リンクビルディングとは、自社のWebサイトに向けて他のWebサイトからリンクを設置してもらうプロセスを指します。本記事では、リンクビルディングとSEOの関係、重要な理由、実施方法を事例とあわせて紹介します。
SEOとリンクビルディングの関係
SEOとは、検索エンジンを使ったマーケティング戦略のひとつです。Googleなどの検索エンジンを通じて自社のWebページを自然検索結果に表示させることにより、サービスや商品を知らないユーザーが検討する機会を創出します。
(図1:デジタルマーケティングにおけるSEOの位置づけ)
検索エンジンは、以下のプロセスを経てインデックスしたWebページを評価し、検索者に有益とみられる順番で検索結果にWebページを表示します。
(図2:検索エンジンが検索結果にコンテンツを表示するプロセスのイメージ)
このため、SEOでは「検索エンジンにインデックスさせること」、「インデックスさせたWebサイト(ページ)が高く評価されること」のふたつが重要になります。
前者は「テクニカルSEO」と呼ばれる取り組みに内包されており、以下の記事で紹介しています。
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後者の「インデックスさせたWebサイト(ページ)が高く評価されること」ですが、SEOの評価指標は大きく分けて外部評価と内部評価のふたつに分けられます。
(図3:SEOの評価指標)
リンクビルディングは、この外部評価に大きく関連しており、SEOで成果を出すために必要な要素のひとつとなっています。
リンクビルディングの基礎
Googleのランキングアルゴリズムでは、外部のWebサイトから高品質で関連のあるリンクを多く獲得しているWebページの品質を高いとみなします。これは、外部サイトからのリンクを「投票」のようなものとして扱っているためです。インターネット上でのリンク(≒獲得票)の品質や数を品質指標として機能させることで、関連性が高く、権威のあるWebサイトからのリンクを多く受けているWebページを高品質と判定できるようにしています。
(図4:コンテンツの質の評価にリンクが使われるイメージ)
画像引用:ランキング結果 – Google 検索の仕組み
このため、リンクビルディングで重要なのは高品質で関連性の高いWebサイトからのリンクを自然に獲得することです。
一昔前にはリンクを設置するためのWebサイトを大量に生成し、人工的に被リンクを増やすスパム施策が横行していましたが、現在のGoogleのアルゴリズムはこうしたリンクは評価対象として加味しません。また、スパム行為となるため悪質な場合はペナルティを受ける恐れがあります。
参考:Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー | Google 検索セントラル | ドキュメント | Google for Developers
簡単ではありませんが、自発的にリンクを設置してもらえるようなWebサイト運営をすることがリンクビルディングのもっとも基本的な考え方となります。
また、検索エンジンの評価対象となるためには、(コントロールできるものではありませんが)外部のWebサイトからのリンクの設置方法も評価に影響するとされています。訪問者によく使われる位置にリンクが設置されること、リンク先のWebページの内容と関連性の高いアンカーテキストが使われること、リンクにnofollow属性が使われないこと、などが主な影響要素といわれています。
nofollowとは、Googleなどの検索エンジンのクローラーにリンクを辿らせないようにするために利用されるHTMLの属性値です。詳細は以下の記事でも解説されています。
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リンクビルディングの実施方法と具体例
リンクビルディングには大きくわけてふたつの戦略が考えられます。
リンクを惹きつけるコンテンツを作成する
インターネット上にはあらゆる種類のコンテンツがありますが、リンクと親和性の高いコンテンツのタイプがいくつかあります。自社のサービスと関連のある情報を、リンクと親和性の高いコンテンツタイプで公開することにより、リンクの獲得を狙える可能性があります。自社サイトへリンクをしてくれる可能性のある人達のニーズや潜在的な課題を分析・把握することで、コンテンツの作成方針が決まってきます。
業界ごとにリンクと親和性の高いコンテンツタイプはさまざまですが、例えば以下のようなコンテンツは多くのリンクを獲得する傾向があります。
※後述する各Webページの参照ドメイン数はいずれもAhrefsによる2023年11月時点のデータとなります
・独自保有データ(調査データ、自社アセットなど)
競合他社が保有していない、自社独自のデータ(独自調査データや自社のみで収集可能なデータ)を編集して公開するコンテンツです。独自性の高いコンテンツは注目を集めやすく、関連するトピックを扱うWebサイトからの言及やリンクの獲得が期待できます。
事例①:米国旅行サイトのページ(参照ドメイン数:3,273)
サイトに投稿されたレビューと評価に基づいて、人気の目的地やホテル、レストランなどが紹介されるページです。同じURLで毎年内容が更新される運用となっており、リンクを蓄積できる体制で運用されています。
(図5:リンクを多く獲得している米国旅行サイトのページ(2023年11月時点))
画像引用:Travelers' Choice Best of the Best 2023|Tripadvisor
事例②:米国求人サイトのページ(参照ドメイン数:2,827)
求人サイトにて、ユーザーから投稿された給与情報に基づき特定業種の給与情報をコンテンツ化しているページです。適宜、ビジュアライズ化された図版も用意されており、視覚的にも理解しやすいコンテンツとなっています。
(図6:リンクを多く獲得している米国求人サイトのページ(2023年11月時点))
画像引用:Truck driver salary in United States|indeed
・ツール機能の提供
Web上で簡単に使える、ツール機能を提供するページです。特定のタスクを完了させるうえで多くの人が利用するツールはニーズが高いため、利便性の高い機能をWeb上に公開することで他のWebサイトからの言及やリンクの獲得が期待できます。
事例:米国ECプラットフォーム企業のページ(参照ドメイン数:2,990)
EC運営者に向けて提供されている、ロゴ作成機能を持つページです。5つのステップで作成でき、無料で使えるページとなっています。
(図7:リンクを多く獲得している米国ECプラットフォームサイトのページ(2023年11月時点))
画像引用:Create professional logos in seconds|hatchful
・完全ガイド、チェックリスト
タスクを完了させたい場合に必要な情報がすべて網羅されているコンテンツです。特に、稀にしか発生しないタスクや忘れがちな作業を内包するようなタスクとの親和性が高く、利便性が高ければ他のWebサイトからの言及やリンクの獲得が期待できます。
事例①:米国アウトドア関連ECサイトのページ(参照ドメイン数:841)
家族でのキャンプの荷物を準備するためのチェックリストです。印刷用のPDFダウンロードリンクも用意されています。
(図8:リンクを多く獲得している米国アウトドア関連ECサイトのページ(2023年11月時点))
画像引用:Camping Checklist|Expert Advice|REI
事例②:米国ウェディング関連サイトのページ(参照ドメイン数:830)
結婚式までの準備事項が当日の1年前からまとめられています。
(図9:リンクを多く獲得している米国ウェディング関連サイトのページ(2023年11月時点))
画像引用:The Ultimate Wedding-Planning Checklist and Timeline|BRIDES
関連のあるWebサイトにリンクの設置を依頼する
リンクを設置してもらえる可能性の高いWebサイト運営者に連絡し、リンクの設置を依頼する方法です。
例えば、自社サイトやサービスについて言及があるもののリンクが設置されていないケースがあれば依頼することでリンクを設置してもらえる可能性があります。外部ツールなどで、該当するWebページの検出が可能なため一度確認してみると良いでしょう。
図10の例は、当社のサービスである「DIGIFULコネクト」に言及しているWebページを検索したうえで、当社のドメイン「irep.co.jp」へのリンクが無いものを強調表示して確認している画面です。
(図10:Ahrefsで自社サイトについて言及があるもののリンクが設置されていないWebページを検索する例)
リンク獲得状況の確認方法
自社の状況は、Google サーチコンソールの「リンク」から確認できます。
(図11:Google サーチコンソールでリンクを確認する例)
また、他社サイトの状況はAhrefsやSEMrushなどのSEOツールで確認することができます(有料)。
(図12:Ahrefsでリンク獲得状況を確認する例)
まとめ
本記事では、「リンクビルディング」についてSEOとの関係や基本的な考え方、リンクと親和性の高いコンテンツタイプなどを紹介しました。リンクを自然に惹きつけるための自社に関連するコンテンツ制作の取り組みは、中長期的にはSEOにおける成果以外にも自社サイトの認知向上やブランディングにも寄与する効果が期待できます。コンテンツマーケティングやSEOにお悩みの方はぜひアイレップにご相談ください。
この記事の著者
増渕 佑美
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタントとして従事。ソリューション部署に所属。通販や人材などデータベース型サイトを中心に経験を積んでおり、現在はメディアサイトのSEOも担当し幅を広げている。
好きなこと:散歩、パズル、動物の動画をみること
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタント...