ここ数年の、急速なデジタル変革は目覚ましいものがあります。BtoB企業においても例外ではなく、テクノロジーの台頭によって従来のマーケティングの在り方は一新され、デジタルマーケティングの実践が求められるようになってきました。しかし、デジタルマーケティングをいざ実践しようとすると必要な知識やノウハウがなく、どのように企業内で推進していけばよいのか、困っているマーケティング、デジタル推進部署の担当者も多いのではないでしょうか。この記事では、BtoB企業に向けて、デジタル変革による事業推進を支援するソリューションについて一例をご紹介します。
「統合BtoBマーケティング」とは何か
BtoBマーケティングの特徴
BtoBはBusiness to Businessの略です。個人向けはBtoC(Business to Customer)といいます。BtoBマーケティングとは、法人企業との取引を想定したマーケティング活動全般を指します。BtoBマーケティングの特徴として、BtoCマーケティングとは実施プロセスが大きく異なります。具体的には意思決定のプロセスや検討期間や価格が異なるのがポイントです。BtoCにおいて、個人の消費の意思決定は合理的であるとは限りません。ただ単純に「好きだから」、「欲しいから」など感情が優先する場合もあります。100円のおにぎりを買うのに、比較・検討時間も長くはありません。
ところが、BtoBマーケティングでは意思決定のプロセスが複雑化し、検討期間は長期化、価格は高価格になることが多いのが一般的です。意思決定においても、合理的であることがほとんどです。意思決定者(決裁者)が複数にわたることもあり、その分検討期間は長くなります。また企業向けのエンタープライズ商品は個人向けに比べて高額です。
BtoBマーケティングの営業活動においては、この複雑なプロセスを理解し工夫することが受注率を上げるために求められます。
BtoB企業が抱える現状の課題
最近ではインターネットの発達により、マーケティングオートメーション(英:Marketing Automation※以下MA)やコンテンツマーケティングを活用する新しい手法が開発され、進化しつつあります。BtoBマーケティングを実践するうえでこれらのツールは欠かせないものになりつつあります。しかしツールを導入した一方で、そのようなツールをうまく活用できていない声が多いのが現状です。
以下は、企業で抱えやすい課題の一例です。
case.1:ツールを導入したきり使いこなせない
システム会社にお願いしてMAを導入した。その後は企業内で推進することになったがMAを使いこなせる人がいなかった。結局のところ、MAがまったく活用されていない。
case.2:コンテンツをつくる部署がない
リード(潜在クライアント)に対して、定期的にブログやメルマガなどコンテンツを使って情報発信していきたいが「社内でコンテンツを制作できる部署がない」という理由だけで、対応できていない、もしくはあきらめている。コンテンツの重要性が社内で伝わりきれていない。
case.3:組織の壁が立ちはだかっている
営業とマーケティング部署間が断絶している。連携した取り組みができていない。現場で実際に動く営業にとって、マーケティングがもたらす価値を実感できていない。(そもそも企業内にマーケティングの組織がない場合も)
case.4:獲得偏重 リードが塩漬け状態になっている
イベント・セミナーや広告出稿でリードを獲得したが、そこからリードを育てて案件化する、自社の製品やサービスを購入する可能性を高めていくといったナーチャリング施策に対応できず、まったく実績が上がらない。リードが塩漬け状態になっている。
上記の問題に共通することは、BtoBマーケティングにおいて“部分最適”による推進だけでは限界があるということです。“全体最適”による推進が必要であり、あらゆる視点から複合的におこなう「統合BtoBマーケティング」の実践が重要であるといえます。
「統合BtoBマーケティング」の実践に向けて
実践に向けた統合プラットフォーム
統合BtoBマーケティングの実践に向け、統合プラットフォームが有効です。統合プラットフォームでは、企業が保有するリードや既存の企業データと外部の法人企業データツールを掛け合わせることが可能です。そうすることで、より質の高いターゲットリストを生成したり、ダッシュボードを用いてモニタリングしたりなど、営業活動を高度化する仕組みを構築できます。(図1)
(図1:統合BtoBマーケティングの実践に向けた統合プラットフォーム全体像)
統合プラットフォームの導入プロセス
Step1. データ準備
企業内で保有しているリード情報及び既存層の企業データ(MAなど)と外部の企業法人データツール(FORCASなどのABM※ツール)をデータ突合させ、分析用データを生成。データ突合させることで自社データだけでは分からなかった売上高や資本金など様ざまな情報を把握できます。
Step2. 既存層 企業分析
生成した分析データを基に突合した企業をモデル企業と捉え、特徴抽出し市場ポテンシャルやニーズを見立て、分析。
Step3. ターゲット特定
企業分析の結果、モデル企業と似た特徴を持つ未開拓の潜在層からターゲット企業を選定するための切り口を整理。切り口は業種や上場・非上場、社員数など様ざまで、それら切り口を掛け合わすこともできます。
Step4. ターゲットリスト生成
整理した切り口に基づき、ターゲット企業を選定してターゲットリストを生成。
Step5. ダッシュボード運用
ターゲットリストに基づく営業活動を実施し、商談化率や受注率といったKPIをダッシュボード化して定点モニタリング運用を実施。
※ABM: Account Based Marketing の略。“人”単位ではなく“組織(会社)”というアカウント単位でマーケティング活動を展開する手法。
実践のための“論点整理”
ここでは、統合プラットフォームを活用した実践を進めていくうえで、重要なポイントとなる“論点整理”について解説します。
KGI/KPIによる論点整理
企業分析を実施していく上ではゴール設定が重要となります。具体的に進めていくためには(図2)のようなロジックツリーによるKGI(Key Goal Indicator:重要目標評価指標)/KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を定義したうえで、論点を整理していくことが有効です。
(図2:論点整理のためのKGI/KPIロジックツリーイメージ)
KGIは簡単にいうと最終目標です。ビジネスが達成すべきゴールの指標を設定します。KPIは最終目標の進捗を評価する指標になります。現場担当者の課題解決に関する具体的なアクションプランまで落とし込み成果指標を設定します。KPIはより細かく、具体的なアクションプランまで落とし込んでいる方が望ましく、かつシンプルでチーム指標であることが重要です。そうしたKPIに基づき、日々の営業活動における成果をモニタリングしていくことで統合BtoBマーケティングによる営業活動の高度化を実現することができます。
「企業分析×ABM×ダッシュボード」の仕掛け
ABMとは
ABMを推進している「FORCAS」によると、
引用:「ABMとは、ターゲットアカウントを定義し、アカウント別に営業・マーケティング情報を集約・分析し、アカウント別に営業・マーケティング組織を再編成しターゲットアカウントのLTV最大化を目指すマーケティング」
(参照サイト:FORCAS『OVERVIEW FORCASとは』)
と定義しています。
従来のターゲットを絞らないリード獲得を中心とするマーケティングではなくターゲットを絞ったうえでアカウント(ターゲット企業)を中心とするマーケティングというのが特徴です。ターゲットを絞る事で営業活動を効率的に行うことができ、工数削減や商談化率や受注率の向上が期待できます。
まとめ
本記事では営業活動における統合BtoBマーケティングの実践として、BtoB企業が抱える現状課題から解決策としての統合プラットフォームを活用したソリューションをご紹介しました。営業活動をデジタル変革により高度化することで、工数削減やさらなる商談化率・受注率の向上を期待できるのではないでしょうか。
さらに詳しく知りたい方はぜひ、資料をダウンロードしてみてください。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
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