
Xの広告メニュー「Amplifyスポンサーシップ」は、ユーザーが普段から閲覧しているメディアの文脈に合わせ、「広告だと意識させない自然な形で」ブランドのメッセージを溶け込ませることができる画期的な広告プロダクトです。ユーザーへ自然な形で情報が届くことで、ブランドへの関心が高まりやすく、高いエンゲージメントが期待できます。
株式会社メルカリは、Amplifyスポンサーシップが持つポテンシャルを最大限に活用し、新サービス「メルカリモバイル」の認知拡大と理解促進に大きく寄与する結果となりました。同社がAmplifyスポンサーシップをどのように活用し、どのような成果を得たのかを徹底解説します。
Amplifyスポンサーシップのポテンシャル
Amplifyスポンサーシップは、質の高いコンテンツを制作するための時間やコストに制約があるなか、認知拡大にとどまらずサービス理解までを求める企業にとって最適な広告メニューです。
コンテンツ制作費の最適化と効率的な情報発信
「質の高いコンテンツを作りたいけれど、時間も費用も足りない。」というお悩みを抱える企業は少なくありません。Amplifyスポンサーシップでは、Xと提携する信頼性の高いメディア(例:出版社等が運営するオウンドメディアやニュースサイト、キュレーションサイトなど)が、企業に代わって記事や動画コンテンツを制作します。 さらに、その制作費は配信費用に含まれているため、企業はコンテンツ制作にかかる手間やコストを大きく削減できます。削減できた制作費を配信に充てることで、より情報発信量を増やすことが可能になります。これは特に、新サービスをローンチした際など、迅速かつ効率的な情報発信が求められる場面で非常に有効です。
(図1:Amplifyスポンサーシップの料金設計イメージ )
「広告っぽさ」を感じさせないことで叶える、深い理解促進
メディアタイアップ型のAmplifyスポンサーシップは、ユーザーが普段から閲覧しているメディアの文脈に沿った形で情報が提示されるため、広告であることを意識せず、自然な形でサービスや商品の詳細まで深く理解してもらうことが可能です。 特に、複雑なサービス内容や新しい概念を伝える必要がある場合に、記事形式のコンテンツは動画やバナー広告よりも、より多くの情報量と説得力を持ったユーザーへの訴求に適しています。
(図2:メディアタイアップ型Amplifyスポンサーシップの施策内容)
Amplifyで認知と理解促進を両立した「メルカリモバイル」のメディア戦略
「メルカリモバイル 」は、メルカリユーザー同士が「ギガを売り買いできる」という革新的なコンセプトを持つ、市場にこれまで存在しなかった新しいMVNOサービスです。このユニークな特性から、株式会社メルカリが提供する既存サービスとは異なるコミュニケーション戦略が必要でした。
(図3:メルカリモバイルイメージ)
画像引用:メディアジーン、「メルカリモバイルでスマホ料金とギガ容量のバランス問題に終止符」、GIZMODO
サービス認知拡大と概念理解の両輪が求められた
「メルカリモバイル」は2025年3月に提供を開始しました。「メルカリユーザー同士がギガを売り買いする」という、これまでの通信サービスにはないユニークな仕組みであったため、サービス自体の認知拡大だけでなく、その概念を広く理解してもらう必要がありました。フリマアプリ「メルカリ」ではすでに高いブランド認知力を誇っているものの、「メルカリモバイル」の認知度はまだ低く、そのユニークな概念ゆえにサービス名だけでは直感的な理解が難しいという課題がありました。そのため、これまでの「メルカリ」のブランドで培ってきた認知施策だけでは、サービス理解の促進までを叶えることは困難だと判断し、認知と理解促進のバランスが良いAmplifyスポンサーシップの採用に至りました。
サービス概念深く伝えるための最適なメディア選定
「メルカリモバイル」の提供開始当初は、サービスへの理解度や好奇心が比較的強いターゲットからお客様を広げていく必要がありました。そのため、新しいガジェットやライフスタイルへの関心が高い、かつ情報感度の高い層(アーリーアダプター層)に着目し、「なぜそれが便利なのか」「ユーザーにとってどんなメリットがあるのか」など、具体的な価値を深く理解してもらうアプローチが不可欠でした。
この目的を達成するには、情報量が限られる動画広告などよりも、サービスの世界観や詳細な仕組みをじっくりと解説できる記事形式のコンテンツが適しています。「ギガを売り買いする」という独自の仕組みやそのメリットを、文字情報で論理的かつ丁寧に説明し、ユーザーに納得感を持って理解してもらうため、Amplify スポンサーシップの豊富なメディアラインナップからライフスタイルメディア「GIZMODO」を選定しました。
GIZMODOは、最新のガジェットやテクノロジー、サイエンス、カルチャー情報に関心のある20~50代の男性に人気があるメディアです。「メルカリモバイル」のようなMVNOサービスとの親和性が極めて高く、最適なコンテンツパートナーといえます。
(図4:GIZMODOの基礎情報)
画像提供:X Corp. Japan
成果最大化の秘訣は「高度に最適化されたクリエイティブと戦略的な配信設計」
Amplifyスポンサーシップを活用して成果を最大化するにあたり、三つのポイントがあげられます。
①専門メディアを活用した効率的かつ質の高いコンテンツ制作
Amplifyスポンサーシップの最大の魅力は、専門メディアによる質の高いコンテンツ制作を代行してもらえる点です。今回の施策では、GIZMODO編集部がサービスの基本的な特長とメリットを明確に伝える記事を制作しました。これにより、限られた時間とリソースのなかで、サービスの本質を的確に伝える高品質なコンテンツを実現しました。
②記事PV(ページビュー)の最大化を重視
最も重視した評価指標は、GIZMODOで公開する記事の「PV最大化」でした。施策目的の一つであるサービス内容の理解を促すには、記事を読んでもらう必要があります。記事ページにページビュータグを設置し、記事のPV数を計測しました。さらに、広告施策も記事への遷移を最重要KPIとし、より多くのユーザーに記事を閲覧してもらうことを目指しました。
③データドリブンな配信で広告効果を最大化
広告効果を最大化するため、Hakuhodo DY ONEの知見と運用力に基づき、三本の広告を同時に配信する「ローテーション戦略」を採用しました。Xの広告配信成果を週次で分析・評価し、CTR(クリック率)が最も低いクリエイティブを新しいものに差し替える運用を続け、常に高いパフォーマンスを維持する広告セットの仕組みを確立しました。この継続した最適化により、最終的に合計6種類の広告クリエイティブを効率的に活用しながら、GIZMODOのX公式アカウント上で日付・時間帯を戦略的に分散させた6回の配信を実施しました。このように、コンテンツパートナーとの連携による柔軟な配信調整が可能なAmplifyスポンサーシップならではの強みを活かし、リーチとエンゲージメントの向上を実現しました。
(図5:高パフォーマンスを維持する「ローテーション戦略」)
記事PV達成率222.3%!高品質なコンテンツで認知拡大と理解促進を両立
Amplifyスポンサーシップ実施後、記事PVは約 4.5 万 PV を達成しました。これは、最低保証 PV(20,000PV)に対して 222.3%という驚異的な達成率になります。 ユニークユーザー数も 3.8 万人を記録し、多くのユーザーに記事を届けることができました。
GIZMODOだからこそできる課題提起型の記事設計により、読者の関心を高い確度で引きつけたことも、PV数獲得の好循環を後押ししました。記事のストーリーは、GIZMODO独自の視点で通信サービスならではの「ギガが余る」現象を取り上げつつ、「メルカリモバイル」独自の「ギガを売る」という新たな価値を提示する構成です。GIZMODOの視点でサービスを解説することが、読者の共感を得る大きな成功要因となりました。
この結果は、Amplifyスポンサーシップが単なる認知だけでなく、ユーザーの興味・関心を引き出し、次の行動へと繋げる効果があることを明確に示しています。
(図6:メルカリモバイル施策での獲得PV数)
株式会社メルカリは今回のAmplifyスポンサーシップ実施について、以下のように振り返っています。
新サービスの認知施策として、初動のタイミングでAmplifyスポンサーシップを実施したことは非常に有効でした。 コンテンツ制作のリソースが限られている中でも、専門メディアによる質の高い記事コンテンツを制作でき、かつ多くのユーザーとの接触ポイントを増やすことができました。特に、狙いたいターゲット層を明確にすることで、Amplifyの豊富な媒体ラインナップから、その特性を活かした最適なプランニングが可能であると実感しています。
ターゲットの明確化と媒体特性の戦略的活用が深いコミュニケーション設計のカギ
今回の施策を振り返ると、Amplifyスポンサーシップは新サービスをローンチする際の施策として非常に有効性の高い施策の一つであることがわかります。これはAmplifyスポンサーシップとメルカリモバイルの特性が見事に合致した結果といえます。
新サービスの立ち上げ初期にありがちな「リソース不足のなかでの効率的な認知拡大」という課題に対して、Amplifyスポンサーシップは「専門メディアの知見を活かした質の高いコンテンツ制作」と「ターゲットに最適化された配信設計」を同時に提供します。この組み合わせが、複雑な新サービスの魅力を短期間で効果的に伝える強力な推進力となります。
新サービスの認知フェーズにおけるAmplifyの実証された効果と示唆
当初は、Amplifyスポンサーシップを活用することで制作リソースの効率化と質の高いコンテンツ制作の両立に大きな期待をしていました。結果的に、「効率的で高品質な情報展開」のみにとどまらず、想定以上に多くの生活者にサービス認知からその詳細まで伝えることができました。
今回の施策は、「メルカリモバイル」の仕組みを丁寧に解説する記事形式で展開しました。「ギガが毎月余ってしまう」ことを課題と捉え、その解決策として「ギガを売る」機能を説明し、日本最大のフリマアプリを運営する株式会社メルカリならではの新しい概念として紹介しています。さらに、GIZMODOの編集部が読者(GIZMODO読者)に好まれる表現やストーリー構成などの要素を加えることで、単なる記事PVだけでなく、理解促進にもつながりました。
この結果は、課題起点でのサービス紹介や読者理解の強い媒体編集部によるコンテンツ制作が、効率化に加えて「読者が共感しやすい情報として届ける」効果的な手段であることも示しています。そのため、Amplifyスポンサーシップのなかでも、記事形式のコンテンツは、新サービスのローンチ期などの生活者にサービスの価値を伝える場面で有効な選択肢となります。
データが示す、効果的なコミュニケーション設計の新たな知見
ローテーション戦略による継続的なクリエイティブの最適化も、最低保証PVの222.3%という驚異的な成果の創出を叶えた要因の一つです。CTRの低い広告を週次で差し替えていくことで、広告効率が向上し、全体のパフォーマンス向上に大きく寄与しています。
施策成功のポイントとなった「読者視点のコンテンツ設計」と「データドリブンな最適化」の組み合わせこそが、認知広告施策だけでは難しい、高いエンゲージメントと理解促進を実現します。これらの知見は、今後のマーケティング戦略において、より深い顧客理解と効果的なコミュニケーションを築くための重要な鍵となるでしょう。
まとめ
今回のメルカリモバイルのローンチ事例は、X Amplifyスポンサーシップがサービス立ち上げの初期段階において効果的なソリューションとなりました。株式会社メルカリは、新サービスである「メルカリモバイル」の認知拡大において、Amplifyスポンサーシップを活用した結果、最低保証 PV の 222.3%という驚異的な成果を達成し、効率的な認知拡大と理解促進を実現しています。
本件は、AmplifyスポンサーシップのコンテンツパートナーであるGIZMODO が制作したコンテンツを活用し、Xの広告配信をおこないました。メルカリモバイルの顧客ターゲットと親和性の高いメディアでの情報展開をおこなったことで、新サービスの認知拡大や複雑なサービスの理解促進において高い費用対効果を実現。制作リソースが限られるなかでも、質の高いコンテンツを最適なターゲットに届けられる点が、新たなサービスをローンチする際の大きな強みとなりました。
Amplifyスポンサーシップは、多様な業界のクライアント企業の課題解決に貢献し、ブランドと生活者の間に新たな接点を創出するポテンシャルの高い広告メニューです。「複雑なBtoBサービスの認知拡大に悩んでいる」「既存の広告手法ではリーチしにくいニッチなターゲット層を持っている」「商品の技術的特長を分かりやすく伝えたい」という課題、また「クリエイティブ予算投下が難しい」「専門的な制作ノウハウがない」などの制約があるケースに適した施策となります。実施をご希望の場合はぜひ Hakuhodo DY ONE までご相談ください。
この記事の著者
野口 恵里
商社での営業経験を経て、2022年に株式会社デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(現:株式会社Hakuhodo DY ONE)へ中途入社。メディアビジネス本部に所属し、媒体社との協業業務を担当。現在X・BeReal担当として、媒体社のセールス活動、社内向け情報発信、社内からの相談対応等に従事。
商社での営業経験を経て、2022年に株式会社デジタル・アドバ...