コード不要で機械学習!AutoML Tables概要

2021.06.17

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昨今、機械学習のマーケティング分野への活用はますます注目を集めています。その理由のひとつとして、「今まで存在しなかったインサイトが自動化され効率的に施策に落とせる」ことが挙げられます。本記事では機械学習を自動的におこなうことができる、Google CloudのAIサービスであるAutoML Tablesについて概要を解説します。

AutoMLとは

GCPにおけるAutoMLのポジション

Google Cloud Platform(以下、GCP)には、数多くのAI・機械学習関連のサービスが存在します。今回紹介するAutoMLは、その中のひとつです。AutoMLの特徴として、最小限の労力と機械学習の専門知識で高品質のカスタム機械学習モデルを構築・デプロイできるプロダクトであることが挙げられます。

AutoML Tablesとは

AutoMLはCGPのサービス群のひとつであると説明しましたが、AutoMLの中にも複数のサービスが存在しています(図1)。例えば、「AutoML Vision」は独自に定義したラベルに従って画像を分類することができます。どれも自動的に機械学習を実行するサービスには変わりないのですが、本記事でご紹介するのは「AutoML Tables」というサービスです。

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(図1:AutoML Tablesのプロダクトと特徴)

 

AutoML Tablesは表形式(任意の行/項目ごとにデータが集計されている状態)のデータを扱い、自動で解析・予測することができる点や、簡単な操作で精度の高い予測モデルを構築することができる点が特徴です。またAutoML Tablesの強みとして、自動的に機械学習モデルを作成できることがあります。そうして構築されたモデルを需要予測やLTVの予測、および顧客のコンバージョン確率の予測などに活用することができます(図2)。

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(図2 AutoML Tablesの特徴と強み)

BigQuery MLとの比較

GCPの代表的な機械学習サービスとして、「BigQuery ML」(以下、BQML)があります。BQMLは、SQLを利用して機械学習モデルを構築できる、AutoML Tablesと似たような活用が可能なサービスです。

BQMLと比較しAutoML Tablesが優れているポイントはどういった点でしょうか。その答えは「プログラミングの知識が不要のため、コード記述不要でモデル構築が可能」であることです。このためUI上の操作のみで適切なモデルの選択と、モデルの学習の両方を完全自動で実現することができます(図3)。

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(図3:BigQuery MLとAutoML Tablesの比較)

AutoML Tablesによって自動化されるプロセス

AutoML Tablesの利点は、プログラミングの知識が不要ということに加え、モデルの選択と学習の自動化です。では、なぜモデルの選択と学習を自動化することが重要なのでしょうか。もちろん、単純に作業時間の短縮という側面もあります。しかし、それ以上に機械学習のハードルが下がることが最も大きいメリットです。

本来、機械学習モデルを構築する際は、実装担当者の持つ機械学習の知識にもとづいて、解決したい課題に合わせてモデルを選定する必要があります。しかし、モデルの種類は数多くあるため、経験がない人にとっては何がベターな選択肢なのかが判断しづらいのです。AutoML Tablesでは課題の解決のために予測したい特徴量を選択するだけで、その予測に適したモデルを自動的に選定・構築することができます。

また、モデルの種類によっては、学習の段階で「ハイパーパラメータ」と呼ばれるパラメータを細かく設定(チューニング)する必要があります。ハイパーパラメータとは、モデル内部で自動的に調整されず、本来は担当者が任意でチューニングする必要がある設定項目です。モデルの予測精度はこのハイパーパラメータ次第で大きく左右される場合もあるため、チューニングは非常に重要なプロセスです。

しかし、このチューニングにおいて、最も予測精度を高めるようなハイパーパラメータを見つけることは一般的に困難であり、より良いハイパーパラメータのチューニングのために多くの時間を費やしてしまうこともしばしばあります。AutoML Tablesでは自動的にモデルの学習をおこなうため、前述のようなハイパーパラメータの課題点を回避することができます。

つまり、AutoML Tablesによって、機械学習に対する技術的な懸念点を解消することが可能になります。その結果、より多くの人が機械学習に触れることができます。

まとめ

これまでAutoML Tablesの概要やメリットをご紹介してきました。AutoML Tablesによって機械学習に対するハードルを下げることができるため、機械学習によるモデル作成の経験の有無に関わらず予測モデルを構築することが可能になります。

それでは専門知識や経験が不要か、と問われるとそうではありません。確かにAutoML Tables上でコード不要で予測モデルを構築することは可能です。しかし、モデルの構築後
、モデルの良し悪しの評価や実際のマーケティングへの活用には、やはり機械学習や分析の知識が必要になります。

例えば、ただモデルを構築しても、実用に足る予測精度を確保できない場合や、目的(解決したい課題)から逸れたモデルを作成してしまう場合、さらには必要なデータがそもそも取得できていない場合があります。このように、ただモデルを構築するだけでは、実際のビジネスへの活用においては事足りないケースが多いのが現状です。

アイレップでは、上記の問題を解決するために分析のスペシャリストが在籍しています。また分析だけではなく、予測モデル構築の前段階のデータ基盤設計から、分析結果の可視化や広告をはじめとする各種マーケティング施策への展開まで、アイレップ独自のサービス「DASH-UP」でワンストップの提供が可能です。

予測モデルを活用した広告配信や、その他マーケティング施策などにご興味のある方、そもそもデータ基盤にご懸念がある方は、お気軽にこちらからご相談ください。

<DL資料>ダッシュボードテンプレート(Google データポータル)

この記事の著者

DIGIFUL編集部

「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。

当社がこれまでに得たデータや経験から、具体的事例・将来展望・業界の最新注目ニュースなどについて情報を発信しています。ニュースやコラムだけでなく、日常業務や将来のマーケティング施策を考えるときに役立つダウンロード資料や、動画で学べるウェビナーコンテンツも随時追加していきます。

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