Googleの検索技術の向上に伴い、検索結果での画像表示や検索時にキーワードではなく画像を入力できる場面も増えており、今後もより一層検索と画像の関連性は高まっていくと推測されます。この状況に対応するには、SEO担当者はどのようにWebサイトに掲載する画像と向き合うべきか、Googleの検索への画像活用状況から考察してみます。
Google 検索と画像の関係
Google 検索で活用される画像は、大きく検索結果としての利用と、検索クエリとしての利用(検索時にキーワードではなく画像を入力)のふたつに分けられます。前者は通常の検索結果にも表示されるため馴染みのある方も多いと思いますが、ここ数年でGoogle レンズへの機能追加も進んでおり、後者の利用シーンも増えつつあります。
検索結果としての画像
検索結果として画像が表示されるパターンは大きく3種類です。
(図1:検索結果で画像が表示される例)
図1の左の例のように、検索キーワードを入力し、検索結果画面で画像タブを選択することで、画像検索結果を閲覧できます。また、図1の中央の例のように、検索キーワードによっては通常の検索結果に画像検索結果のセクションが表示されるケースもあります。図1の右の例のように、検索結果に表示されるWebサイトへのリンクエリアに画像が表示されるケースもあります。
また、厳密には検索結果ではありませんが、Google Discoverのプレビュー画像としてもWebサイト内の画像は使われています。
参照元:Discoverにコンテンツを掲載する | Google 検索セントラル | Google Developers
(図2:Google Discoverでプレビュー画像が表示される例)
検索クエリとしての画像
近年、Google レンズは機能追加が進み検索との親和性が高まったことで、入力した画像から様々なタイプで検索をできるようになっています。2022年2月時点では、翻訳、テキスト、検索、宿題、ショッピング、お店やスポット、食事が選択可能です。
(図3:Google レンズの利用イメージ)
Google レンズの公式ページでは、以下のような機能が紹介されています。
・テキストの操作
画像内の文字情報を読み取り、メニューから料理を検索する、カレンダーに予定を追加する、ルートを調べる、電話をかける、翻訳するなどの操作ができます。
・スタイル検索
検索ボックスにテキストを入力しなくても、気になる服や家具、雑貨をGoogle レンズにかざすことで似ている服、家具、雑貨を探すことができます。
・画像データからテキストデータへの変換
Google レンズで印刷または手書きのテキストをコピーして、同じユーザーでログインしている別のChrome ブラウザにワンタップで送ることができます。
・名前のわからないものの検索
友だちの家にある植物の名前や、公園で見かけた犬の種類を確認できます。
・宿題のサポート
宿題に行き詰まったときは、数学、歴史、化学、生物、物理などの説明、動画、Web検索結果をすばやく見つけることができます。
2021年11月には、Googleは自然言語処理の新技術であるMUM(Multitask Unified Model)を用いて、画像とキーワードを組み合わせた検索機能の実装を予告しています。また、デスクトップ版Chromeなどへの展開も予告(2022年1月にはデスクトップ版Chromeにテスト実装されたケースも確認※)されており、今後も機能追加や利用シーンの拡張がおこなわれていくと推測されます。こうした動きに対応して、Webサイト運営者は入力された画像と関連性の高い画像をWebサイトに用意しておくことでGoogle レンズ経由の検索者との接点を作れる可能性があります。
※Googleの動向を紹介している米国の9TO5Googleというメディアサイトにて、2022年1月31日に報じられている
参考:Google tests adding Lens to desktop Search on the web - 9to5Google
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その他、Google 画像検索の画面から画像を検索することもできます。
参照元:Google 画像検索
(図4:Google 画像検索画面)
検索クエリとしての画像利用ではSEO担当者は何を意識すべき?
検索にGoogle レンズが用いられるケースでは、調べたいことが言葉にしにくかったり、それを指す言葉を知らなかったり、という状況が考えられます。以下のようなポイントを意識してWebサイトに掲載するコンテンツのフォーマットを工夫することを推奨します。これにより、他の流入経路で訪れる人にも、より親切なWebサイトにすることができるはずです。
言葉で説明しにくい情報は画像で補足する
普段のWebサイト運営や顧客とのコミュニケーションの中で、抽象的になりがちな質問内容や言葉で説明するのが難しい内容があれば、積極的に画像とあわせて解説するようにすると良いでしょう。
Googleは、今後実装予定の画像とテキストを組み合わせた検索機能の活用例として、名前を知らない自転車のパーツの修理方法を調べる例を紹介しています。
参照元:How AI is making information more useful
(図5:名前を知らない自転車のパーツを修理する方法について、画像とテキストを組み合わせて検索する様子)
こういったケースでは、名前があまり知られていないパーツの画像を含めた解説やその修理方法をコンテンツとして公開しておくことで、Google レンズの検索結果に表示される可能性が高まり、検索者との接点を増やせる可能性があります。
取り扱っている商品の特徴を示す高品質な画像を複数用意する
特に、見た目が意思決定要因になる商品を扱う通販サイトの運営者は、商品をさまざまな角度から撮影した画像を用意しておくと良いでしょう。キーワードで表現しにくい柄や名称があまり知られていない商品など、言葉にしにくい特徴を持つ商品はその部分の高品質な画像を掲載しておくことで、Google レンズ経由で探そうとしている検索者と接点を持てる可能性があります。
また、Googleは通販サイトに利用を促しているGoogle Merchant Centerのガイドラインで、画像に関するガイドラインを定めています。通販サイト運営者は、これに準拠した画像を用意することで、Google レンズのショッピング検索にとどまらず、Google ショッピング全体での露出増加に繋がる可能性があります。
参考:商品画像リンク [image_link] - Google Merchant Center ヘルプ
画像掲載時のベストプラクティス
画像の活用方針が整理できたら、Googleが提示している画像検索に関するベストプラクティスに従ってWebページに掲載しましょう。以下に重要とされている主要な項目を記載します。詳細はGoogleのドキュメントに記載があるため、一読いただくことを推奨します。
参考:Google 画像検索に関するSEOのおすすめの方法 | Google 検索セントラル | Google Developers
・適切なコンテキストを提供する
画像は掲載するWebページのトピックと関連性の高いものを用意し、独自の価値を与える画像とする。
・画像の配置を最適化する
可能な限り関連するテキストの近くに画像を配置する。最も重要な画像はWebページ上部に配置する。
・画像内部に重要なテキストを埋め込まない
画像内のテキストにアクセスできないユーザーや検索エンジンがいるため、画像内にページの見出しや商品名などの重要なテキストを埋め込まない。
・alt属性を記述する
画像が表示されないユーザーに画像の情報を提供できるよう、画像について説明する代替テキスト(alt属性)を記述する。
・高画質な画像を利用する
ユーザーの興味を惹きつけられるよう、不鮮明な画像は使わずに高画質な画像を利用する。
・有益で高品質なサイトを作る
質の高いWebページは、画像のコンテキストをはっきりと検索エンジンに伝えることができる。画像が掲載されているWebページの品質はGoogleの画像検索の順位にも影響するため、高品質なWebサイトを作る。
・モバイルとデスクトップに対応するWebサイトを作る
Google 画像検索はデスクトップよりモバイルで多く使われる傾向がある。さまざまなデバイスやサイズに対応したWebサイトにする。
・画像用の優れたURL構造を作成する
Googleはファイル名やURL構造も画像の理解に活用している。通常、画像はWebページほど頻繁にクロールされないため、URLを恒久的に保つことが必要。画像URLの変更は可能な限り避け、変更する場合は301リダイレクトを利用する。
・適切な構造化データを利用する
検索エンジンに機械判読可能な形式で、画像に関する追加の情報を伝えられる。
・大きなプレビュー画像を含める
大きな画像を用意しておくと、Google Discoverからのアクセス増加につながる。画像を適切なサイズに指定するためには、[max-image-preview:large]robotsメタタグを使うか、AMPを有効にする。
・画像のライセンス情報を加える
ユーザーが画像使用許可について理解することができる。
・速度を考慮する
画像は全体的なページサイズに関わるため、遅延読み込みやレスポンシブ画像など表示高速化のための手法を活用し、高品質で高速なユーザーエクスペリエンスを提供できるようにする。
まとめ
Google レンズの機能追加やMUMなど最新技術の導入により、検索クエリや検索方法の幅が広がってきています。画像をクエリとした検索は、キーワードでの検索に取って代わることは考えにくいですが、画像との親和性が高いWebサイトの場合、一定の流入を得られるチャンスとなる可能性があります。キーワードで検索するのが難しい情報をうまくWebサイトでコンテンツ化できているかどうか、などより本質的なわかりやすさを意識してWebサイト運営をすることを推奨します。
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この記事の著者
増渕 佑美
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタントとして従事。ソリューション部署に所属。通販や人材などデータベース型サイトを中心に経験を積んでおり、現在はメディアサイトのSEOも担当し幅を広げている。
好きなこと:散歩、パズル、動物の動画をみること
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタント...