コロナ禍におけるキャッシュレス決済市場の成長に伴い、スマートフォン決済の普及も進んでいます。ヤフーは検索サービスやメディアサービスに加えて、ショッピングなど多様なサービスを持ち合わせています。成長著しいスマートフォン決済サービスであるPayPayを使ったマーケティング手法も存在します。本記事では、企業のビジネス拡大に貢献するPayPayソリューションの活用法についてご紹介します。
1. PayPayとヤフーの経済圏拡大について
(1)PayPayの普及
昨今のコロナ影響により、キャッシュレス決済市場が益々成長しています。PayPayも例外ではなく、2020年10 月に発表された Zホールディングス株式会社の決算資料※1ではPayPayでの決済回数、加盟店数、登録者数が前年の同時期と比較して大きく成長しています。なかでも、決済回数においては前年比510%と、著しい成長を見せています。
※1 参照元:Zホールディングス株式会社 2020年10月30日「Zホールディングス株式会社 決算説明会 2020年度 第2四半期(7- 9月期) 」
出典:Zホールディングス株式会社 2020年10月30日「Zホールディングス株式会社 決算説明会 2020年度 第2四半期(7- 9月期) 」
(図1:PayPayの普及)
(2)PayPay活用場面の拡大
ユーザーが普段店舗で利用するオフライン決済だけではなく、あらゆる場面でPayPayの活用が広がっています。ジャパンネット銀行※2とPayPayとの連携が進んでおり、PayPay経由での個人口座新規開設数・個人ローン申し込み件数・法人口座新規開設数が伸長しています(前述の決算資料より)。また、PayPayモールやYahoo!ショッピングでのオンライン決済の利用はもちろん、証券や保険などの各種金融サービスが拡充しており、ユーザーは広い生活領域でPayPayの利用が可能となっています。
※2 2021年4月にPayPay銀行への商号変更を予定
出典:Zホールディングス株式会社 2020年10月30日「Zホールディングス株式会社 決算説明会 2020年度 第2四半期(7- 9月期) 」
(図2:PayPay連携による金融サービスの拡充)
(3)ヤフーの経済圏拡大
前述のとおり、ヤフーは複数のサービスを展開しています。ユーザーはYahoo!検索で情報を探し、欲しいものがあればPayPayモールやYahoo!ショッピングでオンラインショッピングをし、GYAO!で動画コンテンツを視聴し、LOHACO(ロハコ)や一休.comで宿泊先やレストランを探すなど、ヤフーの保有する多くのサービスをオンライン上で利用します。
それに加えて、PayPayでの決済により、オフラインの生活領域にもヤフーの経済圏が拡大しています。企業のビジネス拡大にとって、オンライン上のマーケティングではなく、PayPayを活用したオフラインでのマーケティング活用もひとつの選択肢になっています。次は実際にPayPayを用いたマーケティングソリューションのご紹介をします。
2.PayPayソリューションの紹介
企業のマーケティング施策においてPayPayソリューションを活用することで、ユーザーに対して多様なアプローチをすることが可能になります。Yahoo!セールスプロモーションと呼ばれる、PayPayを用いた2種類のソリューションを活用することで、主にオフライン上での販促施策が実施できます。ここからは実際のPayPayを用いたソリューション内容についてご紹介します。
(1) PayPayリテールギフト
① PayPayリテールギフトの概要
PayPayリテールギフトとは、対象商品を店舗で購入したユーザーに対し、インセンティブとしてPayPayポイントを付与できる施策です。Yahoo!広告などでキャンペーンを告知し、ユーザーをキャンペーンサイトへ誘導、店舗への来店と購入を促します。購入時にPayPayで決済するとPayPayボーナス※3が付与されます※4。
※3 PayPayボーナス:特典やキャンペーン等の適用に伴いPayPay残高に進呈される残高。出金・送金・わりかん機能では使えません。(出典:PayPay ヘルプ「PayPay残高とは 」)
※4 2021年2月1日より特典が「PayPayボーナスライト」から「PayPayボーナス」へ変更されました。(出典:ヤフー株式会社 2021.01.15「Yahoo!ショッピング、PayPayモールなどヤフーのサービスで付与される電子マネーを有効期限付きの「PayPayボーナスライト」から有効期限なしの「PayPayボーナス」に変更 」)
② PayPayリテールギフトを活用するメリット
PayPayリテールギフトを活用するメリットは大きく以下の3つです。
1. PayPayの普及率を活かした新規顧客の獲得のきっかけづくり
冒頭でご紹介した通り、PayPayの普及率は爆発的に増えており、2021年1月4日時点で登録者数は3,500万人を突破しています※5。多くのユーザーにとって共通通貨であるため、ターゲットユーザーを選ばず、あらゆるユーザーにとって利用価値の高い魅力的なインセンティブとなりえます。新規顧客に手に取ってもらうきっかけづくりとして、その“受け入れられやすさ”は大きな強みとなっています。
※5 PayPay株式会社 2021年1月5日「「PayPay」のユーザー数が3,500万人を突破」
2. オフライン店舗への来店と商品の購買促進
PayPayリテールギフトは特定の店舗でのPayPay決済が必須となります。小売・流通企業と提携した店舗誘導や注力商品の購買を促進することができます。
3. オフラインでの購買行動の可視化
PayPayリテールギフトを通じたPayPay決済の情報を、オフラインの購買データとして個人が特定できない形で取得できます。取得した情報の分析、セグメンテーション、後の広告プロモーションへの活用ができる予定となっており(決算資料より)、オフラインとオンラインを統合したマーケティングプラットフォームとしての発展が期待されます。
出典:ヤフー株式会社 2019年11月1日「広告による告知から店頭販促までを一気通貫した 新サービス「Yahoo!セールスプロモーション」を立ち上げ 」
(図3:PayPayリテールギフト実施の流れ)
(2) PayPayコンシューマーギフト
① PayPayコンシューマーギフトの概要
PayPayコンシューマーギフトとは、任意のコンバージョンアクション(商品購入やサービス登録など)をおこなったユーザーに対し、インセンティブとしてPayPayポイントを付与できるソリューションです。抽選の当選者もしくは応募者全員に対してPayPayボーナスが付与されます。PayPayリテールギフトとの違いは、オンラインでの実施が可能であり実施店舗を特定しないこと、PayPay決済を前提としないことです。
② PayPayコンシューマーギフトを活用するメリット
前述のPayPayリテールギフトのメリットに加え、さらに以下の強みが挙げられます。
1. オンラインも含めた任意のコンバージョン促進が可能
PayPayコンシューマーギフトは、オフラインでの購買だけでなく、オンライン上のコンバージョンアクションを対象にすることもできます。自社のECサイトでの購買はもちろん、無形商材・サービスも対象とできるため、業種を問わない多くの企業が活用しやすいソリューションです。
2. キャンペーン設計の柔軟さ
PayPayコンシューマーギフトでは、ポイント付与条件が有料である必要がありません。そのため、無料会員登録やサービス予約、リード獲得など幅広い目的での活用が可能です。アクションの難易度に応じて付与ポイントをコントロールしやすい点も強みです。
3. 小売・流通チャネルを問わない
オフライン店舗で販売する有形商材の場合、対象商品のパッケージやステッカーに記したQRコード等からポイント獲得の導線につなげるため、PayPay決済が未対応の店舗を含めたすべての販売チャネルでキャンペーンを展開できます。
出典:出典:ヤフー株式会社 2019年11月1日「広告による告知から店頭販促までを一気通貫した 新サービス「Yahoo!セールスプロモーション」を立ち上げ 」
(図4:PayPayコンシューマーギフト実施の流れ)
3.まとめ
ここまででご紹介したように、ヤフーの経済圏が大きく広がっており、従来の検索やメディアに加えて、PayPayの活用でオフラインでの訴求も可能になっています。さらに今後、オフラインの購買データをオンラインでの広告配信に活用できる予定なので、オフラインの購買者に対してオンラインでリターゲティング広告を配信するなど、オフラインからオンラインまで一貫したマーケティングが可能になります。従来のオンライン上の広告ソリューションだけでなく、オフラインでの販促を目的として、ヤフーのマーケティングソリューションを活用することをご検討してみてはいかがでしょうか。
この記事の著者
井内 拓真
北海道の札幌出身で、小樽商科大学商学部を卒業後、2020年にアイレップへ新卒として入社。入社後から一貫して、クライアント企業へのメディアプランニングや媒体社向き合いの業務に従事。メディアプランニングはBtoBから玩具メーカーまで幅広い業種での企画・提案経験を持つ。
担当する媒体社は、ヤフー社やLINE社をはじめ、TikTokを展開するByteDance社やSpotify社など多岐にわたる。2020年4月より昨今のITPをはじめとするアンチトラッキング環境へ対応すべく、アイレップ社内で発足されたプロジェクトチームに参画。
北海道の札幌出身で、小樽商科大学商学部を卒業後、2020年に...