(執筆 : 永山 明好)
デジタルマーケティングにおける企業の関心事の一つに、「保有する自社のデータをマーケティングにどう活用するか」が挙げられます。
「Google アナリティクス 360 」は、自社データをマーケティングに活用することを実現する、最も有効なツールの一つです。
博報堂DYグループは、Google アナリティクス 360 を様々なクライアント企業のマーケティング基盤として活用しており、様々な活用事例がうまれてきています。
本連載では三回にわたって、様々なクライアント企業へのGoogle アナリティクス 360 の導入企画や設定、運用を通じて蓄積された経験をもとに、「Google アナリティクス 360 」の機能や活用方法とともに、導入を成功させる秘訣を紹介します。
Google アナリティクスとは
Google アナリティクス 360 の話の前に、まずは基本であるGoogle アナリティクスのおさらいをしておきましょう。
Google アナリティクスとは、Google 社が無料で提供するウェブ解析ツールの名称です。ツールを利用する企業のサイトへのユーザーの流入や、サイト内での行動、広告効果(コンバージョン)を定量的に分析することが可能です。
またGoogle 社の提供する広告プロダクトとの連携が可能で、Google アナリティクスで計測したデータを広告のターゲティングに活用することができます。
Google アナリティクスの主な機能は以下の通りです。
① リアルタイムレポート
② ユーザー属性
③ 行動フロー
④ コンバージョン経路
⑤ Eコマース設定・拡張Eコマース設定
⑥ ユーザーリスト
① リアルタイムレポート
サイトやアプリで発生しているアクティビティをリアルタイムで確認できます。このレポートは継続的に更新され、ヒットが発生するたびに瞬時に記録されます。たとえば、現在サイトを利用しているユーザーは何人か、閲覧されているページや発生しているイベントは何か、これまでに発生した目標コンバージョンは何か、といった情報を確認できます。
② ユーザー属性
ユーザー属性とインタレスト カテゴリのデータからは、ユーザーの年齢や性別に加え、オンラインでの活動や購買行動から判断されるユーザーの興味や関心についての情報も入手できます。
③ 行動フロー
ユーザーがページやイベント間を移動した経路を視覚化して表現したレポートで、サイトで多くのユーザーが利用しているコンテンツを見つけるうえで役立ちます。また、行動フローレポートを使うと、コンテンツに潜む問題点を把握することもできます。
④ コンバージョン経路
3種類のレポートで、コンバージョン経路と各チャネルの貢献度を比較分析することができます。
-
コンバージョン経路
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所要時間
-
経路の数
コンバージョン経路におけるチャネル接点や、ユーザーが購入やコンバージョンを達成するまでにかかった時間を把握するのに役立ちます。
⑤ Eコマース設定・拡張Eコマース設定
ビジネスの全体的な状況を確認できる機能です。拡張Eコマース設定をすることでショッピング行動や決済行動の分析が可能です。
⑥ ユーザーリスト
ユーザーリストを使用すると、ビジネスの目的に合わせてユーザーのセグメントを作成することが可能です。作成されたリストはGoogle Ads に連携することで、広告のターゲティングとして活用することが可能です。
このように、Google アナリティクスは購買データや行動データ、広告接触データなど様々なデータを分析することができ、さらにその分析結果を広告配信に活用もすることが出来るため、より精度の高い“生活者データ・ドリブン”マーケティングを実現可能です。
Google アナリティクス 360 とは
「Google アナリティクス 360 」はGoogle アナリティクスの有料版・エンタープライズ版です(2016年に「Google アナリティクス プレミアム」から名称変更)。 無料版との違いは様々ありますが、主な違いは以下の通りです。
① ヒット数の上限
② 非サンプリングデータの活用
③ Google 社のDisplay & Video 360 、Search Ads 360 Campaign Manager との連携
④ データ連携の高度化
① ヒット数の上限
Google アナリティクス無料版では、サーバーコール数の上限が月単位であり、上限を超えた場合、その超過分のヒット数がデータ処理される保証はありません。Google アナリティクス 360 では、サーバーコール数の上限が月単位で大幅に引き上げられるため、精緻なデータでの分析が可能です。
※ヒット数とは、最終的にデータとして Google アナリティクスに送信される操作です。こうしたヒットには、ページビュー、スクリーンビュー、イベント、Eコマース トランザクションなどが含まれます。
② 非サンプリングデータの活用
Google アナリティクス 360 の機能の大きな特徴として、非サンプリングデータを利用できることが挙げられます。
※Google アナリティクスにおけるサンプリングとは、データ集計されたトラフィックのデータを一部分だけ抜き出し、その抜き出したデータの傾向から分析処理を行いレポートとして生成します。
③ Google 社のDisplay & Video 360 、Search Ads 360 、Campaign Manager との連携
無料版のGoogle アナリティクスでは、Goolge Ads との連携が可能ですが、Google アナリティクス 360 では、さらにGoogle 社のDisplay & Video 360 、Search Ads 360 、Campaign Manager との連携が可能になり、レポート連携や、蓄積したユーザーリスト連携による広告プロダクトでの配信、リッチメディアによる認知施策の可視化の実現が可能です。
④ データ連携の高度化
Google アナリティクス 360 ではBigQuery(Google 社が提供するデータウェアハウス)にデータをエクスポートすることができ、ウェブ行動データとCRM等の外部データを突合することにより、さらに高度なデータ分析~活用を実現することが可能です。
Google アナリティクス 360 ではBigQueryエクスポートによるデータ連携をすることにより、オンラインだけではなく外部データも含めた総合的なマーケティングツールとしてご利用頂ける点が特徴となります。オンライン上でのデータ分析によるマーケティング活用に加えて、サイト外(店舗など)やCRM等の外部データでの分析を掛け合わせることによるマーケティング活用が実現できます。
(図:Google アナリティクス無料版とGoogle アナリティクス 360 機能比較図)
(図:Google アナリティクス 360 を活用したマーケティング例)
Google アナリティクス 360 と他社ツールとのデータ連携
2017年11月、Google 社とSalesforce社はパートナーシップを発表しました。第一弾として、Salesforce Sales Cloudのセールス パイプライン データ(リード、商談などのデータ)をGoogle アナリティクス 360 に直接インポートすることが可能になり、オフラインのセールスデータとオンラインデータを容易に連携し、コンバージョン プロセスの全貌を把握できるようになりました。2018年7月、Salesforce Marketing Cloudと、Google アナリティクス 360 の連携ソリューションの提供も開始しました。連携により、包括的なアトリビューションによる分析とWebページの最適化を行うことが可能になりました。
Google アナリティクス 360 は、他のツールと連携することにより、今まで以上に幅広く、自社データをマーケティングに活用することを実現することが可能です。
いかがでしたでしょうか。
無料版のGoogle アナリティクスに比べて大きく拡がったGoogle アナリティクス 360 の機能の紹介をさせて頂きました。
一方で、我々はこの優れた「道具」を、単に導入するだけではなく、いかに企業のマーケティングの精度を上げて、大きな成果につなげるために使いこなしていくかが重要であると考えます。そのためには、そもそものマーケティング戦略を明確にしておくことや、各施策の位置づけを再確認しておくことが重要です。何をもって成果とするのか、KPIにはどの指標を重視するのか…などを統合的に考えることが必要です。オンライン上の部分最適ではなく、CRM等の外部データまで含めた全体最適視点で考えていくことも求められます。
Vol. 2からは、これらの視点でGoogle アナリティクス 360 の機能をどのように活用しているかを紹介させて頂きます。
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「Google アナリティクス 360 」入門 Vol. 2はこちら
この記事の著者
DIGIFUL編集部
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