検索結果では、検索キーワードに応じて強調スニペットと呼ばれる枠が表示されることがあります。自然検索の1位よりも上に表示されるため、検索結果では非常に目立つ枠といえます。本記事では、SEO担当者向けに強調スニペットの展開状況や表示のされ方、Googleの取り組みなどを紹介します。
強調スニペットとは
強調スニペットとは、検索キーワードと関連性の高いWebページから回答となる情報が引用され、検索結果の最上部に表示される枠のことを指します。
(図1:強調スニペットの例)※2022/9/15時点
通常はひとつのWebページから抜粋されますが、Googleのドキュメントには複数のWebページから抜粋されることもあると記述されています。
参考:Google の強調スニペットの仕組み - Google 検索 ヘルプ
また、強調スニペットに採用されると、通常の検索結果1ページ目以内にそのページは表示されないような仕組みとなっています。
参考:https://twitter.com/searchliaison/status/1220403696363700224
日本での展開状況と表示のされ方
SEOに関するツールを提供するAdvanced Web Ranking(AWR)が、Googleの検索結果機能の実装状況を公開している Google SERP Features では、日本の強調スニペットの実装状況は下記となっています。
(図2:AWRの Google SERP Features による、日本での強調スニペットの実装状況)
※2022/9/15時点
参考:Google SERP Features - Advanced Web Ranking
また、表示のされ方には複数の種類があり、大きく下記の4つに分類されています。
・パラグラフ
検索キーワードに関連する情報が短い文章で抜粋されるタイプです。画像とあわせて表示されることもあります。
(図3:パラグラフ形式の強調スニペットの例)※2022/9/15時点
・リスト
箇条書き形式で表示されるタイプです。
(図4:リスト形式の強調スニペットの例)※2022/9/15時点
手順に関する検索などでは、ナンバリングされたリストで表示されることもあります。
(図5:ナンバリングされたリスト形式の強調スニペットの例)※2022/9/15時点
・表
表の形式で表示されるタイプです。
(図6:表形式の強調スニペットの例)※2022/9/15時点
・動画
求められる情報に視覚的要素が含まれるような検索キーワードでは、動画をともなうタイプもあります。
(図7:動画形式の強調スニペットの例)※2022/9/15時点
強調スニペットに採用されるためにできること
強調スニペットはGoogleがプログラムで自動的に生成するため、確実に自社のWebページの情報を採用させるようコントロールすることはできません。しかし、選ばれやすくするためにできることがいくつかあります。
検索キーワードの回答となる情報を簡潔に用意する
自社の商品やサービスの宣伝を含まない回答を用意することが望ましいとされています。また、複数の段落にわたって説明されているような場合は、強調スニペットへの表示に適しません。簡潔にまとめた情報構成とするとよいでしょう。
適切なHTML構造でマークアップする
GoogleがWebページの内容を正しく読み取れるよう、適切なHTMLを使用する必要があります。リストには<li>タグを、表には<table>タグを、など適したマークアップをするようにしましょう。
ポリシーに準拠する
強調スニペットに採用される条件のひとつに、Googleのポリシーに準拠する、というものがあります。Google 検索の全般的なポリシーとして、下記に該当する情報は表示されません。
危険なコンテンツ
不正行為
ハラスメントコンテンツ
ヘイトコンテンツ
操作されたメディア
医療のコンテンツ
露骨な性的描写を含むコンテンツ
テロに関するコンテンツ
暴力や残虐行為
下品な言葉や冒とく的表現
また、強調スニペット固有のポリシーとして、「公共性の高いトピックにおいて合意が得られている内容と反している」に該当する情報は、表示されないこととなっています。
強調スニペットには、以下の機能固有の追加ポリシーもあります。
公共性の高いトピックにおいて合意が得られている内容と反している: 多くの社会問題、医療問題、科学論争、歴史認識などの公共性の高いコンテンツについては、専門家が広く合意している内容や十分に確立された意見と反している場合、強調スニペットに含めることはできません。
注: 以上のポリシーは、強調スニペットの表示に関して適用されます。ウェブ検索のリスティングには適用されず、削除も行われません。
参考:Google の強調スニペットの仕組み - Google 検索 ヘルプ
強調スニペットに表示させたくない場合
強調スニペットのみに採用されないようにする確実な手段はありませんが、検索結果での表示をコントロールする手法は下記があります。また、本章では強調スニペットと区別するため、検索結果1位以降に表示されるWebページごとの説明文を「通常のスニペット」として解説します。
通常のスニペットにも強調スニペットにも表示されないようにする
・Webページ内のすべての情報を表示させたくない場合
robotsメタタグのnosnippetディレクティブを使用します。下記のように<head>セクション内に含めることで、Webページ内のすべての情報が強調スニペットにも通常のスニペットにも表示させないようにすることができます。
<!DOCTYPE html> <html> <head> <meta name="robots" content="nosnippet" /> (…) </head> <body>(…)</body> </html> |
・Webページ内の一部の情報を表示させたくない場合
インライン ディレクティブでWebページ内の一部の情報を表示させたくないと伝えることができます。サポートされているのは、<span>、<div>、<section>タグの3つで、これらにdata-
nosnippet属性を追加することで、そのタグに含まれる情報を強調スニペット(または通常のスニペット)に表示させないようにすることができます。
<p> This text can be included in a snippet <span data-nosnippet>and this part would not be shown</span>. </p> |
ひとつのWebページにnosnippetとdeta-nosunippetが混在する場合、nosnippetが優先される点も認識しておきましょう。
・通常のスニペットの表示を残して、強調スニペットに表示されないようにする
強調スニペットでは一定の文字数が表示されるため、この特性を利用して検索結果に表示させる文字数を制限するmax-snippetというrobotsメタタグを使う方法があります。強調スニペットに表示される文字数に固定の閾値はないため、強調スニペットに表示されなくなるまでmax
-snippetで指定する文字数を減らしていく形となります。
この方法は通常のスニペットの表示を残せるというメリットがありますが、強調スニペットに表示される文字数が変動する可能性がある点や、強調スニペットの表示有無自体が変わることもある点を踏まえると、運用負荷が高く確実性が低いと認識しておく必要があります。
参考:強調スニペットとウェブサイト | Google 検索セントラル | ドキュメント | Google Developers
強調スニペットに採用されたことでCTRが下がるようなことがあれば、これらを試す方法も考えられますが、特にnosnippetの利用は強調スニペット以外の表示にも影響するため慎重な検討が必要です。
強調スニペットに関するGoogleの取り組み
クリックにつながるかどうかにかかわらず、強調スニペット自体は目立つ位置に表示されるため、内容の正確性や品質は検索者にとって重要です。Googleも強調スニペットの品質改善に取り組んでおり、直近では下記の取り組みが発表されています。
強調スニペットにWeb上のコンセンサスを反映する
自然言語処理の新技術であるMUMを活用し、強調スニペットにWeb上のコンセンサス(共通の見解)を反映することで品質改善を実現したと2022年8月に発表されています。
(図8:コンセンサスベースの手法で表示される強調スニペットの例)
図8では「how long does it take for light from the sun to reach earth(太陽光が地球に届くまでの時間」」の検索に対して、大きなフォントで「8 and 1/3 minutes(8分20秒)」と表示されます。これは、Web上の複数の高品質なソースが同じ事実に同意していることを確認したうえで表示されているそうです。
この取り組みは、誤った前提をもとにした(実際には答えのない)検索キーワードで強調スニペットを表示してしまうという問題にも役立っており、こういったケースの不適切な強調スニペットの表示を40%削減したことも報告されています。
参考:New ways we're helping you find high-quality information
まとめ
強調スニペット自体は過去からある機能ですが、Googleは継続的に品質の向上に取り組んでいる様子がうかがえます。また、Googleの検索結果は強調スニペット以外にもたくさんの機能があり、かつ新たな機能も頻繁に追加されています。自然検索の順位データだけでなく実際の検索結果を見たうえで、検索者に訪問してもらえるWebサイト作りが必要といえます。
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この記事の著者
増渕 佑美
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタントとして従事。ソリューション部署に所属。通販や人材などデータベース型サイトを中心に経験を積んでおり、現在はメディアサイトのSEOも担当し幅を広げている。
好きなこと:散歩、パズル、動物の動画をみること
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタント...