ミドルファネル攻略のカギは「科学的」な動画クリエイティブ制作にあり

2022.11.07

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ミドルファネルとは、生活者の購買プロセスであるパーチェスファネルの中間段階のことで、見込み顧客が自身の課題を特定した状態で情報収集をおこない、商品やサービスへの興味関心を高めていく過程のことです。マーケティングをおこなう企業としては、この段階でコンテンツを通じて生活者に複数回接触することで、自社商品/サービスの認知を図り、理解を深めてもらう必要があります。アイレップではミドルファネル施策として動画を積極的に活用しており、その企画・制作プロセスに「科学」を導入しています。本記事では動画を用いた施策を多く手がけている横畝明氏、八木葵氏に、ミドルファネル攻略のポイントについて聞きました。

ミドルファネル攻略に「科学」が必要な理由

- なぜアイレップはミドルファネル領域の広告施策に「科学」を持ち込んでいるか、その背景を教えてください。

横畝
アイレップのクライアント企業は、ロワーファネル領域から施策から施策範囲を拡大し、ミドルファネル領域にも取り組むというパターンが多いことに由来します。そのため、ミドルファネル施策に対しても、獲得施策同様に、明確な数値による成果を求められます。

ミドルファネル攻略に際しては、ロワーファネル領域で取り組んできた顕在層だけでなく、準顕在層を振り向かせなくてはなりません。そのためには、クリエイティブの「面白さ」も追求する必要があります。最終的なコンバージョンにつながる「面白さ」とはどのようなものなのか、主観的、感覚的な企画提案では納得していただけません。そのような背景があり、動画広告の企画から制作までのプロセスを「科学」しています。

 

- ミドルファネル領域攻略において、ロワーファネル領域施策でよくおこなわれるようなA/Bテストで、勝ちクリエイティブを残していく戦略では難しいのでしょうか?

横畝
A/Bテストを繰り返すと、成果が出るクリエイティブだけが勝ち残っていく一方で、似たような型にはまってくるという弊害が出てきます。特に同じ商品やサービスだと類似したクリエイティブになりがちです。

獲得施策であればそれでもいいかもしれませんが、同じユーザーに何度も接触し、興味関心をナーチャリングするミドルファネル施策では、何度も同じクリエイティブをあてるわけにはいきません。飽きられてスキップされてしまうだけではなく、何度も接触する中で嫌悪感を抱かせてしまい、ブランド毀損につながってしまう可能性もあるからです。そのような理由から、ロワーファネル領域で取り組んできた数値を軸とした勝ちパターンを磨き込んでいく考え方だけではなく、クリエイティビティによる面白さも必要になってくるのです。

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効率的に「科学する」企画を立案する「100PON GPの頭出し」

- アイレップでは、ミドルファネルの広告企画を効率的に制作するために「100本グランプリ(以下、100PON GP)の頭出し」というフローを採用しているとのことですが、その内容を教えてください。

横畝
正直なところ、マス施策と比較すると、デジタル施策の予算やスケジュールの条件に自由度が低いことが多いです。その中でより良い企画を作り込むためには、予算や企画に関わるリソースをうまく配置する必要があります。「100PON GPの頭出し」とは、効率的に予算を使い、スピーディーにより良い企画を作り出すための、アイレップ独自の制作システムです。

八木
「100PON GPの頭出し」では、案件を担当するメンバー以外の若手クリエイティブメンバーにも企画案作成に協力してもらいます。ネーミングどおり100本立案を目指して、2時間ほどブレインストーミング的に企画案出しをおこなってもらい、それらの企画案をもとに案件担当者がディレクションし、クライアント企業に提案します。

「100PON GPの頭出し」の一番のメリットは、案件の直接の担当ではないメンバーのリソースを使うことで、全体工数を抑えつつ、さまざまな観点から企画案を作成できることです。例えば、ミドルファネルのデジタルコミュニケーションは、SNSなどの利用時間からもメディア特性を深く理解している若手が中心にプランニングすることが多いです。こういった多様な視点かつ短期間で企画案を提案できる点はクライアント企業にも好評です。

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動画撮影は「ふた山モデル」で科学する

- 動画撮影に関する「科学する」ポイントを教えてください。

横畝
アイレップでは、企画の前段階でメッセージ調査を実施しています。メッセージ調査に関しては、従来からコンパクトな予算で多くの数を実施しており、リソースもノウハウも豊富なので、小回りの利く形で実施することができます。

その調査結果を踏まえて認知施策の企画を作り、動画撮影にとりかかります。動画撮影に関しては、アイレップが提唱する「ふた山モデル」という撮影ノウハウを活かしておこなっています。

「ふた山モデル」とは、動画全体の時間の中で「2つの山」を作る、すなわち冒頭でしっかりとキャッチを作った後に、中盤でファクトを伝える二段構成のことです。これにより、スキップされる確率を抑え、かつ商品やサービスへの理解を促進することができます。

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「100PON GPの頭出し」で自由に企画案を発想しつつ、そこからきちんと成果の出る型に落とし込んで外さない動画を作ることが「科学する」ことだと認識しています。

また、博報堂DYホールディングスの横断組織「Creative technology lab beat」の一員としてアイレップで開発した「H-AI EYE TRACKER」というツールを活用し、A/Bテストに頼らずに勝ちクリエイティブを判断しています。さらには、「ふた山モデル」の型が反映できているのかどうかを属人的に判断するのではなく、しっかりとツールを使って判断しブラッシュアップしていきます。これも「科学する」ポイントですね。

若年層の心を捉える動画制作のポイント

- 動画広告では、最初の数秒が見てもらえるかスキップされるかの分かれ目となります。アイレップでは、「Made for Media」という考え方に基づいてクリエイティブが制作されているとのことですが、動画撮影に関してもメディアごとの最適化を考慮しているのでしょうか?

横畝
はい。例えば1秒という非常に短い時間でユーザーの気を引くには、コピーワークよりも、視覚情報でキャッチを作る方が重要だと考えております。そのためには、企画の時点でかなり綿密なプランニングが必要になります。

 

- 最初の1秒でスキップされない動画広告を作るためのポイントというのはありますか?

八木
最近の傾向として、興味のない情報が表示された瞬間にスキップします。ですので、最初にサウンドロゴや企業ロゴを表示するのではなく、直感的、感覚的に「見たい!」と思うような情報、例えばターゲットユーザーの好感度が高いインフルエンサーを表示するのはひとつの手です。

大事なのは、ターゲットとするユーザーが好感を持つもの、好きなものを出し惜しみせず、先に先に出していくということです。動画広告は見続けてもらえないことには始まりません。もちろん、最終的には商品やサービスの認知や理解が目的ですが、ユーザーの興味・関心・共感を得ることは、商品・サービス紹介よりも優先度が高いといえるかもしれません。

横畝
動画撮影をインフルエンサーの方にお願いすることもあります。その場合は、こちらがディレクションをするのではなく、インフルエンサーの方がオーガニックのコンテンツの撮影でおこなっているフローや環境で進めるようにしています。

というのも、以前、インフルエンサーの方にオーガニック投稿風の動画を撮影していただいた際、その撮影手順がスタンダードな方法とは大きく異なる方法でした。それが功を奏して、最終的に納品されたクリエイティブは我々が普段制作するような動画に比べて広告色が限りなく抑えられたものになっており、しかも大きな成果を上げることができました。メディアごとに最適なクリエイティブを作成するには、大前提としてクリエイターのポテンシャルを十全に引き出すディレクションが重要だと実感しました。

面白さと「科学」を共存させ、ミドルファネル領域の成果を最大化する

- 組織体制として「科学する」動画制作を担保するような仕組みはありますか?

横畝
アイレップのクリエイティブチームには、非クリエイティブ出身者の割合が多いのが特徴です。だからこそ、従来のクリエイティブ制作の経験や方法論にとらわれず、メディアやターゲット、商品・サービスに最適なクリエイティブ制作方法を常にゼロから、科学的に追求するという方針が徹底されています。

クリエイターの主観的な感覚を重視するクリエイティブ制作になじみのある人からすると、「科学する」、すなわち数字による明確な成果を求めるクリエイティブ制作というのは、抵抗感があるかもしれません。しかし、私たちは広告会社の人間として、クリエイティブ制作に関しても数字を追う使命があります。クリエイティブ制作を「科学する」ことが当たり前であると認識している人材が揃っているのは、大きな強みだと思っています。

 

- 動画を活用してこれからミドルファネル攻略に取り組みたいクライアント企業の担当者に向けて、メッセージをお願いします。

横畝
私たちは、数字をもって科学することと、クリエイティブとして面白いものを作ることは、共存可能だと確信しています。「科学する」をキーワードに、成果を数値化/視覚化することで、ミドルファネル領域の成果を最大化し、スムーズに獲得につなげていく動画施策をご提供します。ぜひお気軽にご相談ください。

 

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この記事の著者

横畝 明

CM制作会社にてプロダクションマネージャーの経験を経て、2019年アイレップに参画。アイレップに入社した後は、前職で培った広告動画の知見を生かし、CMプランナーとしてテレビCMやウェブCMの動画企画をメインにプランニングをおこなう。

▼好きなこと
筋トレ、ジョギング、料理など健康になること全般。

CM制作会社にてプロダクションマネージャーの経験を経て、20...

八木 葵

インタラクティブデザインDiv プランナー
2021年アイレップ入社。金融などのBtoB商材やエンタメを扱う案件を中心に動画企画を担当。TV CM・YouTube動画からSNSキャンペーン施策などの様々なプランニングに従事。

▼好きなこと陶芸とフラフープ

インタラクティブデザインDiv プランナー
2021年...

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