Googleは、9月16日に「Google ニュースショーケース」を日本で開始すると発表しました。本記事では、Google ニュースショーケースの概要やSEO担当者の業務への影響について解説します。
Google ニュースショーケースとは?
Google ニュースショーケースとは、Googleがニュースを掲載している箇所に表示する新たなパネルのことで、パネル内に表示する記事を提携パブリッシャー(出版社)がコントロールできるようになっています。
参照元:Google Japan Blog「Google ニュースショーケースの提供を開始」
(図1:Google ニュースショーケースの表示イメージ)
Google ニュースでは通常、Googleのランキングアルゴリズムに基づいて記事が表示されるため、パブリッシャーが表示する記事をコントロールできません。一方、ニュースショーケースでは提携パブリッシャーが表示する記事をコントロールすることが可能であり、この点が大きな違いとなっています。
ニュースショーケースの表示箇所は、2021年9月時点でGoogle ニュースアプリ(Android、iOS)、Web版Google ニュース、iOSのDiscoverと発表されています。
また、ニュースショーケースではGoogleが提携パブリッシャーにライセンス料を支払うという点も注目されています。Googleは、原則としてWeb上で公開されている情報を掲載するときにライセンス料は支払いません。それでも、Googleという巨大なプラットフォームに掲載されることでトラフィックという対価を得られますから、多くのWebサイトはGoogleのクロールを許可し、Google 検索で露出を増やそうとしています。
一方で、ニュース業界からは長年、Googleなどの大手プラットフォームに本来パブリッシャーが得るべき広告収入が奪われていると批判がありました。こうした声を受けて、オーストラリア政府は2021年2月にプラットフォーマーに記事使用料の支払いを強制する法案を可決しました。他の国でもパブリッシャーを支援する動きは広がると見られており、ニュースショーケースに含まれるライセンス料の支払いは、こういった情勢を踏まえた対応とも言われています。
2021年9月時点で、日本ではニュースショーケースに参加しているパブリッシャーは40社以上となっています。
SEO担当者の業務に影響はある?
提携パブリッシャーの場合
提携しているパブリッシャーはニュースショーケースのパネルに表示する記事をコントロールできるため、読者に注目してほしい記事を選んで表示させることが可能になります。また、Googleが支払うライセンス料の中に有料記事閲覧料の一部も含まれているため、パネルには有料記事も表示できます。これにより、読者は無料で一部の有料記事を閲覧できますし、パブリッシャーにとっては定期購読者を増やすひとつのきっかけを得ることができます。パネル表示内容の制御は、SEO担当者の業務範囲ではないかもしれませんが、読者との新たな接点になるため適切にコントロールすることが求められるでしょう。
(図3:パブリッシャーによりロゴ直下の文言や記事カテゴリの表示など
パネル内の表記が異なっている例)※2021年9月22日時点
また、計測環境も整えておくことで、ニュースショーケースのパフォーマンスを測定することができます。ニュースショーケース経由の流入を測定するにはUTMパラメータの使用が必要です。
それ以外のWebサイトの場合
掲載パブリッシャー以外のWebサイトには、大きな影響はありません。今のところ、Google 検索のニュースタブにおける検索結果ではショーケースのパネルは表示されていません。これまで通りショーケースの提携パブリッシャー以外のWebサイトの記事も表示されます。この枠に表示するには別途Google ニュースのガイドラインに従う必要があります※1。
※1 参考:「Google ニュースでの表示に関するよくある質問への回答 | Google 検索セントラル ブログ | Google Developers」
ニュースショーケース以外のGoogleのニュース領域への取り組み
前述のライセンス料の支払いの部分でも触れましたが、大手プラットフォーマーには、ニュース業界への支援が求められる状況となっています。Googleはニュースショーケース以外にもニュース業界を支援するべく以下のような取り組みもおこなっています。
ニュース業界での女性活躍推進プログラムの実施
「Women Will Leadership Program」という名称で、女性活躍推進プログラムが実施されています※2。
※2 参考:「Women Will Leadership Program for News Industry - ホーム」
地方紙支援の取り組み
「GNI Local Lab」という名称で、地方紙のWebサイトのパフォーマンスを向上させるためのワークショップなどがおこなわれています。また、地方紙が主導する「Build New Local」プロジェクトもサポートしており、デジタルマーケティングやオーディエンス開発などGoogleが持つ知見を提供する取り組みもおこなわれています。
これらの取り組みは、「Google News Initiative」に内包されています。上記以外にも様々な取り組みがおこなわれているため、興味のある方は確認してみてください※3。
※3 参考:「Google News Initiative – Google News Initiative」
まとめ
Google ニュースショーケースは提携パブリッシャーでなければ、SEO担当者の業務に直接影響するようなものではありません。ただ、今後さらにニュースショーケースパネルの表示箇所が増えるような場合には、自然検索経由のトラフィックに何らかの影響が出る可能性もありそうです。ニュース記事を扱うWebサイト運営者は検索結果画面の変化など最新情報をキャッチアップすることを推奨します。お困りの際はぜひアイレップまでお問い合わせください 。
▼関連資料
この記事の著者
増渕 佑美
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタントとして従事。ソリューション部署に所属。通販や人材などデータベース型サイトを中心に経験を積んでおり、現在はメディアサイトのSEOも担当し幅を広げている。
好きなこと:散歩、パズル、動物の動画をみること
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタント...