「展示会業界最大手の自負があるからこそ挑戦したかった。」常駐型コンサルティングサービスがもたらした社内の意識改革と事業成長

2024.09.27

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年間90本もの国際展示会を運営するRX Japan株式会社は、デジタルマーケティング領域を強化する目的で株式会社Hakuhodo DY ONE(以下、Hakuhodo DY ONE)の「常駐型コンサルティングサービス」を利用中だ。本サービス導入後は、デジタルマーケティングに対する社内の意識が変化し、施策成果も大きく変わったという。本記事では、「常駐型コンサルティングサービス」導入後に実感した社内の変化や施策効果について、RX Japanのおふたりの担当者に話を伺った。

- RX Japan株式会社のみなさまの担当業務を教えてください

瀬戸:私は、全社的なマーケティング課題に向き合うセントラルマーケティングチームの責任者を担当しています。また、各事業部に所属するマーケティング担当者の取りまとめもおこなっています。

髙桑:私は、展示会のマーケティングを担当しており、コンテンツ東京やNexTeck Weekの来場者集客や出展検討企業の集客をおこなっています。Hakuhodo DY ONE様には主にマーケティングに関するご相談や、当社員に対するマーケティング関連の研修でお世話になっています。

- 株式会社Hakuhodo DY ONEのみなさまの担当業務を教えてください

星:RX Japan様の営業担当をしております。主に開催する展示会の集客を目的としたWeb広告の運用やSEOをはじめとするマーケティング施策全般を取りまとめています。RX Japan様は展示会ごとに事業部が分かれているので、各事業部に合わせた支援をしています。

西内:RX Japan様のセントラルマーケティングチームの一員として、主にコーポレートサイトのリニューアルプロジェクトのプロジェクトリーダーを担当しています。コーポレートサイトのコンテンツ制作から、イギリス本社とのやり取りを含む社内外のコミュニケーションなどを担当しています。

吉岡:私も西内と同様にセントラルマーケティングチームの一員としてプロジェクトの実務を担当しています。例えば、コンテンツの制作にあたって各事業部の営業担当や、イギリス本社のマーケティングチームとの連携もおこなっています。他には、星がメインで担当している各展示会のリサーチ支援も担当しています。

日本最大の国際展示会主催会社としてグローバルに展開

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RX Japan株式会社 デジタル戦略部 シニアエキスパート 瀬戸 優和様

- RX Japan様の事業内容と風土をご紹介ください

瀬戸:手前味噌ですが、当社は日本最大の国際展示会主催会社です。本社がイギリスにあるので、グローバルな市場に強みがあるのも特徴となります。展示会の運営というところでは、長年築いた自社のノウハウに自信を持っています。

髙桑:企業風土として特徴的なのは、展示会ごとに事業部が分かれており、それぞれ事務局長が決裁をするという構造があること。当社が企画する展示会は開催数も企画テーマも大変幅広いので、事業部制組織であることで、各展示会に合わせた事業展開やマーケティングを実現しているという点が特色かな、と思います。

デジタル広告のノウハウとマーケティング思考が不足していた

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RX Japan株式会社 第一事業本部 マネージャー 髙桑 里奈様

- RX Japanが直面していた課題を教えてください

瀬戸:当初抱えていた課題はふたつありました。ひとつ目はデジタル広告の知見が全くなかったこと。4年くらい前までデジタル広告を実施したことがなく、リテラシーが低かったので、間違えた施策を推進していたり、とんちんかんな指示を出して現場を困らせたりもしていました。

ふたつ目は展示会を企画するうえでのマーケティング思考が足りなかったこと。先ほど申し上げたように、当社は展示会の分野ではトップランナーという自負がありますし、社員一人一人が作り出す年間90本の展示会に何万人と集客できている実績が成功体験として自信になっていました。でも、その自信がいつしか「我々が考えたものであれば成功する」という思い込みになっていました。本来、マーケティングにおいてはお客様がどう感じるのか、お客様が誰で、どういう価値を提供するのかを考えなければなりませんでしたが、我々にはそこの視点が足りていませんでした。

髙桑:あるタイミングで「自分たちにはマーケティング思考が足りてない」と気づきました。でも、展示会ビジネスは何社もあるような業界ではないので、外部の意見を聞くのも難しい状況でした。独学でマーケティングに関する本を読んだり、マーケティングにちょっと詳しい社内の人と話したりしていましたが、やはり限界を感じました。一方、業界トップというプライドもあったので、ノウハウは社内にしかないと思い込んでいましたし、外部のセミナーに行ってもしょうがないという社内の空気感も感じていました。

常駐ならいつでも相談できると思った

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- Hakuhodo DY ONEに常駐を依頼したきっかけを教えてください

瀬戸:本格的にデジタル広告をやろうと決めた時、Hakuhodo DY ONE様にはまず外部パートナーとして協力してもらうところからスタートしました。そこからデジタル広告施策が一気に進化した実感があったのを覚えています。

常駐を依頼したきっかけは、さらにデジタル広告を良いものにしていきたいと思ったこと。また、社内に30ものマーケティングチームがあり、成長速度の速いチーム、もっと伸ばしていかなければならないチームなど状況がバラバラだったので、その全てに伴走してもらうことで全体のマーケティングがレベルアップするのではないかと思いました。そのためには、社内に常駐してもらって、いつでも相談できる状況を作るのが良いのではないかと。

Hakuhodo DY ONEの常駐で実感した「施策」「コミュニケーション」「社内意識」の変化

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- 常駐後のサービスの効果はどうでしたか

瀬戸:実際、常駐してもらったことで施策効果をすぐに実感することができました。ひざを突き合わせながら常に会話できるようになり、新規メニュー・改善施策がクイックに実施しやすくなったことが大きかったです。そのような施策の積み重ねによって、集客のチャネル構造にも変化がありました。展示会の来場登録はこれまでメール経由がもっとも多かったのですが、今ではデジタル広告経由が一番多くなりました。

また、コミュニケーション面でも大きな変化を感じています。これまでであれば、突発的な相談があっても「次回のミーティングで」「次伺ったときに」となっていたのが、目の前にいることですごくクイックに対応できるようになった。これは、予想以上に良いことでした。

髙桑:常駐前は週に1、2回のオンラインミーティングで議論を交わしたり、意見をもらったりしていました。その時は「広告会社のHakuhodo DY ONE」という印象がすごく強かったのですが、常駐がはじまってからは悩んだ時にすぐ相談ができるようになり、「一緒に展示会を作ってる仲間」のような感覚に変わりました。

瀬戸:各展示会は年1回、3日間なのでその期間は部内にも緊張感が漂うのですが、来場者数の動員目標を超えると関係者全員で喜び合います。以前だったら社員だけで喜びを分かち合っていましたが、今はメンバーが星様にも電話をかけて「3日間大成功でした」と喜びをシェアするようになりました。このように仲間が増えたことは大きな変化だと思います。

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瀬戸:以前は依頼した仕事をやってもらうという、「受発注の関係」の意識が強かったように思います。ただ、この意識ではコミュニケーションの回数が少ないチームであればあるほど、お金を払ってやってもらう感覚が影響してうまく業務が進まないことがありました。

常駐によってその意識がすごく変わり、強い仲間意識が芽生えました。「お金が発生するからやってますよ」ということではなく、それ以上に当社のことや事業のことを考えて、一緒にアイデア出しをしてくれる「仲間」になれたかなと。

また、常駐型コンサルティングサービスは社内の雰囲気にも大きな影響をもたらしました。施策面やコミュニケーションの変化に比例するかのように社員がマーケティングを好きになってきて、デジタルな発想が社員からも出てくるようになりました。Hakuhodo DY ONE様が常駐することで「マーケティングの遺伝子」が新たに組み込まれたと感じています。

髙桑:常駐前に一緒に仕事をした期間があったことで、Hakuhodo DY ONE様がデジタル広告のリーディングカンパニーという意識が社内に根付いたのも良かったです。常駐してからプロフェッショナルに近い距離感で教えてもらえるというのは、社員のデジタルマーケティングに対する意識改革につながったと思います。

常駐だからこそ距離感が近い「仕事仲間」になれる

178960787546_06株式会社Hakuhodo DY ONE 第1アカウント本部 星 いくみ

-Hakuhodo DY ONE社員がいることでの日常業務への影響はありますか

瀬戸:星様は常駐前から当社の業務を担当してくれており、アナログからデジタルの大転換が社内で起こったこの4年間、いつも相談相手になってくれました。

星:もともとデジタル領域は強くなかったとおっしゃっているように、私も関わらせていただいた当初からデジタルマーケティングのリテラシーに社員間でかなり差があると感じていました。そのため、デジタルマーケティングに関する勉強会を開催したり、レベルごとに合わせた話をしたり、定例ミーティングを噛み砕いた内容にしたり、広告施策のPDCAだけではなく、皆様とのコミュニケーションも工夫しながら、理解度を高めてもらえるように取り組みました。

また、そもそものRX Japan様が目指す目標として、来場者数の最大化、出展社数の最大化が掲げられています。ただ、デジタル上の施策に落とし込む際に何をするべきかがわからなかったり、目標の立て方がわからないなどの壁に当たることがあったので、我々が伴走しながら一緒に解決策を考えたり、支援しています。

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株式会社Hakuhodo DY ONE マーケティングマネジメント本部 部長 西内 克

瀬戸:コーポレートサイトのリニューアルに関しては、複数の会社に相談したなかでHakuhodo DY ONE様の提案内容が最も魅力的でした。その時はもう星様には常駐していただいていたので、新たなプロフェッショナルとして西内様と吉岡様に参画していただく流れとなりました。

西内:まずSEOを強化し、検索エンジンから集客できるようにしようというのが、コーポレートサイトリニューアルのスタートでした。どういうキーワードで集客をしたいのか、どういうターゲットを呼び寄せたいのかといった戦略設計とその周辺調査にはすごく注力しました。RX Japan様にとって納得感のあるものを作らなければいけないので、共有を重ねながらみんなで作ることは意識したところです。

吉岡:コーポレートサイトを作るにあたっては、もちろん集客観点でのSEOも重要ですが、コーポレートサイトはRX Japan様のブランディングも検討せねばなりませんでした。伝えたいメッセージやビジュアルなど、普段からブランディングを担当されている方々だけではなく、瀬戸様や髙桑様をはじめとした現場の方々にも細かく話を伺いました。RX Japan様がやりたいことを噛み砕きつつ、マーケティング・ブランディング観点も配慮した打ち出し方を意識しながら取り組んでいます。

ブランディングやクリエイティブは、結構ニュアンスや感覚的な話が多いので、電話や打ち合わせだと「上手く伝えづらいし、今日はいいか」と後回しになってしまいがちです。常駐でいつもお互いが目の前にいるからこそクイックに現場でお話しできますし、必要な情報を取りこぼさないようにできていると思います。

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株式会社Hakuhodo DY ONE マーケティングマネジメント本部 吉岡 伸悟

瀬戸:コーポレートサイトの制作は社内のステークホルダーがすごく多いのです。そして、各部署それぞれの思惑ややりたい方向性がちょっとずつずれていることがある。例えば、我々の場合は外資系あるあるなのですが、イギリス本社の意向を汲んだものを作らなければならない、でも日本で展開するうえではこういう表現や見せ方が最適だという場合もある。その辺りのすり合わせをイギリス本社との間に入ってやってくれたり、さまざまなステークホルダーと関わるなかで客観的に提案をしてくれたり、Hakuhodo DY ONE様が常駐して綿密にコミュニケーションをとってくれているからこそできることだと思います。

西内:ありがとうございます。私たちからすると、RX Japanの皆様がウェルカムな空気感で迎えてくださるので、社員の一員になったような気持ちで仕事に取り組むことができているように思います。プライベートな話も含め、気軽にコミュニケーションがとれる環境なので、私たちとしても自分の会社のような感覚でいられて成果を出しやすいと感じています。

瀬戸:やっぱり仕事仲間って仕事だけの話をする関係じゃないと思うのです。業務提携だけの関係ならそうなるかもしれませんが、仕事「仲間」ですから。休みの日にどうやってリフレッシュしているかとか、そういったこともお互いに知ることで、よりクオリティが高い仕事ができると思います。

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常駐型サービスで成果を出すには「ウェルカムを意図的に作る」のがポイント

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- 今後Hakuhodo DY ONEに期待していることは

髙桑:これまでHakuhodo DY ONE様には、展示会の集客を中心にサポートしてもらいましたが、今後は一緒に既存の展示会のリブランディングや、新しい展示会の立ち上げなどもやっていけたらと考えています。展示会そのものが魅力的であれば過度なマーケティングをしなくても集客できるのかなと。これまで自己流だった展示会の企画部分にHakuhodo DY ONE様のエッセンスを注入し、さらに良い展示会を作っていくことを期待しています。

瀬戸:RX Japanはこれから第二章に入っていきます。これまでの当社は端的に言うと「展示会屋」でした。これからはビジネスの全てに我々が関わっていく、ビジネスの舞台を我々が作るフェーズへ進化していくことを目指しています。そのためにはデジタル領域を中心にHakuhodo DY ONE様の伴走が欠かせません。今後もRX JapanとHakuhodo DY ONE様が一緒に模索しながら良いものを作っていきたいと思います。

Hakuhodo DY ONE様のような常駐型のサービスを検討している企業様に対してひとつアドバイスがあります。それは「ウェルカムを人工的に作る」ということ。社外のパートナーに対して、やや距離感のあるコミュニケーションをとったり、社外パートナーだからこそ提供する情報を絞ってしまうことは往々にして起こりがちです。うまくいかなかった際には、彼らが予算内でやってくれなかったからだとか、外注先に不満の矛先が向く。でもこれって、お互いに本来の目的が達成できていないので、不幸なことだと思います。

だからこそ、意図的でも良いので、社外パートナーもチームメンバーの一員だという雰囲気を全面に出して会話をするとか、「Hakuhodo DY ONE様はこういう人たちだよ、仲間だよ」と社内で頻繁に発信するとか、そういう社内を巻き込む取り組みはすごく大切ですね。あとは「外部」とか「業者」などの線引きをするのではなく、「パートナー」という意識を持って付き合うことは欠かせないと思います。

まとめ

「常駐型コンサルティングサービス」は、施策成果へのコミットメントはもちろん、常駐先企業の社内におけるマーケティングへの意識や、チームビルティングにも大きな影響を与えていることが分かりました。

取材全体を通して感じたのは、フランクな関係ながらお互いがリスペクトし合う良い関係が築けているということ。クライアント企業とそのオフィスに常駐する外部コンサルタントという、物理的な距離の近さによる常駐のメリットを最大限生かすためには、瀬戸氏が言うところの「仕事仲間」であることが何より効果的なのかもしれません。

単なる受発注の関係を超えて、人間らしい信頼関係を築く姿勢を持つことこそが、常駐型サービスの導入を成功させる鍵になるはずです。これからRX Japanが迎える第二章への期待と同時に、常駐型コンサルティングサービスへの可能性を感じる取材となりました。

 

株式会社Hakuhodo DY ONE
星 いくみ

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2018年にアイレップ(現 Hakuhodo DY ONE)へ入社。営業として、大手アパレルEC、通信、保険、金融などの幅広い業界を担当。最新サービス商品の提案やWeb領域にとどまらず、クライアント企業の課題に合わせたソリューションやメニューの提案を得意とする。

 

 

株式会社Hakuhodo DY ONE
西内 克

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大手通信会社において営業活動に従事したのち、2019年にアイレップ(現 Hakuhodo DY ONE)へ入社。B to B企業を中心に、デジタルマーケティングの施策設計から、施策実行に伴うプロジェクトマネジメントを担当。大手電機メーカーやSIerに対するインバウンドマーケティングの戦略策定から基盤構築および運用支援を提供。

 

 

株式会社Hakuhodo DY ONE
吉岡 伸悟

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2020年にアイレップ(現 Hakuhodo DY ONE)へ入社。CRM・データ基盤などのソリューション領域でコンサルタントとして従事。商業施設や金融業界、スポーツ関連企業などに対して、マーケティング戦略設計・施策立案、施策の実行から検証まで一気通貫で支援。

 

この記事の著者

DIGIFUL編集部

「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。

当社がこれまでに得たデータや経験から、具体的事例・将来展望・業界の最新注目ニュースなどについて情報を発信しています。ニュースやコラムだけでなく、日常業務や将来のマーケティング施策を考えるときに役立つダウンロード資料や、動画で学べるウェビナーコンテンツも随時追加していきます。

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「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo ...

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