ユーザーを動かし、成果に結びつける「動かすUX Studio」は、どのような研究をしているのか?
TEAM JAZZは、アイレップがデジタル広告運用で培った独自のノウハウを土台に、データとクリエイティブを駆使してデジタル時代の新たなマーケティングを実践するプロジェクトです。2023年9月より、企業の統合マーケティング支援を強化する目的で新たに5つの研究組織「JAZZ Studio(ジャズ スタジオ)」を設立しました。
そのひとつである「動かすUX Studio」は、ストラテジー、ソリューション、クリエイティブなどのさまざまな領域のプロフェッショナルが知見をつなぎ、ユーザーを動かし、成果にダイレクトにヒットさせるUI/UXを研究・実証するStudioです。中心メンバーである平林孝仁と湯浅直人、TEAM JAZZを統括する木野本朋哉に、Studio設立の背景、体制、活動内容、目標などを聞きました。
ビジネス成果にヒットするUI/UXを研究・実証する
「動かすUX Studio」が発足した背景を教えてください。
平林:
従来アイレップは、広告の最適化やSEOなど、流入施策を得意としてきましたが、それだけでは解決できない領域の課題を扱うことも増えてきました。UXは、企業のマーケティング戦略を策定する際の中心的領域となりつつあります。UXを向上させることで、ビジネス成果へダイレクトにヒットさせるための方法を研究し、実証していくことが、このStudioのミッションです。
木野本:
現状、主観的な体験ベースで良し悪しを語られることが多いUI/UXという領域で、アイレップは定量的な数値に基づく方法をもちいてUI/UXを改善し、ビジネス成果につなげる独自の方法論を有しています。これを活かすことで、新たな付加価値をクライアント企業に提供できるのではないか、そのような想いを託して、湯浅さんと平林さんにこのStudioを立ち上げてもらいました。
お二人はこれまでどのような仕事をしてきましたか?
湯浅:
2013年、アイレップに入社して以来、一貫してクリエイティブ部門に在籍しています。デザイナー、ディレクターを経て、現在はクリエイティブ部門全体のマネジメントを担当しています。 今期から平林さんと一緒にUX部門(UXコンサルティングDivision)を立ち上げ、現在はそのマネジメントも兼任しています。
平林:
デジタルマーケティング歴18年になりますが、アイレップの中で一番多くの部署を経験しているかもしれません(笑)。アイレップに入社当時は、SEMやSNS広告などのデジタル広告を中心とした営業をおこなっていましたが、その後、博報堂との協業チームのマネジメントや各種案件プロジェクトのマネジメントを担当しました。数年前にはSEOやデータソリューションなどのサービスで構成されるソリューション領域の営業部門へマネジメントとして異動し、同時に、自社のマーケティング部門の立ち上げを担いました。現在は、ソリューション領域にあたるサービス部門の部門長に従事しています。
お二人のStudio内での役割は?
平林:
私は当Studioの責任者として、全体を統括しています。当Studioの研究・実践に向けたイニシアチブは、UI/UXサービスのマネジメント担当である湯浅さんを筆頭に推進する体制を構築しています。
Studioにはほかにどのような人が所属していますか?
湯浅:
UXコンサルティングDivisionには約30人のメンバーが所属しています。当Divisionは、SEOやコンテンツマーケティング、広告クリエイティブ制作を専門とするスペシャリストが所属しています。UI/UXはこれらの専門分野と親和性が高いため、動かすUX StudioにもUXコンサルティングDivisionメンバーが多く在籍しています。
SEO施策で培ってきたキーワード分析や流入分析、広告クリエイティブ制作で培ってきた広告分析やWebページ分析に関する能力は、すべてアイレップの大変強力なアセットです。これらの分析力を掛け合わせることで、高度なUXプランニングの提供が可能になると考えています。
UXコンサルティングDivisionが立ち上がった2023年4月以降、いくつものUX改善に取り組んでいますが、続々と成果が生まれており、クライアント企業からも高い評価をいただいています。
テレビCM、SEO、広告、UXを連携し、クライアント企業との共創を推進
現在取り組んでいるテーマを教えてください。
平林:
まずは「CRO(コンバージョンレート最適化)」です。近年、クライアント企業の事業貢献にあたり、コンバージョンレートの向上についてもコミットを求められることが多くなってきています。そうした要求に対して私たちは、広告からの最適化だけではなく、自然流入に対するコンバージョンレートの最適化、いわゆるCRO施策の取り組みを進めてきました。具体的には、あるSaaS系クライアント企業の事例で、流入分析や行動分析を基に、サイト構造やキービジュアル、テキストなどの修正をおこない、結果的にコンバージョンレートを大きく改善できたという成果が出ています。
次に、「サイトUX×自然流入×ダイナミック広告」の取り組みです。ECサイトのSEOを実施する際に、サイト構造全体や商品詳細ページのデータベースを見直すことで、Google の動的配信広告の最適化につながる可能性があります。SEOと広告施策は補完関係になることが多く、アイレップの社内においてもいくつかの案件で、独自の取り組みとして「SEOと広告領域の連携」にチャレンジしています。
そして3つ目は、「テレビCM×SEO」です。テレビCMやデジタル動画広告において、統合指標の使い方、SEOに与える影響、放映後のオンライン行動、投資対効果の最大化・効果の可視化について、研究と実践をおこなってきました。どのようなテレビCMやデジタル動画広告が検索行動を刺激し、SEOのパフォーマンスを向上させるのかを解明すべく、調査と研究を進めています。
上記3つのテーマに関する課題について、さまざまな業種のクライアント企業とともに取り組んでいます。
どのような課題を抱えている企業に参加してほしいと考えていますか?
平林:
UX改善は、中長期的に腰を据えて取り組むことで、大きな効果を発揮する施策です。広告の最適化や直近のビジネスゴール達成に留まらず、事業全体という観点から、オウンドメディアの流入やUX、成果を改善したいと考えている企業には、ぜひ参画してほしいと思っています。
湯浅:
私はこれまで、クリエイティブ領域でずっと広告に向き合ってきましたが、広告クリエイティブの表現に関して、バナーやLPなど、常に点の最適化を求められてきた感覚があり、それに違和感を覚えていました。
本来、生活者の行動とは、点ではなく極めて連続性があり、流動的なものです。改めて生活者の視点に立ってみたときに、私たちが提示できる解決策はUXの改善なのではないかと考えるようになりました。そのような背景もあり、WebサイトのUI/UX領域に踏み込んでいます。
オウンドメディアは、企業にとって重要な資産です。立ち上げただけ、リニューアルしただけでは、この資産の価値を十分に活かすことはできません。オウンドメディアのUXを継続的に改善し、コンバージョンレートを最適化することで、長期的に成長させていきたいと考えておられるご担当者の方は、ぜひお声がけいただきたいですね。
製品・サービス全体のUI/UX改善を目指したい
最後に、今後の目標、展望、取り組みたいテーマを教えてください。
平林:
ひとつは、オウンドメディアの成果向上です。CROに集中的に取り組みたいですね。もうひとつは、テレビCMとSEOのさらなる追究です。テレビCMだけでなく、動画とSEOの相互作用に関しても、取り組みを拡大していきたいと思っています。
湯浅:
これから1、2年のうちには、デジタルのプロモーション施策のなかで、UI/UXの改善が選択肢として上位に上がるような文化を作り、クライアント企業に広めていきたいです。現在、広告費を投下して広告を出稿し、LPへ誘導することで成果を上げる取り組みは多くの企業がおこなっています。もちろんそのような施策も必要ではありますが、私たちはWebサイトに接触した生活者のUXを高めることによってコンバージョンレートを高め、継続的に成果が上がるような施策を選択肢のひとつとして提示し、クライアント企業に検討してもらえるようになりたいと考えています。
木野本:
「UXを科学する」ことで、明確に成果が出せる体制を構築し、適用領域をもっと広げていければと思っています。UXは本質的にはWebサイトだけでなく、アプリを含む製品・サービス全体を視野に入れて進めていかなくてはなりません。できるだけ早いうちに、製品・サービス全体のUI/UXをトータルで改善し、ユーザーを動かし、成果を出せるところまで、取り組みを推進していきたいと考えています。
プロフィール
株式会社アイレップ
取締役
木野本 朋哉
2008年に博報堂に入社し、ストラテジック・プランニングから、制作・メディアのプロジェクトマネジメントまで、幅広くマーケティング・広告実務に従事。2015年には、外資系PEファンドに1年間出向し、M&A・PMI実務を経験。帰任後は博報堂DYホールディングスにて、グループ中期経営計画の立案・D.Aコンソーシアム・ホールディングスのTOBに携わる。2019年よりアイレップに参画し、2022年より取締役としてマーケティングサービス部門全体を管掌。また、自らが深く経営計画・事業開発に携わってきた経験から、クライアント企業の事業課題を捉えたマーケティング戦略・施策立案を得意とする。
株式会社アイレップ
平林 孝仁
デジタルマーケティング歴18年。SEM、SNS等の広告を中心とした営業、博報堂との連携チームの担当、各種案件プロジェクトのマネジメントを経て、現在は広告以外のデジタルマーケティング領域=ソリューション領域の担当を担う。アイレップのインバウンドマーケティング立ち上げをおこなった経験を活かした、BtoBマーケティング支援の豊富な実績を持つ。「デジタルマーケターズサミット 2023 Winter」への登壇実績もあり。
株式会社アイレップ
湯浅 直人
グラフィックデザイナーのアシスタントを3年経験後、2013年にアイレップに入社。デザイナー・ディレクターを経て、2016年よりマネージャーに就任。プランニング・施策設計・デザイン・効果検証など幅広い領域を守備範囲とする。さまざまな商材のクライアント企業案件において、LP/バナー等のクリエイティブを起点とした成果改善を経験。現在はパフォーマンスクリエイティブ領域の責任者、およびUX領域の部門立ち上げに従事。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。
当社がこれまでに得たデータや経験から、具体的事例・将来展望・業界の最新注目ニュースなどについて情報を発信しています。ニュースやコラムだけでなく、日常業務や将来のマーケティング施策を考えるときに役立つダウンロード資料や、動画で学べるウェビナーコンテンツも随時追加していきます。
デジタルマーケティングの最新情報や知見を得るための信頼できる情報源の1つとしてお役立てください。
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