前回記事ではFireworkの基本的な機能を中心に紹介しました。今回はどのような企業が導入しているのか、導入した企業はどのように活用しているのか、その事例をFireworkの瀧澤優作氏にうかがいました。また、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社(以下:DAC)と共同で展開しているFireworkを活用した新たな広告ネットワークについて、その狙いとメリットをDACの李秀美氏に伺いました。
▼この記事の著者
- 瀧澤優作 氏
Firework Japan Country Manager(日本事業責任者)
Firework創業初期メンバーとして当時6人・創立3ヵ月のタイミングでジョイン。入社約5年で社員220名・グローバル5オフィスまで拡大。現在日本マーケット展開の責任者を担当。
- 李秀美 氏
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社
グローバルビジネス本部
グローバルプラットフォーム推進部
ストラテジックプランナー
デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社新卒入社後、AdTechソリューション企業とのアライアンス/ビジネス開発を推進。CMPソリューション、IDソリューション、クリエイティブテクノロジー、ダッシュボードツール、AI運用最適化ソリューション等を担当。その後、大手グローバルプラットフォーマーとのアライアンスを推進する部署に異動し、Fireworkソリューションの日本市場進出を支援中。
Fireworkを導入する具体的なメリットとは?
- Fireworkを導入した企業は、どのように活用しているのでしょうか?
瀧澤:
Fireworkを導入する具体的なメリットは、以下の3点に集約されます。
- テキストや画像では伝えきれない雰囲気、ニュアンスを伝えられる
- 自社媒体内の回遊性・滞在時間を高められる
- 動画から特定ページへ(自社ECサイト、別媒体)へ誘導することができる
以下、こうしたメリットを踏まえて活用している4つの導入事例を紹介します。
導入事例:静止画の弱点である「ニュアンスを伝える」をショート動画で実現
瀧澤:
株式会社アンドユーが運営するパーティドレスのレンタルショップ「ANDYOU DRESSING ROOM」では、画像を並べたカタログ的な見せ方に加えて、Fireworkによる縦型ショート動画でも商品を紹介しています。
(図1:動画をクリックするとFireworkの画面に変わり、商品を着用したモデルの歩く姿が表示される)
これによってサイズ感やドレスの雰囲気を画像よりもわかりやすく伝えることができます。
左右の矢印をクリック(スマートフォンではスワイプ)すると他の動画に切り替えられ、「もっと見る」画面をクリックすると、検索ページにジャンプします。
(図2:左右の矢印をクリック(スマホではスワイプ)すると、他の動画に切り替わる)
FireworkからWebサイトの検索ページに移動した際も、画面右下にワイプの形(Floating Video)で動画が表示され続けます。動画をクリックすると、Firework画面に戻ります。
(図3:画面右下にワイプの形(Floating Video)で動画が表示される)
(図4:動画右下の「今すぐ予約する」ボタンをクリックすると、商品個別ページにジャンプする)
商品個別ページにジャンプしてもFloating Videoが表示されるので、画像と動画の両方で商品を検討できます。動画をクリックすると、再びFirework画面に戻ります。
(図5:商品個別ページにジャンプしてもFloating Videoが表示される)
導入事例:同時展開するYouTubeチャンネル動画から縦型ショート動画を制作
瀧澤:
株式会社Mattoが運営するゴルフ情報サイト「GOLFサプリ」では、同時展開するYouTubeチャンネルで配信している動画をもとにした縦型ショート動画を配信しています。
(図6:「もっと見る」ボタンをクリックすると、該当のYouTube動画にジャンプする)
(図7:同じ枠内でサイト内コンテンツの紹介動画も配信。「もっと見る」ボタンから、該当コンテンツにジャンプする)
導入事例:縦型ショート動画でコンテンツ記事をフィーチャーし回遊性向上を狙う
瀧澤:
女性ファッション誌『FUDGE』(三栄書房)の公式サイト(https://fudge.jp/)では、サイト内の中ほどにFireworkを導入。タイアップ記事も含めたサイト内コンテンツをもとにしたイメージビデオ的な縦型ショート動画をカルーセルで掲載しています。
(図8:「もっと見る」をクリックすると、サイト内の該当コンテンツに移動。
これによって他コンテンツの閲覧を促し、回遊率向上に寄与している)
(図9:「もっと見る」をクリックすると、サイト内のコンテンツに移動する)
株式会社インタースペースが運営する、ママのための情報プラットフォーム「ママスタセレクト」では、カテゴリごとのトップページ上部にサイト内の他コンテンツのダイジェストを縦型ショート動画で制作し、カルーセルで掲載しています。そのカテゴリとは異なるカテゴリのコンテンツを動画で紹介することで、サイト内の回遊性を高めています。
(図10:異なるカテゴリのコンテンツを動画で紹介)
(図11:動画をクリックするとFirework画面に移動する。個々の動画の右下にある「もっと見る」ボタンをクリックすると、該当ページに遷移する)
導入事例:縦型ショート動画を核にユーザーのファン化を強く促すサイト構造を構築
瀧澤:
J1に所属するプロサッカークラブ「アビスパ福岡」では、公式サイト(https://www.avispa.co.jp/)内でFireworkを設置してメディア的に活用することで、自社ECサイトへの送客だけでなく、ユーザーのファン化を促す施策にも活用しています。
(図12:選手にまつわるグッズ販売の告知とECサイトへの連携は、Fireworkのもっとも基本的な活用のひとつ。「今すぐ購入」ボタンをクリックすると、ECサイトへ移動する)
(図13:「今すぐ購入」ボタンをクリックすると、ECサイトへ移動。Fireworkから、自社ECサイトへスムーズに送客できる)
チアオーディション開催の告知も、縦型ショート動画で行っています。
(図14:チアオーディション開催の告知。「今すぐ応募する」ボタンをクリックすると、申し込みページにジャンプする)
クラウドファンディングの告知と協力のお願いにも縦型ショート動画を活用しています。
(図15:クラウドファンディングの告知。「もっと見る」をクリックすると、外部のクラウドファンディングのページにジャンプする)
Firework導入のコスト
- こうした仕組みをスクラッチで作るのは大変だと思いますが、Fireworkだとどれくらい手軽に導入できるのでしょうか?
瀧澤:
ここまでの仕組みを自社で作る場合、そもそもビルドアップに時間がかかりますが、それ以上に、メンテナンスに相当なリソースがかかってくると思います。また、サーバーコストも馬鹿になりません。しかし、Fireworkをお使いならば、そういったところをわれわれがサーバー料金も込みでまるごと負担しますので、コスト面でのメリットはかなり大きいはずです。
Fireworkの導入は、すでにWebサイトをお持ちであることだけが条件で、あとは、DACを通して契約していただければ、エンジニアリングの必要もないので、契約初日から使えるようになります。マーケターのみで導入 / 実装ができる点も、大きなポイントです。
(図16:インタビューに応じる瀧澤優作氏)
- 価格はどれくらいなのでしょう?
瀧澤:
大きくは、媒体社様とECサイト様で異なり、それぞれのクライアント企業様のタイプに合わせて、複数の料金パターンをご用意しています。
媒体社様の場合、基本は、縦型ショート動画とライブ配信の再生回数に応じた固定定額制です。非常に低価格に抑えてありますが、その理由は後段でもお話しするように、Fireworkでは媒体社様が導入したFireworkを束ねてネットワーク化しており、そのネットワーク上に流す広告を作らせていただく分、料金を抑えることができるというわけです。
対して、ECサイト様の場合は、直接的なSaaS契約がメインになります。ちなみに、サーバー代もわれわれが負担するほか、初期手数料もありませんし、他サービスと比較してもかなりお安いと思います。
FireworkのEC向け機能
- FireworkのEC向け機能には、縦型ショート動画の埋め込みとライブ配信以外には、他に何がありますか?
瀧澤:
Fireworkは「動画マーケティングプラットフォーム」という名前のとおり、ポイントソリューションではなく統合プラットフォームです。ですので、縦型ショート動画プレイヤー、ライブ配信プレイヤーの機能以外にも、動画マーケティングに関するさまざまな機能を有しています。
その中で第一にご紹介したいのは、縦型ショート動画の制作を行うための編集ツール。Fireworkに搭載されたソフトウェアとして提供しています。
これで簡単に縦型ショート動画を制作できますし、もし店舗の店員に縦型ショート動画を制作するオペレーションを伝えたい、つまり動画コンテンツを内製したいとお考えのお客様には、そういったコンサルティングサービスもおこなっています(コンサルティングサービスは別途料金が発生)。なお、コンサルティングサービスは、現在Fireworkジャパンでおこなっていますが、今後は提携しているDACと共同で実施することも視野に入れています。
他には、InstagramやYouTubeに投稿している動画を、自社サイトにインポートして二次利用、三次利用に簡単に活用できる機能や、データ分析機能もあります。どの動画がどれぐらい見られているか、この動画からどれぐらいのコンバージョンがあったかなどのデータが、すべて取得できるようになっています。
また、さまざまなCMSと連携できる点も強調したい点です。WordPressのプラグインはもちろん、Shopifyを始め、WooCommerce、Dudaなどと連携可能ですし、連携先は今後もどんどん増やしていく予定です。
Fireworkのネットワーク広告
- 自社媒体に縦型ショート動画を設置するだけでは、集客に関して不安があると心配されるECサイト運営者様は多いと思います。そこに対してはFireworkのネットワークを使った広告メニューを提供しているのですね?
瀧澤:
そうです。Fireworkのクライアント企業には媒体社様も非常に多いのですが、その媒体社様のWebサイトに設置されたFireworkを広告スペースにすることで、「Firework Premium Stories Network」という広告ネットワークを構築しています。
そちらに出稿していただくと、媒体社様のWebサイトにあるFirework内に広告主様の縦型ショート動画が広告として配信されて、それをクリックすると、広告主様のページにジャンプする仕組みになっています。
李:
オウンドサイトの縦型ショート動画やライブ配信は、自社メディア内で留まりがちで、現状は、拡散にはSNSを使うしかありません。しかし、このFirework Premium Stories Networkは、SNSだけに頼らない、新たな集客手段となり得る可能性を秘めています。
現在、Firework Premium Stories Networkでは、3つの広告商品をリリースしています。
「ストーリー動画ネットワーク」「ストーリー動画ジャック広告」では、媒体社様のネットワークの中で広告を表示するほか、タイアップの形で、特定の媒体社様のFirework上でのみ、EC事業社様のクリエイティブで占有することができます。
「ストーリーライブストリーミングスポンサーシップ」では、Fireworkが特に力を入れているライブストリーミング機能を対象に、集客を踏まえた全体サポートをさせていただきます。
もうひとつ大きなポイントが、Fireworkのライブ配信は、YouTubeやFacebook、Instagramとサイマル配信が可能ということです。ひとつの縦型ショート動画から、ショッパブル広告、ライブ配信のスポンサーシップ広告などに転用することで、広告主様から見ると非常に拡散力の高い座組になっていますし、媒体社様から見ても、面白い取り組みが可能な仕組みなのではないかと思います。
(図17:インタビューに応じる李秀美氏)
瀧澤:
このサイマル配信によって、リソースを効率よく活用して、最大限にリーチを伸ばすことができるのも、大きなポイントだと思っています。
これによって、従来認知の部分はTikTokやInstagramなど、他のSNSを使わざるを得なかったところが、認知から集客まで一括してFireworkでおこなうことが可能になることは、ぜひ強調したいところです。
Fireworkは、このFirework Premium Stories Networkを張り巡らせることで、ひとつの縦型ショート動画がいろいろな場所で使われて、それが最終的にはクライアント企業様の付加価値に繋がっていくという世界を目指しています。縦型ショート動画を展開するSNSは中央集権的なスタイルで展開していますが、Fireworkはそれとは逆で、すべてのメディアに入っていって、それを分散的にネットワーク化していく。その点が、大きな違いです。
現在は、プラットフォーマーのWalled Garden化が大きなトピックとしてありますが、われわれはそうではない形でネットワークを構築していきたいですし、Webサイトやアプリを運営されている方々が、巨大SNSにだけ頼らざるを得ない不均衡から脱却するための手段の提供という側面からも、サービスを展開していきたいと考えています。
Fireworkが提供できる価値
- Fireworkを導入してみたいというWeb担当者様、マーケティング担当者様の方にメッセージをお願いします。
瀧澤:
Fireworkが提供できる価値は、以下の3つにまとめられると思っています。
①自社媒体の価値を上げる
自社媒体内の体験を良くすることで、滞在時間を増やし、コンバージョンを向上させる。
②店舗内DXの推進
店舗でのオフライン接客では、1日あたり1人の店員が20人のお客様に対応するのがせいぜいなのに対して、ライブ配信や縦型ショート動画を活用することで、対応可能なお客様の数がその数倍、数百倍になるかもしれません。コロナ禍を経てのデジタル接客の割合の増加、店舗店員の働き方改革の面からも、店舗内DXの推進は多くの企業で大きな課題となっていますが、Fireworkの導入はその解決方法のひとつになり得るかもしれません。
③新しい広告手段の提供
新しいレベニューソースに広告収益が含まれるのは、非常にユニークだと思います。
Fireworkは、縦型ショート動画とライブ配信を、ごく当たり前にある基本的なコミュニケーション手段にしていきたいと思っています。手軽に縦型ショート動画の配信が可能になることで、毎週特定の時間に配信されているのを見るのが習慣になるような、これまでになかった新しいユーザー体験を作ることができるようになります。そうした密接なコミュニケーションが、自社媒体のリテンションを高め、ロイヤルカスタマーの育成に繋がると考えています。
李:
Fireworkは自社媒体の中で、縦型ショート動画をスムーズに活用するためのソリューションです。これまでは、縦型ショート動画のリーチは、自社媒体とSNSを使っても既存顧客が中心でしたが、Firework Premium Stories Networkを活用することで、リーチを新規顧客へも広げることができる座組になっています。
プラットフォーマーのWalled Gardenに依存しない広告展開は、グローバル全体で拡大しており、この座組での広告キャンペーンの事例も出はじめています。日本市場においても、ぜひ推進をしていきたいと思っています。ぜひお気軽にDACまでお問い合わせください。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。
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