パフォーマンスクリエイティブの成果を最大化させるポイントとは

2024.09.19

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Hakuhodo DY ONEは、四半世紀に渡りダイレクトマーケティングに携わってきた実績があり、パフォーマンスクリエイティブの制作・運用に関する豊富な知見を有しています。今回は、パフォーマンスクリエイティブ合同ワークショップ(クライアント企業、博報堂、Hakuhodo DY ONEの3社が参加)で解説した、パフォーマンスクリエイティブの成果を最大化させるポイントについて紹介します。

※挿入画像はワークショップ当時の投影資料です 

パフォーマンスクリエイティブとは

- パフォーマンスクリエイティブという用語は、Hakuhodo DY ONEが定義している用語ですが、この言葉が指すものを教えてください。

小谷野:私が所属する第一クリエイティブ本部では、獲得をKPIとする施策全般を担当しています。アプリ施策であればアプリのインストール、EC施策なら商品の購入をKPIとする施策などがそれに当たりますが、その領域を当社では「パフォーマンスマーケティング」と呼んでいます。パフォーマンスクリエイティブとは、パフォーマンスマーケティング領域で制作されるクリエイティブを指しています。

- 一般的な用語に言い換えると、ダイレクトマーケティングの獲得型広告、バナー広告のクリエイティブということでしょうか?

小谷野:はい、そのとおりです。Hakuhodo DY ONEでは、パフォーマンスクリエイティブという用語を2012年ごろから使用しています。そもそも、当社のダイレクトマーケティングの取り組みは20年以上の歴史があり、多くの知見をもとにソリューション化しています。

- では、ワークショップを実施した背景を教えてください。

小谷野:グループ会社の博報堂から、クライアント企業のコマース領域施策の相談を受けたことがきっかけでした。

その際、ダイレクト施策の経験がさほどないクライアント企業であったということもあり、パフォーマンスマーケティングに強みのある当社と博報堂が連携し、知見とリレーションシップの向上を目的にワークショップの開催を決定し、実施しました。

- 知見の向上ならワークショップではなく、オリエンテーションでもできると思いますが、ワークショップにした理由は何でしょう?

小谷野:目的のひとつとしていた「リレーションシップの向上」は、今回制作するクリエイティブにおける表現範囲の目線合わせをするという意味合いを含んでいました。パフォーマンスクリエイティブは高速PDCAが基本なので、かなりの数のクリエイティブを作ることになります。その際、クリエイティブのすべてについて細かく確認をしていると、ひとつの広告制作に大幅な時間がかかってしまい、PDCAの速度が低下していまいます。よって、PDCAを高速で回してパフォーマンスを向上させたいというクライアント企業の要求に応えるためにも、クライアント企業・博報堂・Hakuhodo DY ONEの3社間で、表現のボーダーラインの認識を合わせる必要がありました。そのためには、ワークショップ形式が最適であると思ったからです。

成果を最大化する「網羅性」と「柔軟性」

- ワークショップはどういう形式で進行しましたか?

小谷野:参加者をみっつのチームに分け、3時間半ずつの2部構成でおこないました。1部はパフォーマンスクリエイティブに関するインプットを実施。それを踏まえ、クライアント企業が実施するダイレクト施策のクリエイティブに対し、ブレストから制作まで一貫しておこないました。2部ではMetaのInstagram担当者をお招きし、媒体特性をインプットしたうえでInstagramを活用した施策(同様にブレストから制作まで)を実施しました。

- 1部ではどういったことをお話しされましたか?

小谷野:パフォーマンスクリエイティブの成果を最大化するためには、「網羅性」と「柔軟性」の2点を意識することがとても重要だということをお話ししました。

パフォーマンスクリエイティブで成果を出すためには、大量のクリエイティブが必要です。さまざまな訴求軸を幅広く網羅し、高速でPDCAを回しながら、大量に作ったクリエイティブのなかからすばやく”勝ちクリエイティブ“を探し出すことが求められます。大量のクリエイティブを作ることが「網羅性」、そのなかから高速で取捨選択をおこなうことが「柔軟性」ということになりますが、そのふたつを実現させる仕組み作りこそが、パフォーマンスマーケティング施策における重要なポイントとなります。

なお、今回のワークショップでは特に「柔軟性」を実現するためにポイントとなる、高速PDCAを回すために気をつけるべきことを中心にお話ししました。 

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(図1:パフォーマンスマーケティングにおいて重要な「網羅性」と「柔軟性」) 

Hakuhodo DY ONEのパフォーマンスクリエイティブ最大化を実現した事例として、約1年間のPDCAによりCPA80%オフ、コンバージョン数40倍を達成した案件を取り上げ、その概要を紹介しながら、なぜ最大化を実現できたのか具体的に解説しました。

案件の詳細は割愛しますが、大きな成果を出すことができた理由は、高速PDCAを回すなかで圧倒的な勝ちパターンを見つけることができたからです。つまり、前述の「網羅性」と「柔軟性」を実現できたからといえますが、特に「柔軟性」を実現した要因として、以下の2点の実施が挙げられます。 

1. 媒体特性を考慮した正しいPDCA
2. 成果をジャンプさせたPDCA

媒体特性を考慮しなければ意味がない

- 「媒体特性を考慮した」とありますが、媒体ごとの特性を考慮せずにクリエイティブを作ったり、PDCAを回したりしても、意味がないということでしょうか?

小谷野:はい。パフォーマンスクリエイティブを最大化するためには、クリエイティブの勝ち/負けは、出稿媒体への最適化度合いが重要になってきます。複数の媒体に出稿する際にも、共通のクリエイティブで展開していてはパフォーマンスクリエイティブの成果最大化は望めません。

“勝ちクリエイティブ”と“負けクリエイティブ”では、場合によっては配信量で10倍以上の差が出ることもあります。媒体特性を踏まえたクリエイティブ制作の重要性は、覚えていてほしいポイントのひとつです。 

訴求力と伝達力を意識し、一撃必殺のクリエイティブを作る 

- 実際には、どのようにクリエイティブを作ればいいのでしょうか?

小谷野:パフォーマンスクリエイティブの制作では、補足説明を入れなければ理解できない広告は作るべきではありません。生活者が一目見て、「何を伝えたいのかよくわからない」と思わせる広告はダメということです。そこで基本とすべき指針が、「訴求力」と「伝達力」です。

「訴求力」とは、どれだけ少ない回数で訴求内容を認知させられるかを表す指標です。何度も接触することで態度変容を促すのではなく、少ない回数で、できれば目にした瞬間に伝えることを重視します。「伝達力」とは、どれだけ早い時間で訴求内容を理解してもらえるかを表す指標です。このふたつを意識し、一撃必殺のクリエイティブを作ることが、パフォーマンスクリエイティブにおいて重要となってきます。 

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(図2:「訴求力」と「伝達力」を意識して一撃必殺のクリエイティブを作る) 

訴求力を強化するために、媒体特性を考慮する

- 訴求力を強化するというのは、どういうことなのでしょうか? 

小谷野:1回の接触で態度変容を促すためには、媒体特性を考慮したクリエイティブ制作・設計が重要になります。

インターネットやSNSなどに訪れているユーザーは、広告を見るために媒体に訪問しているわけではありません。何らかの目的を持って、さまざまなコンテンツを楽しむために訪問・滞在しています。例えば、SNSは媒体ごとに特徴がありますが、当然ユーザー特性もそれぞれ異なります。広告もそうした特性を踏まえて制作・配信すべきだというのが、長年われわれが主張していることでもあります。また、媒体ごとに配信アルゴリズムも異なります。そうしたテクニカルな特徴も、媒体特性のひとつとなります。つまり、訴求力を意識したクリエイティブとは、媒体特性が考慮された状態のクリエイティブを意味しています。 

伝達力を高めるには視認性とコピー

- 伝達力を高めるというのは、どういうことなのでしょうか?

小谷野:ユーザーは広告接触後、約0.013秒で情報を取得するといわれています。この間にクリエイティブの内容を理解してもらえなければスルーされ、その後の態度変容・クリック・CVへの道のりは途絶えてしまいます。 

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(図3:情報伝達は、広告接触後の約0.013秒が勝負) 

小谷野:それを防ぐために意識すべきなのが、視認性とコピーです。

まず視認性ですが、ユーザーはスマートフォンで広告を見ています。小さい画面かつ高速で上下にスクロールしながら見ているため、「その状況で目に留まるビジュアルとは何か」を常に意識しておきましょう。

コピーに関しても同様で、スマートフォンの小さい画面で、高速スクロールの中で目に留まる表現を意識することが大事です。ポイントになるのは、感性から理性へ着地するまでが長すぎない表現を心がけることです。対象となるユーザーが見て、「腑に落ちる」言い回しとは何かを意識することが、一撃必殺のコピーに繋がっていくわけです。 

豊富な知見をベースに、ダイレクトマーケティング領域の課題を解決する

- 改めて、パフォーマンスマーケティング領域に興味のある読者の方に向けて、ひとことお願いします。

小谷野:ここ数年で、小売業やサービス業だけでなく、あらゆる企業が生活者とのダイレクトなつながりを求めて、ダイレクトマーケティングに取り組むようになってきました。ダイレクトマーケティングには、一般的なデジタルマーケティングとは少し違った独特のコツのようなものがあります。当社は、これまで蓄積してきた豊富な知見をベースに、クライアント企業の課題解決に貢献したいと思っています。ぜひお気軽にご相談ください。 

この記事の著者

小谷野 太樹

制作会社でWebデザイナーを経て、アイレップには2016年入社。アプリ、人材、金融、ECなど幅広い業種でクリエイティブの戦略設計、制作進行を担当。

コメント:広告というビジュアルコミュニケーションを通じて、最良の広告体験をデザインすることに努めております。

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