お客様と一緒にブランドを育てていく。mineoから学ぶファンマーケティングの本質

「MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者 以下、MVNO)事業者がおこなうファンマーケティング」と聞いて具体的な施策イメージができる人はどれくらいいるのだろうか。株式会社オプテージが運営する通信サービスmineoは、サービス開始から10周年を迎え、ファンコミュニティ「マイネ王」によるリアルイベント「マイネお祭り」を2024年11月に大阪で開催。延べ2,700人をも集客し、大成功を収めた。一見ファンマーケティングとは無縁の業種でありながら、これだけの盛り上がりを実現するマイネ王の取組みとは。本記事では、これまでファンマーケティング領域の支援を数多く経験してきたHakuhodo DY ONEの後藤がマイネ王の運営を担当する冲中秀伸氏、明石家きょん氏(マイネ王運営事務局ニックネーム)をお招きし、ファンマーケティングの取組みについて伺いながら、その本質を明らかにしていく。
mineoファンマーケティングの軌跡と成果
後藤:まずは、今年10周年を迎えられたmineoのファンマーケティングの概要についてご紹介をお願いします。
冲中:mineoがサービスを開始したのが2014年6月で、当時から10年後はMVNO各社が苛烈な価格競争になるであろうことを想定していました。2024年現在、携帯電話ユーザーの約15%※がMVNOを利用しており、それを約1,900社で奪い合っている状況です。価格とは違う価値を提供しないと生き残っていくのは難しいと考え、お客様と一緒にサービスを作っていくようなコミュニティをやろうというところから、2015年1月に「マイネ王」というファンコミュニティの運営を開始しました。
マイネ王には、さまざまなコンテンツがありますが、代表的なものを挙げるとユーザー同士で課題解決できるQ&A、ユーザー同士が自由にコミュニケーションできる掲示板、mineoの施策や機能などに関するアイデアを投稿するアイデア ファーム、余ったパケットをシェアしあえるフリータンクなどがあります。
さらにユーザーが実際に集い、mineoスタッフやユーザー同士が交流をするオフ会のようなリアルイベントに力を入れているのも特徴です。オフ会では、mineoスタッフからmineoの取り組みについての情報開示やユーザーからの意見聴取をおこないますし、食事をしながらの懇親会もおこなっています。2024年はmineo 10周年ということで、11月16日と17日の2日間にわたり、大阪で「マイネお祭り」も開催しました。最終的に2,700人のユーザーにご来場いただけたのですが、当初1,000人来てくれるかどうかくらいで想定していたので、これまでの取り組みを通してmineoのファンになってくれた人がこんなにいるんだと感動しました。
きょん:今回は10周年ということで大阪での開催でしたが、普段のイベントは地方で開催することもあります。地方のイベントは特に、まず来てくれてありがとうという歓迎から始まって、参加者の皆さんとめちゃくちゃ仲良くなってイベントを終了することが多いです。さらに、地方のイベントで知り合った方が、別の場所で開催するイベントに遠征してくださることも多く、マイネお祭りも北海道の釧路のような、本当に遠いところから来てくれた方がたくさんいらっしゃいました。
※出典: 通信市場の動向について(2024年4月24日)|総務省
画像引用:【コメント投稿で提灯を50名にプレゼント!!】「ご縁あって10周年!みんなでつくるマイネお祭り」の様子をお届けします|マイネ王
後藤:すごいですね。今、コミュニティサイト会員さんって何名いらっしゃるのでしょうか。
冲中:会員数としては86万人です。通常のオフ会は日本各地で実施しているのですが、各所抽選で30~40人くらいの会員さんにご参加いただいています。通信事業者のオフ会って何をやるんだろうと思われている方が多くて、やはり初参加の方は最初すごく緊張されてるのですが、終了する頃には事務局の僕らとハイタッチしてツーショット写真を撮って帰っていく。参加前と参加後で文字通り顔つきが変わるので、それがすごく嬉しいですね。
後藤:MVNOの会社のファンマーケティングでここまでの成功例はないと思うのですが、どんな苦労がありましたか。
冲中:私たちの基本的なスタンスは、お客様に対して正直に情報公開をすることです。過去に、スマートフォンの通信量が増える平日昼の時間帯でもスムーズに通信がおこなえるように画像圧縮などをおこなったのですが、お客様に事前に通知せずに実施したことで、マイネ王の掲示板やSNSで炎上したことがありました。このとき、一緒にサービスを作り上げてきたユーザーを失望させてしまったことを痛感し、「今後そういう状況には絶対にしないようにしよう」と心に誓いました。とはいえ、社外秘の情報もあるので情報の取り扱いに悩むことは多いですが、お客様に誠実であろうとする姿勢は持ち続けないといけないなと。
あとは、社内に対してファンマーケティングに効果が出ていることをしっかり理解してもらい、我々の活動(特にオフ会などのリアルイベント)について納得してもらうのが苦労するところだったりします。
きょん:一度リアルイベントの現場にきて貰えれば、肌で熱量を感じてもらえるので、リアルイベントはやる意味があると理解してもらえることがほとんどです。でも、現場を見たことがない人からすると、下手したら遊んでいるように見えかねないので。どうやってこの活動の意義を理解してもらうかというのは、一つポイントだと思います。その点で、10周年のマイネお祭りは大阪で開催したことで社内の決裁者も足を運んでくれたので、理解が深まったのではないかなと。
後藤:ファンマーケティングをやってきたことで成果を感じる点を教えてください。
冲中:やっぱりオフ会に関しては、感動してもらえて、ガッチリ距離が縮まるのを感じたときに成果を感じますね。僕たちもお客様というより仲間として参加者と接するので、「自分が使っているサービスの中の人たちがサービスの裏側についてこんなに詳しく話してくれて、ユーザーのことを考えてくれる」ということが伝わるみたいです。通信会社の人がこんなに距離感近く喋ってくれるという点で、良いカルチャーショックを与えられているなと。やはり、一度オフ会に参加してくれた方は、コアなファンになってくれる傾向が強いと思います。
後藤:これまでお付き合いのあるクライアント企業では、コンテンツそのものにファンが多い場合や、老舗企業で長期の愛用者がすでにいらっしゃる場合にファンマーケティングに取り組まれているケースが多いです。SNS、口コミ、イベントなどで熱量が見えやすい状態にあると思います。一見「ファン」という概念と距離がありそうな格安スマホであるmineoが、お客様を単なる数字やデータとして捉えるのではなく、一人ひとりの人間として理解しようとするスタンスは学ぶところが多いです。それにより、これまで見えてこなかった自社サービスの魅力や意外なきっかけ、使われ方が見えてくると思います。「ファンマーケティングを成功させるんだ」と肩ひじをはらずに、まずは実際にお客様と会って、自社のサービスに対してどんな感情を抱いているのかを知るところから始めてみるというのも良さそうですね。
良いファンマーケティングとは
オプテージ モバイル事業推進本部 モバイル事業戦略部コンシューマモバイル戦略チーム
サブマネージャー 冲中秀伸氏
後藤:一般的なCRM(Customer Relationship Management)施策とmineoのファンマーケティングはどのような点で違うのでしょうか。
冲中:一般的なCRMは、データを見てこれをどう動かしていくか、この中から何%の人に購入してもらうかを考えると思いますが、僕たちの場合は、見ているものが「人(お客様)」なんですよね。実際の人をイメージしながら施策を検討するところがすごく大きな違いかなという気がします。
通信サービスは、お客様が一度契約したらすぐには解約しないビジネスモデルです。だから、契約期間中にmineoのことをもっと好きになってもらうことで、解約のリスクを下げたり、人に紹介してもらうなどの中長期的な事業成果が期待できる。この業界ならではかもしれませんが、目先よりも中長期的な事業成果を重要視する当社にとって、ファン醸成の実現性が高いファンマーケティングは最適な施策でした。
また、人を意識するとはいっても130万回線の契約者全員がオフ会に参加できるわけではないので、コミュニティサイトでのWeb施策も重要になってきます。
きょん:8周年のときに、mineoアプリを活用したユーザー参加型の企画を実施しました。「たこ焼きトッピングの陣」という、アプリ機能を活用しておこなったイベントです。日本地図を4,760マスに区切り、mineoアプリのレーダー機能を使ってマヨネーズ(黄色)・紅しょうが(赤)・青のり(緑)の3チームが陣取り合戦をしようというもので、これは特に地方ユーザーの間でめちゃくちゃ盛り上がりました。
最終結果はマヨネーズチーム(黄色)が優勝
画像引用:【勝利チームは抽選でプレゼント】mineoレーダーバトル たこ焼きトッピングの陣!2024~日本全国を塗りつぶそう~|マイネ王
きょん:そのマスに該当するエリアにどれだけ人がいるかで陣取りができるかどうかが決まるので、特に地方では一人の移動により一気に勢力図が変わります。それもあり、「北海道一周してきました!」「山形全部塗り替えてきました!」みたいなコメントがたくさん届きまして、そのイベントをきっかけにマイネ王自体へのコメント数もとても増えたんです。
ある方は、それまで家にこもりがちだったようなのですが、たこ焼きトッピングの陣をきっかけに外出をするようになったそうで、オフ会にその感謝を直接伝えにきてくれました。その方は北海道在住なのに、わざわざ那覇のオフ会に足を運んでくださって。「私の企画がこの方の生活を変えるきっかけになったんや」と感動しました。多数に向けたWeb施策でも、最終的に人の個別性につながれば強いファンを作っていけるんですよね。
後藤:お客様がファンコミュニティと関わる中で、一段深いところに足を踏み入れるタイミングのような、タッチポイントはあるのでしょうか。
冲中:これまでコミュニティを眺めているだけだった人が、何かのきっかけで投稿してみたらみんなが温かく反応してくれたというところが、タッチポイントになることが多いと思います。Xで初めて投稿しても誰も反応しないけれども、マイネ王は反応があるしユーザー同士のコミュニケーションに発展しやすい。「マイネ王には、気の合う仲間がいるから毎日アクセスしよう」という状況を設計することを強く意識しています。
後藤:業界問わず、企業がファンマーケティングに挑戦してはうまくいかないというケースをよく見かけます。ファンマーケティングがうまくいかない理由はなんでしょうか。
冲中:提供しているサービスとファンマーケティングの内容が結びついていないと、うまくいかないことが多いのかなと。マイネ王も、初期はユーザー数が思うように伸びなかったのですが、ある年にマイネ王のユーザー同士でパケットのやり取りができる機能と、フリータンクというパケットを貯めてシェアするという機能をリリースしたところ、一気にユーザー数が伸びたという経緯があります。
なので、まず人を集めるという段階では仕組みで解決していく。当社もパケットを配布しましたし、わかりやすいインセンティブが必要なのではないでしょうか。
また、運営面に関してはある程度の裁量権と人員リソースは必要だと思います。数字で施策を判断すると現場の感覚と乖離しがちなので、決裁権者の方がファンマーケティングを理解して温かく見守ってくれるかどうかが鍵を握っているのかなと。
きょん:一人の広報の方が、片手間にファンマーケティングをやっているというケースが多いという話をよく聞きますが、成功させようと思ったら絶対に無理。お客様と直接話すのはすごく労力がかかりますし、負担も大きいです。人間と人間のぶつかり合いがファンマーケティングなので、人的リソースを割いてでも運営することが大切なのではないでしょうか。
後藤:良いファンマーケティングは、ユーザーの熱量が高くコミュニティが活発であることがよく理解できました。企業とユーザーだけでなく、ユーザー同士でも自然に交流が生まれる「場」づくりがファンマーケティングの設計として重要だと思います。
そのためのキーワードは「習慣化」ではないでしょうか。ユーザーが日常的に訪れたくなる体験を設計して、定期的なイベントや新しい情報を提供し、小さな楽しみを絶やさないことがポイントです。「このコミュニティは役に立つし、楽しい。」と感じてもらえる環境が根づくとコミュニティの定着化にもつながります。
もうひとつのキーワードは「参加ハードルを下げる」。気軽に参加できる特典を用意したり、複雑な登録手続きや敷居の高い条件を避けることで、コミュニティへの参加ハードルをできるだけ下げています。そうすることで、これまでコミュニティを眺めていただけの既存ユーザーが、あるタイミングから参加するようになったり、LTV向上や口コミによるお客様の新規加入も期待できます。このようなコミュニティ運営を実践していくために、ファンマーケティングにコミットする担当者の存在が今後さらに重要になりそうです。
広告vsファンマーケティング?
Hakuhodo DY ONE プロデューサー/クリエイティブディレクター 後藤信悦
後藤:ここまでお話を伺って、mineoにとってファンマーケティングがブランディングの一環としても機能しているのかなと感じました。マイネ王というファンコミュニティがあるからこそ口コミで広がっていくし、高いブランド価値を感じてくれる人たちが紹介で新規のお客様を連れてきてくれるという、ある意味ダイレクトな価値がありますよね。
一方で、集客をおこなうための広告では、たくさんの人から効率よく申し込んでもらうことが重視されています。ファンマーケティングの「ファンを育てていこう」という価値観とは相反するものなのでしょうか。何かお互いに補完して相乗効果を出すということは、可能なのかを伺いたいです。
冲中:個人的には、広告・集客とファンマーケティングは分かれているものだと思います。例えば、まだmineoのことをあまり知らない人に「マイネ王というコミュニティがあってすごく盛り上がってるんですよ」と言っても「だから?」ってなりますよね。
多くの人の入り口になるのは、機能的な価値です。安くなるとか、他社よりも通信速度が速いとか、そういうわかりやすいところから訴求しないと契約はしてくれないと思います。ただ、契約をしてくれた人が、そこからmineoのことを好きになってもらうような取り組みを僕たちがやっていくことには、契約の継続という面で意味があるのかなと。
後藤:契約するきっかけと、ファンであり続けるきっかけは違いますか。
冲中:全然違うと思います。機能的な土台がしっかりした上で、ファンマーケティングによって情緒的な価値を持ってもらうことで、mineoを使い続けようという愛着が生まれる。特にMVNOは参入する競合が増えてコモディティ化しているので、機能的な価値が伝わりにくくなっていますし、比較サイトで料金だけ比べられてしまいがちです。
だから、新規で契約してもらうときにも、情緒的価値があった方がいいよねとか、何かブランドのイメージがあった方がいいよねということで、ファンマーケティングの資産である情緒的な価値を広告に投資したいという思いを実は持っているんです。
後藤:mineoのような強いファンコミュニティをマーケティング活動における資産として考えると、新規のお客様へのアプローチ方法にもさまざまな応用ができそうです。例えば、当社のような広告会社では、コミュニケーション戦略を設計するにあたり、ストラテジックプランナーがインタビューを通じて、サービス利用のきっかけを把握することが多いのですが、ファンコミュニティがあれば、ユーザーインタビューを事業会社が自社内でおこなうことができます。さらに、一方的な企業からのメッセージだけでなく、一般ユーザーやインフルエンサーが作成・投稿する、UGC(User Generated Content)と呼ばれるコンテンツは、口コミを重視した現代の購買行動とも親和性が高いです。最近は、インフルエンサーのPR投稿も増えていますが、ステマ規制や、そもそもの製品への愛着など、さまざまな側面で考慮することが求められます。そういう意味でも、ファンコミュニティはリアルで熱量が高いUGCの宝庫だといえます。愛着や熱量の高い声は、LPやバナーのような広告に活用することでも高い効果が期待できます。さらに、ユーザーからのリアルな声は、お客様の継続率を高める後押しとしても機能します。当社でも、広告戦略・企画・制作する中で、こうしたお客様の声を活用することが増えており、そういった施策とファンコミュニティの連携は今後も期待できる領域ですね。
今後のmineoファンマーケティングについて
オプテージ モバイル事業推進本部 モバイル事業戦略部 コンシューマモバイル戦略チーム 明石家きょん氏
後藤:先ほど、情緒的な価値をファンマーケティングや広告にも活かしていきたい、とお伺いしました。貴社は情緒的な価値を伝えることができるようなエピソードはたくさんお持ちのイメージがあります。
きょん:正直良い話は山のようにあるんです。あるお客様から、こんなお手紙をいただいたことがあります。「契約して8年のうちに、娘が結婚して孫が生まれて、その後娘が亡くなり、夫が入院した。私は、元々デジタルデバイスに詳しくなかったけど、いっぱい勉強してスマートフォンでタクシーが呼べるようになった。8年間いろんなことがあったけど、mineoさんこれからも頑張ってね。」という内容で、涙が出そうになりました。
普段通信回線を使っていることを意識する瞬間は、通信が遅いときにイライラするとか、その程度だと思います。でも、マイネ王で人間味を持った温かいコミュニティを目指してきたからこそ、毎日の通信を温かさのあるものとして捉えてくださり、mineoとの8年間の契約の流れと自分の人生を重ね合わせてくれたと感じてすごく嬉しかったです。
後藤:素敵なエピソードですね。是非何かコンテンツ化したいですね。そういうエピソードって普通の会社だとお金をかけてユーザー調査をしたり、SNSでUGCを集めたりするんですが、mineoさんはコミュニティ活動を通して、お客様のリアルな声やエピソードなどの情報を持っていることが強みだと思います。
冲中:その強みをもとに、良い広告戦略に転用するお手伝いをHakuhodo DY ONEさんには是非お願いしたいなと。先日の10周年のマイネお祭りで、マイネオ音頭というのをみんなで踊ったのを撮影して、Web CMで流したんですよね。mineoの楽しさを伝えられたら良いなと。きょんが話したようなエピソードをコンテンツにするのも、さらに魅力的なアイデアだと思います。
後藤:広告系以外でいえば、ユーザー層が遠くないような他社のファンコミュニティと連携するような動きも面白いかもしれません。
冲中:実際にマイネ王のユーザーから、パケットの連携をmineoと他業者間でもできないかというアイデアをもらうことがあります。ファンコミュニティを通してそれを実現できたら面白いなと思います。
後藤:今後のファンマーケティングにおける展望や意気込みはありますか。
冲中:mineoとしては、通信サービスとして当たり前の安定した機能を提供する義務があります。一方、マイネ王としては「mineoって良いな」と思ってもらえるような楽しい企画や、フリータンクや災害支援タンクのような、ユーザー同士で助け合えるような人の役に立つような支援も提供しているので、ユーザーにとって価値のあるコミュニティであり続けたいなと。 mineoを使っていれば友達ができるし、なんか幸せになったというところまで持っていくのが目標です。PERMA理論※にも、信頼できて安心できる人間関係があるほど身体的な健康度や幸福度の高さに繋がると定義づけられていますし、マイネ王の運営を通してユーザーの日常を豊かにしていきたいと思っています。
※PERMA理論…ペンシルベニア大学のマーティン・セリグマン教授が提唱した、ポジティブ心理学の5つの理論
災害時にユーザー同士でパケットを共有できる「災害支援タンク」
画像引用:災害支援タンク|マイネ王
後藤:そこに辿り着くまでに、超えないといけない壁や課題はありますか。
きょん:強い熱量を持ったリーダーシップのあるユーザーを育てることは、一つの鍵になると思います。そういったユーザーを中心として、コミュニケーションが活発になり友達ができたりすることもあると思うので、ユーザー主導のアクションをもっと増やしていかなければいけないなと。
冲中:昔は、ガジェットや通信関連に興味のある方々が集まる傾向があったのですが、今はユーザーが多様になり、興味の幅がすごく広がっていると感じています。だから、掲示板の投稿内容も多種多様ですし、自分に興味がない話題が連続していたりすると離脱しやすくなってしまう。参加者の個別性に合わせて、うまくアクションをサジェストできるようなプラットフォームにしていかなければならないと感じており、それは今後の課題です。
きょん:あと、やっぱりmineoをもっとメジャーにしたいですね。今っておそらくマイネ王に参加している人は家族や周りの人から「また怪しい団体の掲示板を見たり、会合に出かけたりしている」と思われている可能性がある(笑)。それって悲しいじゃないですか。
以前、あるお客様がイベントに参加した際に、旦那さんが心配してついてきたことがありました。その時は「関西電力の子会社なので、決して怪しい団体ではありません」と名刺をお渡しして説明し、旦那さんにはご理解いただけました。ですが、その反面結構胸にグサッと来たんですよね。だから、mineoの認知度を向上させることが、マイネ王に参加してくれている人たちの幸福度を上げることにつながるのかなと思います。なので、Hakuhodo DY ONEさんには、是非認知度施策へのご協力もお願いしたいと思っています。
後藤:mineo自体が市民権を得ることを目指す、ということですよね。mineo11年目に向けて、是非お手伝いをさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
取材後記
「ファン」は、自社のサービスを熱狂的に支持してくれるお客様のことを指します。公式SNSの運営やコミュニティサイトを作ったり、デスクリサーチをしたりするだけでは、彼らがなぜサービスをここまで愛し熱狂してくれるのか理解することはできません。ましてや、どうしたらサービスに熱狂してもらえるかを見つけることはなおさら難しい。重要なのは、「マーケター自らがファンコミュニティに飛び込めること」であると、mineoさんとの会話を通じて確信しました。ファンマーケティングを成功させることはもちろん、インサイト理解やUGCが重視される昨今、ファンを含む生活者を深く理解(ときには憑依)できるかどうかがマーケターの必須スキルになると感じました。まずは、自社のサービスを、いち生活者として本気で利用してみることから始めてみてはいかがでしょうか。
株式会社オプテージ
モバイル事業推進本部 モバイル事業戦略部
コンシューマモバイル戦略チーム
サブマネージャー
冲中 秀伸氏
2016年入社。マイネ王運営をはじめとしたCRM領域の統括を担当。入社後はマイネ王運営以外にも、Webサイトの制作やリニューアル、マス広告の運用、MAツールの導入など幅広いmineoのマーケティングに携わってきた。
株式会社オプテージ
モバイル事業推進本部 モバイル事業戦略部
コンシューマモバイル戦略チーム
明石家きょん氏(マイネ王運営事務局ニックネーム)
2020年入社。対面イベントの運営、マイネ王YouTubeチャンネル、mineoグッズ制作を担当。マイネ王のイベントで直接会えるアイドルとしても活動中。
株式会社Hakuhodo DY ONE
プロデューサー/クリエイティブディレクター
後藤信悦
エンジニアを経て、2012年にアイレップへ入社(現・Hakuhodo DY ONE)。運用型広告コンサルおよび営業として社内最大級クライアントのPM、局長を歴任。その後、ブランド領域のクリエイティブ・ディレクターとなり、動画広告や運用型テレビCMの急成長を推進。現在は、マーケティング戦略も含めた全領域に精通し、あらゆるクライアントのあらゆる課題解決に向き合う。ブランド領域からダイレクト領域までこれまで100社以上を担当。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。
当社がこれまでに得たデータや経験から、具体的事例・将来展望・業界の最新注目ニュースなどについて情報を発信しています。ニュースやコラムだけでなく、日常業務や将来のマーケティング施策を考えるときに役立つダウンロード資料や、動画で学べるウェビナーコンテンツも随時追加していきます。
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「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo ...