インフルエンサーマーケティング成功のポイントとは?

2021.06.29

Share

情報爆発社会のいま、消費者はより信頼できる情報を求め、消費行動などの意思決定においてインフルエンサーの意見を参考にする傾向が強くなっています。こうした背景もあり、自社のサービスをより魅力的に伝える手段としてインフルエンサーマーケティングの実施を検討する企業も増えているのではないでしょうか。

本記事ではさまざまな企業がインフルエンサーマーケティングに取り組む際の参考になればと、2021年1月22日に開催した「基礎から学ぶ!インフルエンサーマーケティング成功のポイント」ウェビナーのレポートをお届けします。また、インフルエンサーと消費者の関わりについて自社独自で調査したデータをもとに分析します。

インフルエンサーマーケティングとは

皆さんは「インフルエンサー」をどのように定義しますか?

インフルエンサーと聞くと、「SNSにフォロワーを多く持っている」「人々に影響を与えている」などとイメージする方が多いのではないでしょうか。アイレップではインフルエンサーは、「イノベーターであり、ファンに対して有益な情報を自ら制作、配信ができる人・組織の事」だと定義しています(図1)。

49426692480_01-min(図1:アイレップが考えるインフルエンサーとは)

それでは、上記のように定義したインフルエンサーを起用した「インフルエンサーマーケティング」とは何でしょうか。インフルエンサーマーケティングとは、「インフルエンサーがファンにとって有益だと判断した企業に関する情報を自ら作成し、関係性も含めて届けること」です(図2)。

49426692480_02-min

(図2:インフルエンサーマーケティングとは)

 

企業は、インフルエンサーとファンとの間にある信頼やコミュニティを借りて広告配信とは異なった第三者視点で商品・サービスの魅力を消費者に伝えることが可能です。

インフルエンサー施策を実施する際の企業のメリットは他にもあります。現代社会におけるマーケティングの課題のひとつに、「情報の過多」があります。情報過多によるストレス、広告のノイズ化、偶然の出会いの減少などさまざまな課題がありますが、インフルエンサーマーケティングではこのような外部環境を下記のように解消する事が可能です。

情報爆発社会

(1)情報ストレス
無数の情報があり、本当に自分にとって有益な情報を見つけることができない。複数選択があり、結局どれを選べばよいのか分からない。
→インフルエンサーによる信頼の担保

(2)広告のノイズ化
企業の一人称で語られる情報に消費者はストレスを感じることがある。
→情報の発信主体をインフルエンサーに移行することで、広告ノイズを低減

(3)偶然の出会いの減少
データでの広告配信で、特定のターゲットに接触することは可能だが、企業成果に貢献してくれそうな新規顧客やモチベーションが高い新規顧客との接触が減少傾向にある。
→インフルエンサーを通じて商品との偶然の出会いをつくる

生活者とインフルエンサーの関わり

上記のように、現代における情報過多の課題をクリアにしながら企業のマーケティング活動に貢献するインフルエンサーマーケティングですが、次に、インフルエンサーと生活者の関係について定義します。

インフルエンサーは、フォロワー数によってカテゴリ分類されています(図3)。100万人以上のフォロワーを抱える「トップインフルエンサー」、数千人のフォロワーを抱える「ナノインフルエンサー」などがおり、フォロワーとの関係性もそれぞれ異なります。

49426692480_03

 (図3:インフルエンサーのフォロワーごとの分類)

例えばトップインフルエンサーとフォロワーの関係でいうと、「憧れ」というキーワードが当てはまります。フォロワーはタレントのような圧倒的影響力をもつインフルエンサー(また彼らの生活)に憧れ、彼らが紹介している商品・サービスに関心を寄せる傾向にあります。

マイクロ・ナノインフルエンサーの場合、フォロワーは生活水準や趣味嗜好が似ているインフルエンサーをフォローしていることが多いため、「憧れ」よりも「共感」「信頼」という感覚を持っており、彼らが紹介するサービスや商品を「自分にも適している」「試してみたい」と興味を持ち、調べる・購入するなどの態度変容を起こす傾向にあります。

キャスティングの考え方

インフルエンサーマーケティングの実行にあたり、どのようなインフルエンサーを起用するべきなのでしょうか。キャスティングのポイントについて考えてみましょう。

インフルエンサーマーケティングは、テレビCM、デジタル広告施策と同様に施策の目的が重要です。多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーを起用することがかならずしも有効なのではなく、キャンペーンの目的によって適切なキャスティングも変わります。

一般的にフォロワー数とリーチ・エンゲージメント数は以下の図のように相関性があり、フォロワーが多いほどリーチは大きく・エンゲージは小さく、フォロワーが少ないとその逆になる傾向があります(図4)。

49426692480_04

 (図4:インフルエンサーのフォロワー数と関係性の変化)

これを踏まえて、認知が目的の場合は、リーチ数が獲得できるトップインフルエンサーまたはパワーインフルエンサーの起用が効果的です。また、商品理解促進や検索など購入に一歩近づける態度変容を狙いたい場合は、親密なコミュニティでエンゲージを獲得できるマイクロインフルエンサーやナノインフルエンサーが効果的でしょう。

このように、まずはインフルエンサーのカテゴリを決めてから、年齢やフォロワーの属性、サービスへの共感などを考慮して選定することを推奨します。

さらに、アイレップ独自でおこなったアンケート調査にて「信頼しているインフルエンサーを教えてください」と質問したところ、名前が挙がったインフルエンサーの多くはフォロワー数が50万人以下のインフルエンサーでした(図5)。

49426692480_05

※アイレップ独自調査より
   (図5:信頼しているインフルエンサーとその理由のアンケート結果)

選定理由としては、「本音で語られている感じが伝わって信頼できる」「自分と好きなものが似ていて共感できる」などが多く挙げられており、インフルエンサーとファンの間に信頼が構築できていることが分かります。このアンケート結果から、商品理解促進やブランドリニューアルなど、ブランドの信頼性を保ちながら拡散をしていくプロモーションにおいては、マイクロ~パワーインフルエンサーのキャスティングが効果的と言えるのではないでしょうか。

このことから、広い認知にはパワー・トップインフルエンサーを起用し、コミュニティが重要なキャンペーンにはナノ・マイクロインフルエンサーの起用が推奨されるということが分かりました。

インフルエンサー投稿はどのくらい企業のビジネスに貢献するのか

ここまで、インフルエンサーマーケティングの基礎部分に触れましたが、実際にその効果や影響はどのようにあるのか。ここからは生活者がインフルエンサーに対して感じていることや受けている影響について、独自のアンケート調査にもとづいてお話します。

「インフルエンサーの投稿をきっかけに商品を購入したことがあるか」というアンケート調査では、40%以上の人が「ある」と回答しました(図6)。また購入理由として1番多かったのは「その商品が魅力的だったから」で63%、2番目が「そのインフルエンサーが紹介していたから」となっており、20%を占めています。

この結果から、ファンからの信頼があるインフルエンサーに第三者目線で商品の魅力を伝えてもらうことで、企業の商品・サービスの魅力をより強く伝えることができていると言えるのではないでしょうか。

49426692480_06

※アイレップ独自調査より
(図6:「インフルエンサーの投稿がきっかけで最近購入したものはありますか、またその理由を教えてください」の問いに対する結果)

次に、もともとの認知度が高くない商品・サービスとのインフルエンサーのタイアップ企画について消費者はどのように感じるのでしょうか。アンケート調査では、30%以上の人が商品に興味を持ち、過半数以上の75%がインフルエンサーと企業のタイアップ投稿にポジティブな印象を持つという結果が出ています(図8)。

49426692480_07

※アイレップ独自調査より
(図7:「初めて知る商品・サービスのインフルエンサーとのタイアップ企画についてどのように感じますか」という問いに対する回答)

生活者は情報収集の目的ごとに参照する媒体やインフルエンサーを変えている

生活者はインフルエンサーの発信する情報に影響を受け行動を起こすこと、また企業とインフルエンサーのタイアップに対してはポジティブな印象を持っていることに加えて、消費者が情報収集する際は、目的によってインフルエンサーや媒体を使い分けることも分かりました。

例えば美容商材に関する情報を探す場合、約20%の人がユーチューバーやインスタグラマーを参考にしています。化粧品のテクスチャーや使用感をビジュアルメインのコミュニケーションで伝えられる媒体が重宝されています。

また家電や通信、金融などの検討期間が長い商材に関する情報を探す場合、企業サイトで公式情報を収集し、リアルなレビューはユーチューバーやツイッタラーを参考にするケースが多いようです。Twitterは特に、この業種においては他媒体よりも参考にされる傾向が強く、商品設計が複雑な業種において文字情報がまとまっているという点で頼りにされているようでした。

その他にも商材ごとに傾向が見られましたので、以下(図8)を参照ください。

※アイレップ独自調査より

(図8:生活者の意思決定における情報収集源が分かるグラフ)

このように、消費者は商材ごとに参考にしているインフルエンサーや媒体が異なることが分かりました。インフルンサーマーケティングを実施する際のポイントとして、どのプラットフォームでインフルエンサーに語ってもらうかも重要だということがアンケートの結果としても見受けられます。

インフルエンサーと企業のタイアップ事例

昨今さまざまな企業とインフルエンサーのタイアップ事例が増えています。その中でも最近よく用いられる手法として、広告と掛け合わせた事例がありますのでご紹介します。

これは脱毛商材を展開する企業と、10代女子に人気のユーチューバー「夜のひと笑い」のタイアップです。ユーチューバーが商品を紹介した動画をユーチューブに投稿し、それをさらに広告配信に利用しています。ユーチューバーが制作した動画を1~2分程度の短尺に編集して広告素材として活用することで、そのインフルエンサーのファン以外の消費者との偶然の出会いを創出することが可能です。

グループ 2

※1:https://youtu.be/Cus0rUZrxXQ

(図9:インフルエンサーを起用した企業の事例)

ユーチューバーと企業タイアップの通常投稿と広告を掛け合わせることで、発信のボリュームを増やすことが可能ですが、「ビジネスへの効果を可視化できる」というポイントが大きなメリットです。インフルエンサー投稿のみの場合は、リーチや再生数、いいね!などで成果を測ることが一般的ですが、広告と掛け合わせることによって、ブランドリフト調査が可能になったり、コンバージョン数や流入数などの計測も可能になります。

まとめ

インフルエンサーマーケティングとは、「インフルエンサーがファンにとって有益なだと判断した企業に関する情報を自ら作成し、関係性も含めて届ける」ということであり、生活者はインフルエンサーと企業の投稿にポジティブな影響を受ける傾向にあります。

また、インフルエンサーマーケティングの効果を最大化するためには適切なキャスティングと媒体の選定が重要です。企業は、インフルエンサーマーケティングを始める際、 「どんな目的で」「どこで」「どんな商材を」「誰に」これらを明確にし、インフルエンサーとファンとの信頼関係を借りて、「どの様に」魅力を語ってもらうのか明確にさせることが成功のための第一歩になると考えています。

この記事の著者

濵 みやび

2020年アイレップ入社。メディアプランナー。
ディスプレイ・動画・SNSなど幅広いプランニングをおこない、Instagram・TikTok・OTTセールスを中心にプランニングに携わっている。

最近の趣味:ねこ。サイコホラー映画鑑賞、YouTubeであるごめとりい・ヒヨごんの鑑賞。 自然豊かな場所に行くこと。各SNSの流行りの動向を探ること。

2020年アイレップ入社。メディアプランナー。
デ...

Share

一覧に戻る