5月27日(木)にアイレップが開催したウェビナー「ライブコマース業界最前線 ライブコマース実践ウェビナー 〜ゆうこすとアイレップが定義するコマーサー人材とは〜」にてご紹介した「コマーサー」に関する最新情報の一部を抜粋し、前編・後編でお伝えします。
コマーサーに必要な要素や、テクニックについてご紹介してきた前編に続き、後編では「特別コーナー〜コマーサーの裏側見せます!〜」と題して実施した、ゆうこすのライブコマース実践をはじめ、さまざまなコーナー内容を振り返ります。
ウェビナーには、株式会社アイレップよりディレクター池田好伸、ライブコマースエバンジェリストの武者慶佑が登壇、そして株式会社321からファウンダーである菅本裕子さん(以下、ゆうこす)をお招きしました。お集まりいただいた視聴者の方にも、リアルタイムでコメントを書き込むことでインタラクティブにご参加いただき、ライブコマース風にコミュニケーションを取りながら実施したウェビナーは、実施後のアンケートでもご好評をいただきました。
記事から、少しでも当日の雰囲気も感じていただけましたら幸いです。
前編はこちら。
特別コーナー〜コマーサーの裏側見せます!〜
武者:
ライブコマースの色々なテクニックを伺ってきましたが、それをこれから、実際に皆さんのスマートフォンで感じていただきたいと思います!ゆうこすさん、準備は大丈夫でしょうか?
ゆうこす:
大丈夫です!ご説明すると、今から私のスキンケアブランド「YOAN」の商品を配信させていただきます。いきなり配信すると失礼なので、事前にストーリーズからの告知などもしています!
今日の配信は、実は今売り切れの商品なのですが、もうすぐ再販売をするので期待値を上げるために配信します。なので今回は、コミュニティを重視した配信になると思います。まずは、いつも手元に用意しているものをご紹介しますね!
ゆうこすがライブ配信で用意するもの・スマホ |
池田:
どんな時に紙とペンを使っていますか?
ゆうこす:
発売日や成分情報など、必ず伝えなければならない部分が分かるように商品資料を用意します。他には、視聴者さんからの質問にその場でお答えできなかった時など、「答えられません、ごめんなさい」ではなく、「調べて後でストーリー発信しますね!」とポジティブに返し、メモして後で回答するようにしていますね。
ウェビナー中にリアル配信!ゆうこすが実践するライブコマースのポイント
武者:
それでは、ゆうこすさんのコメントさばきや、ライブコマースのテクニックを盗んでいただければと思います。それでは、よろしくお願いします!
当日のウェビナーライブコマース配信の様子はこちら
ゆうこすさんが実施したライブコマース配信のポイント
(1)挨拶
1.視聴者へのお礼
2.実施内容説明
3.実施時間の連絡
4.視聴者へのお礼
▼ポイント ・最初は両手で手を振りながら笑顔で挨拶をする |
両手で手を振るゆうこす
(2)コメント読み上げ
1.アカウント名とコメントを読み上げ
2.コメントに対して返答やお礼
3.途中から参加してきた方のために再度実施内容説明
4.さらにアカウント名を読み上げてコメント返答
▼ポイント ・ファンが多いゆうこすアカウントからの配信のため、まずはゆうこすの名前を呼んでくれたファンへ、名前読み上げつつコメントする |
(3)視聴者アンケート
1.事前アンケートの説明
2.アンケートの結果を発表
3.視聴者にオイルの使用の有無を質問
4.コメント読み上げ、返答
▼ポイント ・事前にInstagramのストーリーズでアンケートを実施し、その結果を発表する |
(4)商品発売情報
1. 商品の情報説明(発売日など)
2. 3度目の実施内容説明
3. コメント読み上げ、お礼
▼ポイント ・発売日を明確に伝える |
(5)テクスチャー紹介
1. テクスチャーを見せつつ、ゆうこす自身の使い方を説明
2. 実際に肌へ塗布
3. つけた感想
4. 商品の押しポイントやこだわりを説明
5. どのような人におすすめか紹介
▼ポイント ・よく見えるように、レンズに向かって商品を近づけて紹介する |
(6)使い方
1. 使用方法に関するコメントを読み上げ
2. 使用方法の詳細説明
3. 他の使用方法に関するコメント読み上げ
4. コメント返答
5. 使用方法による共感性のあるコメントや実際の利用者の声について読み上げ
▼ポイント ・話している間もどんなコメントがきているか把握し、テーマが変わる時にそのコメントを利用する |
(7)香り
1. 香りに関するコメントとアカウント名を読み上げ・お礼
2. 商品の香りの紹介
3. どんな人におすすめかを紹介
4. ライブ視聴者にお礼
▼ポイント ・香りの成分を紹介して、香りの印象を伝える |
(8)買える場所
1. 購入に関するコメントとアカウント名を読み上げ
2. どこで売っているかを案内
3. 店舗へ誘導するメッセージ
▼ポイント ・購入に関連するコメントから、自然に購入誘導を実施する |
(9)外箱デザイン
1. 裏話の前振り
2. 外箱作成秘話について言及
▼ポイント ・「ここだけの裏話」感を演出する |
外箱のデザインについて語るゆうこす
(10)締め
1. 今回の配信振り返り
2. アーカイブ(IGTV)への誘導
3. お礼
▼ポイント ・途中から来られた視聴者や再度詳しくみたい方へアーカイブ(IGTV)の紹介をする |
ウェビナー中のリアルライブコマース配信を振り返って
ライブコマースのスキルをどのように身に着けたか
武者:
まずすごいのは、15分間ほぼ止まってないですよね。台本があるわけでもないのに。
ゆうこす:
ないですないです!プロコマーサーとしての意地を…見せましたよ!今(笑)!
武者:
これは練習の賜物なんですかね。いつの間にこんなライブコマースができるようになったんでしょうか?最初からできました?
ゆうこす:
私の場合は、視聴者が少ない時から少しずつやっていたから度胸がついたのかなとも思います。経験の蓄積もあるかもしれません。あとは、「暗く見える」「地味に見える」など自身で感じて改善を繰り返してきたから、ここまで恥ずかしがらずできるようになったのかなと思いますね(笑)。
ECサイトでは伝わらないことを伝える
池田:
今回僕が見ていて秀逸だなと思った点があるんですけど、通常ECサイトだと伝わらないことを伝えているんですよね。
ゆうこす:
そうそう〜!
池田:
例えば、香りやオイルのテクスチャー感や外箱のパッケージのことって、LPやECサイトでは伝わらない部分ですよね。そういったポイントを選ばれて配信されていると感じましたね。
ゆうこす:
わかっていることを配信で言われてもわかっているよ!と視聴者も思いますし、だったらサクッとECサイトを見た方が面白いと思います。人気アーティストとかも、ブログとかでアルバム制作の背景を書いたりしますよね。
コアなファンづくりにおいて大事なことはふたつあると思っていて、ひとつはリアルタイムでコミュニケーションを取ること。ふたつ目は裏側の話をすることなんです。視聴者の方にオタクになってもらうには、「裏側の話」が必要だと思うので、そこは必ず入れ込むように意識していますね。
321プロコマーサーのご紹介
池田:
それではこれから、株式会社321に所属するプロコマーサーをご紹介いただきたいと思います。
武者:
ゆうこすさんから、お一人ずつおすすめのポイントをご説明いただけますか?今日ご参加いただいた企業さんにもゆうこすさん以外のプロコマーサーの方もぜひ知っていただきたいなと思います。
ゆべし
ゆうこすおすすめポイント:
元々、PocochaやSHOWROOMで人気のライバーでした。ナチュラルコスメやオーガニックが好きで、発信していきたいということで、ライブ配信と並行してYouTubeもスタートしてみたら、登録者数が1万人を超えました。私がすごいと思ったのが、チャンネル登録者数より再生数が毎回伸びていて、どんどん新しい人に届いているところが素晴らしいなと思っています。ファッションモデルの活動もしていて、お洋服の見せ方も上手だなと思っているのでファッション案件にも向いています。
しげんくん
ゆうこすおすすめポイント:
彼は一番視聴者数も課金率も多く、321のトップライバーです。3年ほど前はYouTubeをやっていて、恋愛事情でヒモニートになったことがきっかけで321に入りました。彼は最初321のスタッフとして入ったのですが、ライバーの気持ちを知りたいということで、自ら配信してみたところトップライバーになったんですよ。今もスタッフなので裏方をやりつつ、ライバーをやっているので、マーケティング思考もありつつ、タレント活動もできるところが強みです。過剰なリアクションがすごい上手です。女性ファンが多いですね。
ぴいすけ
ゆうこすおすすめポイント:
321のトップライバーであり、美容ライターもしているので、コスメの紹介が本当にうまいなと思いますね。実際に美容記事を書いているのでレビューなど詳細説明もできます。
らーら
ゆうこすおすすめポイント:
見てわかると思うんですけど、顔がめっちゃ可愛いんですね。ビジュアルも大事ですし、彼女は元々カラコンのイメージモデルで活躍していたり、美容やヘアアレンジをしていたりするのでよく喋れるんじゃないかなと思います。
もとかの
ゆうこすおすすめポイント:
この前NHKの番組でライバー代表として特集されていました。現役大学生でTikTokも約11万人のフォロワーがいて、ファン層も男女半々くらいなので、ティーン代表という感じです。コスメもファッションもマルチに話せるんじゃないかなと思います。
ねこみ
ゆうこすおすすめポイント:
ねこみちゃんは主婦代表という感じで、元々芸能活動をおこなっていて、朝の情報番組のレポーターとしても活躍していました。現在はライバーとして、主婦ならではの食品やキッチン用品などライブ配信において相性がいいのではないかと思います。
あさみ
ゆうこすおすすめポイント:
あさみちゃんもすごく可愛くて、本人は雑貨・家電・家具が好きと言っているんですけど、私から見てこの子の何が一番すごいかというと、コメントのさばき方や場を回すことですね。彼女は、ライブ配信界のアナウンサーになりたいと言っているので、インハウスコマーサーさんの配信などで、専門的なことは話せるけど進行できないというときに彼女を入れていただければと思います。MC的な役割もできます。
おりょうさん
ゆうこすおすすめポイント:
男性のライバーなんですけど、鹿児島出身で、GUでバイトしていました。接客において九州大会で1位を獲ったということで、まさにライバーになるしかない人材です。昔人気ショップ店員が雑誌とか出ていたと思うんですけど、まさに人気ショップ店員がライバーだと私は思っているので、特に彼は話も面白いですし、ファッションのことを話していただければと思います。
りり
ゆうこすおすすめポイント:
英語がペラペラ話せる現役CAさんで、中国語も勉強中です。海外の方向けの商材や、海外案件に関しても、向いていると思います。
Air
ゆうこすおすすめポイント:
Airちゃんは本人に会った時にびっくりしたんですけど、本当に9頭身なんですよ。すらっとしていて綺麗なので、ファッションの配信には映えますよね。意外に、釣りやクレーンゲームが好きだそうです。「ほんとに?」と思ったんですけど、クレーンゲーム、びっくりするほど上手かったです(笑)。クレーンゲーム系の案件も、もしあればお願いしたいなと思います。
ゆうこす:
いろんなタレントがいますので、ぜひご相談ください。
武者:
以前、ゆうこすさんのインタビューを元に教科書を作らせていただいたじゃないですか。そのあたりも、みなさんは学ばれて、ゆうこすさんのノウハウをインストールしている感じですか?
ゆうこす:
そうですね!それに加えて日々の新しい気づきがあったりとか、新しい機能の追加があったら教えたりとか、シェアをこれからもっともっとしていきたいと思います。
武者:
アイレップでも、インハウスコマーサー向けにアイレップと321のノウハウを詰め込んだ育てるパッケージを作っています。なので、アイレップの方でも皆さんのライブコマースをサポートしていければと思います!
質疑応答(一部抜粋)
ECサイトでは伝わらない魅力の伝え方
池田:
ゆうこすさんは、企業案件で、ECサイトでは伝わらない魅力をどう伝えていますか?
ゆうこす:
ミーティングの時は、クライアントさんも普段ライブ配信をされない方の方が多いので、ECサイトに載っているような情報のご説明が多いのですが、私から開発者の方に「どうしてこうしたんですか?」という質問から引き出していって、最後に話していいか確認をとっています。依頼者さん(企業側)からもぜひ、配信者をオタクにするために裏話などをいっぱい教えて欲しいですね。
武者:
お互いが打ち合わせの時に遠慮しちゃうことはないですか?
ゆうこす:
遠慮もしてしまうかもしれないんですけど、「相手にこの商品のオタクになってもらおう」と意識していただけると嬉しいなと思います。
新規の顧客にライブコマースでリーチするには
池田:
新規の顧客にライブコマースでリーチするためにはどうしたらいいですか?
武者:
マーケティング的に言うと、起用するコマーサーさんとのコラボレーションで、その方のフォロワーに来ていただいたり、広告を打ったり、というのがひとつの解になるかなと思うのですが、ゆうこすさんどう思われますか?
ゆうこす:
ライブ配信は、インスタライブなども検索ができないので、ライブコマースのインハウスコミュニティ型のように、継続して店舗が開かれている状態を作ることが大切だと思います。毎日8時に開店しているなと認識してもらうなど、コアなファンが行きやすい場づくりをすることですね。同時にインフルエンサーを起用して新しいお客さんにも来ていただく。大変なんですけど、両方のアクションをやっていくことが一番いいのかなと思います。
武者:
確かに、マーケティング業界でも「ファンベースマーケティング」※1なんて言われていて、それがベースになっているのかなと思います。そのうえで新しいことをした時に、足された人たちがどれだけ残って次のベースになっていくかというのが考え方としてはありますね。
ゆうこす:
そうですね。あとは普通に売られているものではなく、ライブコマース配信中の限定販売にすることなども、新規獲得にはいいですね。
※1:ファンをベースにして、中長期的に売り上げを増やしていくマーケティング手法
インハウスコマーサーとプロコマーサーはどちらが売れるか?
池田:
インハウスコマーサーは購入率が高いと聞くのですが、プロコマーサーとインハウスコマーサーの売り上げ比率に違いはありますか?
ゆうこす:
これはリアルなお店で考えた時に、馴染みの店員さんがいてずっとオープンしているお店とポップアップこの日の1時間限定とどちらが売れますかと比べた時に、長い目で見た時にはインハウスコマーサーなのかなとは思いますね。
ただ、今はプロコマーサーではなく、インフルエンサーや芸能人が商品を紹介している場合が多いんですよね。商品に関心のないインフルエンサーがただ商品を紹介しても商品への愛や熱量は伝わらないじゃないですか。それが問題だと思うんですね。なので、プロコマーサーを起用しつつ、企業側もオタクになってもらうアプローチをしていくことで商品も売れるようになるのではと思います。現状では、データがないので、明確にどちらが売れやすいなどは言えないですが、そう思いますね。
武者:
そうなんですよね。今回一番知っていただきたいのは、コマーサーというのは特殊スキルだということですね。
ゆうこす:
特殊スキルですね。これから私たちがそれを作っていきたいですね。
アカウントによって演出を変えているか
池田:
アカウントによって、配信時の演出を使い分けていたりしますか?
ゆうこす:
もちろん、使い分けています!ゆうこすのアカウントだと、私のアカウントなのでテンションは高めですし、「ゆうこすが配信している」感じにしています。YOANのアカウントの場合だと、BGMもゆっくりしたものをかけて、私自身も接客っぽく、YOANのプロデューサーとして出ています。逆に、インハウスコマーサーの立場なので、ライブコマースにゲストの芸能人の方を呼んでやったりすることも多いですね。
本日の感想
池田:
本日は、お二方いかがでしたか?
武者:
僕はですね、今日これだけ多くの方と、同時に課題を共有できたのは初めてだったので、僕たちが思っている以上にみなさんがインハウスコマーサーやコミュニティなど大切にされていることを知れたことが、すごくいい機会だと思いました。
ゆうこす:
普段はコマーサーやタレントとして出演することが多いので、裏側をお見せするのはうまく話せるかなとたくさん緊張していたのですが、お話ししていく中で、コマーサーの重要性や、コマーサー育成をしていくことの大事さを実感したので、これからアイレップさんと一緒にやっていけたらなと思いました。たくさんコメントもいただき、ありがとうございました!
この記事の著者
冨家 愛弓
2021年4月アイレップに新卒入社。ブランディング領域のチームでプランニングとデザインを担当。大学ではメディア視点で社会学や心理学を学び、統計解析ソフトR を使用したアンケート調査の統計分析の実習やドキュメンタリー映像の制作実習などをおこなう。学外でも、イベント企画制作の実務経験を積み、イベントやPRプランナーの資格を取得。日本最大規模の学生ビジネスコンテストで2つの賞を獲得し、企業とタイアップしたパッケージ制作や、サロンサービスの新規事業立ち上げなどにも取り組んだ。
趣味:テレビドラマ鑑賞、写真撮影、トレーニング、カフェ巡り
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