【第2回】ライブコマース連載:成功するライブコマースの構成フレーム「SIRRAS(サイラス)」
アイレップは、マーケティングの新たな手法として、ライブコマースをご提案しています。
ライブコマースは、双方向コミュニケーションが可能です。そのため、コロナ禍により店頭などでの顧客接点が少なくなった今、新たなコミュニケーションチャネルとしても有効です。また、商品への愛や熱量をライブで直接伝えることにより、ブランドのファン形成にも役立つ手法であることを、これまで紹介してきました。
本記事では、ライブコマースの実践を検討されている企業様に向けて、アイレップが提唱するライブコマースの構成フレーム「SIRRAS(サイラス)」をご紹介します。
皆さんは、ライブコマースの実施にあたり、台本や演出がどこまで必要だと思いますか?実はライブコマースでは、テレビのような一言一句の台本や、派手な装飾やお金をかけた演出は不要です。ライブコマースに対して、「大変そう」「難しそう」と感じている方に、ライブコマースが気軽で楽しいものだということを、本記事でお伝えできたら嬉しく思います。
ライブコマースでは、台本は不要
ライブコマースを始めるに当たって、「台本を書ける人がいないからできない」と思っている方はいらっしゃいますか?そんな方に朗報です。ライブコマースには、台本は不要です!
ライブコマースは、文字どおり「ライブ」であることが特徴です。ライブだからこそ、視聴者のコメントにリアルタイムで応え、視聴者の要望に合わせて紹介する商品のポイントを臨機応変に変えていくことが重要です。双方向のコミュニケーションが何より大事ですし、そうして視聴者と共に作り上げていくのがライブコマースの醍醐味なのです。つまり、予めセリフを決めた台本を作成したとしても、そもそもその通りに進めることが「不可能」なのです。
私は仕事柄ライブコマースをよく視聴していますが、中には失敗できないことを意識しすぎて、ガチガチに緊張しているライブコマースが見受けられます。そうした堅いライブコマースは、リアルタイムでの動きが出ないためにエンタメ性が損なわれ、コメント数なども少なくなり、盛り上がらない傾向があります。コマーサー※自身も、台本通りに進めることに集中しなければならないため、推したいポイントに感情が乗らず、配信自体がつまらないものになってしまうのです。
※コマーサー:ライブコマースに特化した配信人材。詳細はこちらの記事にてご紹介しています。
普段の接客において、台本を一字一句読みながら話しますか?お客様のご要望を受けて、臨機応変に商材をおすすめしていると思います。ライブコマースを番組だと考えすぎずに、普段の接客がオンラインになっただけだと考えれば、台本がなくてもいいことに納得がいくのではないでしょうか。
これからご紹介する、アイレップが提唱する構成フレーム「SIRRAS(サイラス)」を意識することで、台本が無くてもライブコマースの流れを網羅できますので、ぜひ実践してみてください。
演出に凝るよりも、続けることが大切
「SIRRAS(サイラス)」の前に、演出についても少し考えてみましょう。テレビ番組のように美術セットを組んで配信することは、映像上は魅力的です。しかし、ライブコマースは継続して実施することがとても重要です。専用の配信スタジオをお持ちであれば美術セットを設けるのもいいのですが、演出の用意が大変だからとライブコマースの実施頻度を減らすようなことになるのであれば、本末転倒です。ですから、ライブコマースの優先順位としては、豪華な演出へのこだわりよりも気軽に継続できる仕組みの方が重要と考えます。
なぜ継続することが重要なのか。ライブコマースは、ブランドのファン形成に役立つと前述しましたが、これは継続したライブコマースでこそ大きく効果が期待できるものだからです。
想像してみてください。初めて行ったお店の店員さんにおすすめされた商品と、何度も通っているお店で、いつも相談にのってもらっている店員さんからおすすめされた商品、どちらを欲しいと思うでしょうか?後者の店員さんのおすすめの方が、説得力がありますよね。ライブコマースは、お店を開けるように継続して実施してこそ、ブランドのファンを獲得し、コミュニティを形成することができるのです。
また、継続することで、どんな商品がライブコマースで売りにつながるのか、どんな企画が視聴者に喜ばれるのかなどのデータ分析もできるようになりますので、豪華な演出よりもまず続けることを意識してみてください。例えば店舗の一角で、スマホ一台での実施でもいいかもしれません。
ライブコマースの構成フレーム「SIRRAS(サイラス)」
ここまで読んでいただければ、ライブコマースの手軽さをご理解いただけたかと思います。
ライブコマース最大の特徴は、前述したようにコメントを通してお客様と双方向でコミュニケーションし理解を深めることができる点です。そのコミュニケーションを、冒頭から終了までの間でいかに促進し高めていくか、これができればライブコマースは成功したとも言えるでしょう。そこで、ライブコマースの構成の中で「これだけは押さえておきたい」というアイレップ独自のライブコマースの構成フレーム「SIRRAS(サイラス)」をお伝えします。ライブコマースを科学するうえで、検証できるKFS(Key Factor for Success)にもなっておりますので、ぜひご活用ください。
SIRRAS(サイラス)は「Show」「Image」「Response」「Repeat」「Activate 」「Share」の頭文字の略称で、冒頭から終了までのそのコミュニケーションの質を高めていく時系列型の構成フレームです。この順番を意識して話していただければ、ライブコマース配信の構成ができ上がります。ライブコマースの第一人者であるゆうこすさんも、配信の際に意識しているポイントですので、ぜひ実践してみてください。以下にひとつずつご紹介します。
Show
「商品を見せる」というごく基本的なことです。ただし、ライブコマースはスマホ縦画面で動きの取りにくい画角ですので、コマーサーが画面に近づいたり、その場で回って後ろを見せたりと、ただ見せるだけではありません。時にはコメントにも応えながら、商材のディテールをしっかり見せてください。
Image
見せるだけでなく視聴者に「使用シーンをイメージしていただく」ことが重要です。視聴者一人一人が使用シーンを頭の中にイメージできるように、商品を使うことでどう変わるのか、どんなシーンにその商品があると良いのか、コマーサー個人の実体験なども踏まえて、具体的にイメージしてもらえるようにしましょう。極端な話、「おいしい」や「かわいい」といったありきたりな感想をNGにするくらいの気持ちで取り組んだ方がいいかもしれません(あくまで極端な話です)。
Response
視聴者のコメントに反応しましょう。台本通りにやりすぎると、「コメントに反応する」という台本のパートになるまでコメントを読まないということがあります。しかし、ライブコマースはコメントが命。コマーサーがコレだ!と思った良いコメントや、コミュニケーションが広がりそうなコメントなどは常に差し込みながら反応していくことで、視聴者もコメントをしていいんだ、コメントしたら反応してくれるんだと感じ、一緒に作り上げる双方向の配信になります。
Repeat
この「Repeat」が一番忘れられやすいので、重要です。ライブコマースの視聴者数は常に変化します。もし視聴数がずっと100人だったとしても、実はいろんな人が出たり入ったりしているのです。ゆえに、途中から来た人に向けて、定期的にここまでの配信のサマリーや今日のテーマ、クーポン有無やコメント募集、購入方法の案内などを、定型文のようにして繰り返してください。ひとつの商品を紹介し終えたら常にここまでを振り返る「Repeat」をするイメージくらいがいいかもしれません。そうすることで、途中から見にきた視聴者の方も自分ゴト化され、離脱しにくくなります。
※視聴者数積み上げ型(視聴セッション数の合計のみが表示される仕様)の配信サービスだと、離脱した視聴者の変化がややわかりにくいのでご注意ください
Activate
商品を紹介し、コメントを読み、繰り返しをおこなったとしても、最後は購入していただかないことにはコマースになりません。「Activate」を通して、背中を一押ししてあげる一言をかけることが重要です。ライブコマース限定の商品やクーポンなども強い一押しになります。さらにはコメントを通して、一人一人に対して一押しするような気持ちで取り組むことで、視聴者は安心して自信を持って購入することができるのです。
Share
最後のShareはSNSで配信後の動きを伝えるフェーズです。ライブコマースは配信終了したら終わりではありません。ライブコマースはSNSでの告知集客もできますし、すでにInstagramアカウントのフォロワーが多い企業であれば、Instagramライブでそのまま配信もできます。つまり、ライブコマースとSNSは切り離せない関係なのです。ゆえに、配信が終了したら、御礼の投稿やキャンペーンをストーリーでお知らせしたり、IGTVにアーカイブしたり、SNSにシェアすることが重要です。このシェアが次回の配信にも繋がるとも考えましょう。ライブコマースはECサイトのいち機能拡張ではなく、マーケティング活動全体と絡めて考えた方が効果を最大化できます。(過去記事参照「ライブコマースはECかマーケティングか」)配信終了前に、アーカイブの有無や、答えきれなかった質問をSNSでカバーすることをお伝えするなど、アフターケアまで意識した構成としてみてください。
SNSを軸にアプローチしていれば、お客様が購入したことを投稿してくれたり、コメントしてくれることもあります。そうした投稿が、次なる視聴者を生むのです。
最後に
以上、ライブコマースにおける構成フレーム「SIRRAS(サイラス)」をご紹介させていただきました。
この流れに沿って商品を紹介すればライブコマースは実践できます。もし、カンペや台本などが何も無いと不安な方は、「見せるポイント」や「イメージしてもらいたいシーン」など、SIRRASに合わせて話したいトピックをメモ書きして用意しておくといいでしょう。
ライブコマースは、「双方向コミュニケーション」「継続すること」「SIRRAS(サイラス)」など、ポイントを押さえれば必ず成功します。大変なものだと思わず、ぜひ気軽に実践していただけたら嬉しく思います。
アイレップでは、ライブコマースに特化した配信人材「コマーサー」を育成・キャスティングしています。本記事でもお伝えしたようなフレームワークを用いながら、コマーサー自身が配信の構成を意識し、ライブコマースに最適化した企画や演出ができるよう育成する、eラーニングとテスト配信をおこなえるワークショップをセットにしたパッケージもご用意しています。ライブコマース実施に向けて人材育成を検討している皆様からのお問い合わせを、お待ちしております。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。
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