LINEヤフー社誕生に伴い実現できる新しいマーケティング手法とその活用方法について

2024.03.28

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LINE株式会社(以下、LINE)とヤフー株式会社(以下、Yahoo! JAPAN)は、2023年10月1日にLINEヤフー株式会社としてひとつの会社に統合されました。またLINEとYahoo! JAPANのアカウント連携を同月4日から順次始めており、連携に同意したユーザーは、LINEとYahoo! JAPANのサービス間でデータがスムーズに連携できるようになります。本記事では両サービス間でデータ連携ができたあかつきに、企業はどういった新たなマーケティング施策が実現できるのか、またどのように活用できるのかについて紹介します。

LINEヤフー社が提唱するConnect One構想

2023年10月、LINEヤフーは顧客と真に繋がれるプラットフォームとして、Connect One構想を発表しました。Connect One構想とは、「LINEヤフーの国内最大級のユーザー数」「豊富なバーティカルメディア」「国内最大級のメディア郡」という3つの特徴と、LINEヤフーのさまざまなプロダクト連携によって、広告から販促、CRM、DX・CXまで実行できるビジネスプラットフォームを構築していく構想です(図1)。今回の統合に伴い、2024年2月から一部Yahoo! JAPANのオーディエンスデータなどをLINE広告やLINE公式アカウントに連携するサービスの提供を開始しました。さまざまなサービスのタッチポイントを起点にユーザーデータが集約・連携され、LINE公式アカウントを中心にユーザーの体験価値向上ならびに企業のビジネス拡大を実現します。

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(図1:Connect One構想)

LINE公式アカウントとは

LINEはMAU9,600万人(2023年9月時点)をほこり、国内でも多くのユーザーを保有するSNSのひとつです。企業・店舗向けLINEアカウントとして提供されているLINE公式アカウントは、企業や団体がLINEを通じて顧客やファンと直接コミュニケーションをとるためのサービスです。企業はLINE公式アカウントを使用して、商品やサービスに関する情報、キャンペーン、アフターサービスの案内などを迅速に通知できます。また、顧客からの質問やフィードバックに対するリアルタイムな対応も可能となります。これにより、ユーザーエンゲージメントを高め、顧客満足度向上に寄与すると同時に、顧客データの蓄積と分析による、よりパーソナライズされたマーケティング戦略を立てることができるようになります。そのため、メルマガだけでは情報が届きにくいユーザーや、デジタル広告を通じてもリーチしづらいライトユーザーに対し効果的な情報発信ができるツールとして、さまざまな企業が取り入れています。

 

参考:LINE Business Guide 2023年10月-2024年3月期|LINEヤフー for Business|2024年1月引用,P10

 

Connect One構想によって新たに実現するマーケティング施策

新たにできるマーケティング施策

「Connect One構想」の実現により、2024年2月から一部Yahoo! JAPANのオーディエンスデータ等をLINE広告やLINE公式アカウントに連携するサービスの提供を開始しました。サービスデータの相互活用を実現させる「Connect One 構想」は今後のマーケティングにどのような影響を与えるのでしょうか?

1.ターゲットのニーズに合わせてLINE公式アカウントからメッセージ配信ができるようになります。

これまでのLINE公式アカウントの運用では、主にLINE上のアクションを基にした属性等を活用したユーザーデータの活用を基本としていました。しかし、Yahoo! JAPANとサービスデータを統合したことにより、 Yahoo! JAPANのオーディエンスデータ等をLINE広告やLINE公式アカウントに連携して配信ができるようになります。たとえば、旅行パッケージを販売する企業が「ファミリー向け国内旅行」のプロモーションを検討している場合、Yahoo! JAPANの検索データなどを利用してLINE公式アカウントからセグメント配信をすることで、「ファミリー向け国内旅行」に興味を持ちそうな友だちにのみプロモーションをおこなうことができるようになります。特にこれまでデジタルマーケティングの経験が少なく、ユーザーデータ量が少ない企業は、今回のデータ連携によってLINE公式アカウントの運用の配信精度を一気に引き上げることが可能になります。

2.ユーザーのLINE内行動を広告のターゲティングに活かすことができるようになります。

現在、Yahoo!広告で集客をおこなっている企業は、LINE公式アカウント内のユーザー行動を基に類似拡張ターゲティング広告をおこなうことができるようになります。LINE公式アカウントの友だちは、比較的ロイヤリティが高いといわれているので、友だちに類似したターゲティングで広告配信することで、ユーザーの獲得範囲を広げるだけでなく、優良ユーザーを獲得できる可能性があります。

3.Yahoo!広告のサーチターゲティング実績を活用したLINE広告が配信できるようになります。

LINE広告も同様に、Yahoo!広告のデータを活用することが可能になります。これまでもLINE広告では多様なターゲティング設計ができましたが、今後はさらにターゲティング精度を上げることができるようになります。これまで、各プラットフォーム内の施策データ、もしくは企業が保有する顧客データを掛け合わせたユーザー分析・ターゲティングを基にユーザーコミュニケーションをおこなっていましたが、ふたつのプラットフォームがデータ連携したことにより、これまで以上に解像度の高いユーザーコミュニケーションが実現されるようになります。

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(図2:統合後のデータ利活用イメージ)

サービスデータの相互活用において必須となるビジネスマネージャー開設

これまでお伝えしたデータ活用を実現させるには、LINEサービスデータやYahoo! JAPANサービスデータを連携するための箱として「ビジネスマネージャー」の開設が必須です。ビジネスマネージャーは基本的に1社1アカウントを無償で開設できるデータの連携・管理ツールです。企業によっては、LINE公式アカウントと、LINE / Yahoo! JAPANの広告アカウントを分けて開設している場合もありますが、ビジネスマネージャーを開設することで、データを横断して利活用することが可能になります(図3)。特に複数事業を運営している企業は、事業部や会社の垣根を越えてデータの利活用ができるので、成果や施策の幅においても大きなメリットが生まれる見込みです。

たとえば クレジットカード事業とコスメ事業をもつ企業の場合

これまで
それぞれの事業でYahoo!広告やLINE公式アカウントなどの施策をおこなっており、施策ごとに成果分析・次回戦略を立てていた。

ビジネスマネージャー開設後
Yahoo!広告とLINE公式アカウントの施策成果を一元的に管理・分析することができる。さらに、クレジットカード事業で得たデータから、性別×年代×コスメ購入者の情報を分析し、そこで得たペルソナや購買傾向からLINE公式アカウントの配信戦略を設計することが可能に。

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(図3:ビジネスマネージャーを活用したデータ連携イメージ)

今後のスケジュールについて

LINEヤフー社が公表している各種データ連携・サービス利用のスケジュールは以下の通りです。企業担当者はこれらのスケジュールを念頭におき、サービスデータ活用にむけて準備することを推奨します。

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(図4:今後のスケジュール)

■LINE公式アカウント / 広告とYahoo!広告のアップデート

・2024年2月【ビジネスマネージャーによるユーザーリスト連携】
Yahoo! JAPANのデータを基に作成したセグメントをLINE広告・LINE公式アカウントに連携した広告配信・メッセージ配信が可能に。

・2024年3月頃【LINE広告内でのセグメント拡充】
LINE広告の管理画面内で約550のYahoo! JAPANのオーディエンスセグメントの設定が可能に。

・2025年度【LINEヤフー広告プラットフォームの誕生】
LINE・Yahoo! JAPANのデータを学習データとすることで機械学習の精度を大幅に改善。リーチやフリークエンシーもメディアを横断してコントロールが可能となることで、ユーザーとの適切なコミュニケーションが可能に。両メディアでの行動が可視化されることで、潜在顧客の解像度が向上。Yahoo!広告・LINE広告に同じ管理画面で同時出稿が可能となり、運用工数が減少。

新しいマーケティング施策をおこなうために広告主が準備しておきたい3つのポイント

広告主が準備しておきたいABC

上記の通り、今回のアップデートは企業側の環境整備が必要となる場合が多いです。先述の新しいマーケティング施策を実施するために、企業が事前に準備しておかなければならないものについてお伝えします。

A)LINE公式アカウントの開設:LINE公式アカウントを開設し、自社の顧客はもちろんのこと、これから新しく顧客となりうる友だちを集めコミュニケーションができる状態にしましょう。

B)ビジネスマネージャーの開設:主にLINE上のアクションを基にした属性などを活用したデータ等を蓄積できる状態ですが、先述した通り今後Yahoo! JAPANのサービスデータもインプットできるようになる予定のため準備することを推奨します。(LINEビジネスマネージャー設定のマニュアル)

C)部門体制の整備:最後に部門体制です。広告とLINE公式アカウントなど、施策軸で管轄を分けている場合や、Yahoo! JAPANとLINEなど、媒体軸で管轄を分けている場合は、今後の運用体制の見直しを推奨します。今回のアップデートが実現すると、施策や媒体の垣根を超えた連携が必要になってきますので、施策効果を最大化するためにも、ぜひ全体管理ができる状態を目指していただきたいです。

まとめ

本記事では、LINEヤフー社誕生にあたり可能になる、新しいマーケティング施策について解説しました。LINEヤフー社の船木氏をゲストにお招きし、今回の統合について説明しているウェビナー動画もありますので、ぜひご覧ください。
また、「Connect One構想」の実現に向けた環境整備やマーケティング施策に関する不明点やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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この記事の著者

DIGIFUL編集部

「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。

当社がこれまでに得たデータや経験から、具体的事例・将来展望・業界の最新注目ニュースなどについて情報を発信しています。ニュースやコラムだけでなく、日常業務や将来のマーケティング施策を考えるときに役立つダウンロード資料や、動画で学べるウェビナーコンテンツも随時追加していきます。

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