若年層へのマーケティングを考えるうえで外せない「Z世代」という存在。若年層の心を掴むため、アイレップでもZ世代社員を中心としたプロジェクトチームを構成しました。今回はアイレップZ世代社員のファッションの消費行動に関するアンケートの結果と、3名のリアルなカスタマージャーニーを公開します。また、それらをもとにZ世代マーケティングのおさえておくべきポイントをご紹介します。
1.Z世代とは
Z世代とは、1996年以降に生まれた世代を指しています。彼らは子供の頃からデジタル機器を使用することが当たり前の環境で過ごしており、デジタルネイティブと言われています。また、Z世代の中で一番上の世代である1996年生まれは中学生の頃からソーシャルメディアを使いはじめており、彼らの生活にはさまざまなSNSが浸透しています。ITリテラシーが高く、オンラインでのコミュニケーションが当たり前となっている彼らはこれまでの世代とはまったく違う存在です。これから消費市場の中心となるZ世代を新しい顧客として開拓していくために、彼らの価値観や行動について知っておくべきでしょう。
参照元:Criteo 2018年8月14日「ミレニアル世代 vs Z世代:押さえておくべき4つの違いと特徴 」
2.Z世代社員の消費行動アンケート結果
今回、アイレップのZ世代社員100名を対象にファッションの購買行動に関するアンケートを取りました。
アンケート結果からZ世代社員がファッションアイテムを購入する際の行動について、主なポイントは以下になります。
・85%のZ世代社員がInstagramを参考にしている一方で、インフルエンサーを参考にしている人は約半数に留まる。
・一度のショッピングで使う金額は5,000円以上10,000円未満と、10,000円以上30,000円以下で95%を占める。等身大の予算内でなるべく品質の高いものを求め、極端に安価なもの、高価なものは購入しない傾向にある。
・ECサイトより実店舗を利用する人の方が多い。どちらも同じくらいと回答した人と合わせると約75%が実店舗を利用している。
・ブランドのネームバリューやトレンドよりも、質やデザインが良く、自分らしいものをを好む傾向にある。
結果詳細は以下のようになりました。
1.服・ファッション小物を購入する際、参考にしているSNSはどれですか。(複数回答可)
(図1:ファッションアイテム購入の際に参考にしているSNS)
2.服・ファッション小物を購入する際、参考にしているインフルエンサーはいますか。
(図2:ファッションアイテムを購入する際に参考にしているインフルエンサーの有無)
3.服・ファッション小物を購入する際、参考にしているファッション系のアプリはありますか。
(図3:ファッションアイテムを購入する際に参考にしているファッション系アプリの有無)
4.服・ファッション小物を購入する際、一度にいくら使いますか。
(図4:ファッションアイテムを購入する際に、一度に使う金額帯)
5.服・ファッション小物を購入する際、ブランドのネームバリューを重視しますか。
(図5:ファッションアイテムを購入する際にブランドのネームバリューを重視するか否か)
6.服・ファッション小物を購入する際、実店舗とECサイトのどちらをよく利用しますか。
(図6:ファッションアイテムを購入する際に利用する場所)
7.服・ファッション小物を購入する際、重視しているポイントがあればご記入ください。
(図7:ファッションアイテムを購入する際に重視するポイント)
3.Z世代社員のリアルなカスタマージャーニー
3名のアイレップZ世代社員に最近購入したファッションアイテムの購入までの経緯についてインタビューし、カスタマージャーニーの表を作成しました。そして特徴的な行動について、理由を尋ねました。
(1)森本さん(以下、森本)
性別:女性
休日にしていること:ランニング、一人で買い物、友人とランチ/カフェ、Netflixで韓国ドラマ鑑賞
好きなWebメディア・雑誌:VOGUE/VOGUE girl、ELLE/ELLE girl、Women’s Health
一番よく使うSNS:Instagram
(2)白川さん(以下、白川)
性別:男性
休日にしていること:友達と買い物、カフェ、銭湯、ワークアウト、映画観賞等
好きなWebメディア・雑誌:POPEYE、 BRUTUS 、 HOUYHNHNM 、Masterd、WEBUOMO
一番よく使うSNS:Instagram
(3)西山さん(以下、西山)
性別:女性
休日にしていること:ショッピング、セルフネイル、友人とご飯
好きなWebメディア・雑誌:ar、CLUEL
一番よく使うSNS:Instagram
(1)森本さんの場合(最近購入したもの:ブーツ)
(図8:森本さんのカスタマージャーニー)
- 森本さんはブーツを買うまでに試着や他ブランドとの比較を重ねていますね。慎重に商品を選んでいるなと感じました。
森本:
基本、初見ですぐ購入というのはほとんどなく、試着や他ブランドとの比較をしてから購入を検討します。特に最近、買い物に慎重になったと感じます。なんとなく買うことがなくなり、必要最低限のもの・本当に気に入ったもののみを購入するようになりました。
- いつぐらいからそうなりましたか?
森本:
新型コロナの影響でおうち時間が増えてからだと思います。最近身の回りにものが増え、使わないのに置いているものが結構あるなあと感じるようになりました。自宅で同じルーティーンで過ごす日々なので、本当に気に入ったモノだけに囲まれていたいですね。
- 外出が減って、ずっと自宅にいると今まで目に付かなかったことが気になったりしますよね。
森本:
そうですね。最近は「生活の質を高めたい」という気持ちが強くなっています。今までなんとなく選んでいたものにもこだわるようになりました。
▼特徴 |
(2)白川さんの場合(最近購入したもの:コート)
(図9:白川さんのカスタマージャーニー)
- 白川さんはコートが欲しいと思ったとき、まずWebメディアとInstagramを閲覧されていますね。情報収集にはこのふたつを使うことが多いですか?
白川:
Instagram、Webメディア、雑誌、友人の口コミ、店員さんの接客などを参考にしています。中でもInstagramはまとめていろんなブランドをチェックできるのでよく使っています。
- 幅広く情報収集していますね。欲しい服のイメージを具体的に固めてから買い物をしているのでしょうか?
白川:
買い物の7割はそうですね。でも、出会ったときに一目惚れして買っちゃうこともあります。
- 一目惚れですか!欲しいと思っても値段で迷うこともあると思うのですが、お洋服にどのくらいまでなら払えますか?
白川:
そのときの経済状況にもよりますが、コートなら15万円ですかね。買うか迷う理由がお金なら買ってしまいます。メルカリで古着を売って、その収益を購入費に充てることもあります。
▼特徴 |
(3)西山さんの場合(最近購入したもの:ワンピース)
(図10:西山さんのカスタマージャーニー)
- 西山さんが最初に店頭で購入しなかったのはなぜですか?
西山:
今回に限らず、店頭で気に入っても即決はしません。Webサイトでもっと安く買えないか探してから買います。
- 店頭とWebサイトをうまく使い分けていますね。
西山:
Webサイトで服や着用イメージを探すこともあります。Instagramもチェックして、気になったものを「服」・「メイク」などカテゴリ分けして保存しています。そして欲しいと思った服は、店頭で必ず試着してから買います。
- 服を買うときは店頭とWebサイト、どちらも必ず利用するのですね。Instagramでは誰を参考にしていますか?
西山:
フォロワー1万人〜くらいのインフルエンサー・美容師・アパレル店員の着用画像や着回しを参考にしています。自分に近い体型をした人の投稿を見ることが多いです。
- モデルよりもマイクロインフルエンサー(※フォロワーが1万〜10万人のインフルエンサーのこと)を参考にしているということでしょうか?
西山:
そうですね。モデルさんの服はハイブランドのものが多くて、自分が着るイメージが湧かないんですよね。
▼特徴 |
4.Z世代マーケティングのポイント
今回実施したアンケートとインタビューから見えたZ世代マーケティングの3つのポイントをご紹介します。
(1)デジタル施策だけではなく、店頭コミュニケーションも欠かせない
Z世代に対してはデジタル施策に注力しがちではありますが、今回の結果から見てわかる通り、購入は店舗利用をする人が多いことがわかります。そのため、デジタルだけではなく、店舗でのコミュニケーションも、購入の後押しをさせるうえで非常に重要なものと言えます。
(2)ブランドのネームバリューより商品そのものの質を重視している
Z世代は、ブランドのネームバリューよりも、その商品の質を重視していることが分かりました。質が良ければ、お気に入りのブランド品ではなくても積極的にお金をかける傾向があります。ブランド起点での訴求だけでなく、その服の素材など「質」の部分も伝え、最終的には「自分にフィットしている」と感じてもらうことが重要です。
(3)参考にするのは等身大に近いマイクロインフルエンサー
実際に参考にする対象は、モデルや俳優などの「遠くの憧れ」よりも、「身近な憧れ」のマイクロインフルエンサーのファッションを参考にする傾向があります。マイクロインフルエンサーを起用したブランドイメージを醸成と購買意識の向上を図ることが鍵となります。フォロワー数の多さだけでなく、エンゲージメントの高いインフルエンサーの起用が大切だと言えるでしょう。
5.まとめ
ここまで、Z世代のファッションの購買行動の特徴と、マーケティングのポイントについてご紹介してきました。比較・検討を重ねたうえで自分にとって一番いいものを購入するという傾向が顕著に出ました。代替品との比較が簡単にできる時代だからこそ、マス・デジタル・リアル店舗での施策を統合的におこない、選ばれるための導線作りが大切だと言えます。
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この記事の著者
DIGIFUL編集部
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