顧客発想でBtoBマーケティングとセールスをシフトするソリューション「GRIP&GROWTH」とは?【BtoBマーケティングDXカンファレンス GRIP&GROWTH レポート】①
※本記事は博報堂DYグループの「生活者データ・ドリブン・マーケティング通信」より転載しました。
博報堂とアイレップは2021年10月6~7日にかけて、BtoB企業のマーケティング・セールス領域のDXを推進するカンファレンス「BtoBマーケティングDXカンファレンス GRIP&GROWTH」を共催しました。オープニングセッションでは、新たなソリューションであるGRIP&GROWTHの概要について紹介しました。
最初に博報堂の青木雅人執行役員が登壇しました。
青木:
本イベントにご参加いただきありがとうございます。博報堂の青木と申します。「HAKUHODO DX_UNITED」という、DXを推進するための組織を担当しております。
開演に当たり、カンファレンス開催の背景をお話したいと思います。コロナ禍は、生活やビジネスなどの様々な環境を大きく変えました。同時に社会のデジタル化はかつてないスピードで進んでいます。リモートワークが急速に広がり、オンラインでの商談が当たり前になり、店舗では非接触型サービスを導入しているところが増えてきました。まさにニューノーマルが生活の身近なところにも広がっていると実感しています。
技術の進化は生活に革新をもたらしています。オンライン会議システムは会議や商談のあり方を変えただけでなく、働き方、暮らし方まで変えました。本日のようなカンファレンスにもオンラインで気軽に参加できるようになり、時間と場所の制約がなくなり、より自分に合った働き方を選べるようになりました。
こうした生活変化の背景にあるのがデジタル化の進展です。これまで進んできたのが、PCやスマホ中心の「情報のデジタル化」だとすれば、これからはデジタルテクノロジーが生活の隅々に入り込むオールデジタル化が始まります。それは即ち、暮らし方や生き方に変革をもたらす「生活のデジタル化」です。
企業と生活者の接点は、これまではマスメディアを中心とした広告や店舗での販促といった企業からの一方的な情報発信でした。またBtoBの領域の商談は、リアルな場のみで行われていました。これからはメディア、店舗、デジタルツールなど企業と生活者、企業と企業の商談接点は多様化し、それらはデータをやり取りするインタフェースになります。
この進化により、BtoBの領域を含め、全てのインタフェースを統合した新たなマーケティング、コミュニケーション手法が求められるようになってきています。企業のマーケティング活動のDXが急速に進む中、企業が更に成長するためには、効率化やコストダウンに加え、潜在需要を発掘して新たなマーケットをデザインする価値創造型のDX推進が求められています。
価値創造型のDXとは、営業活動、オウンドメディア、店舗などの領域におけるマーケティングDXと、マスメディアとデジタルメディアを横断してメディアの投資効果の最大化を図るメディアDXを一体化させたものです。
この価値創造型のDXを推進するため2021年4月、博報堂、博報堂DYメディアパートナーズ、DAC(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム)のグループ3社がひとつながりとなってDXを加速させる組織、HAKUHODO DX_UNITEDを立ち上げました。
HAKUHODO DX_UNITEDには、3社が有する8つの専門機能、700人のスペシャリストを集めました。8つの専門組織とはデータマーケティング、統合メディアプランニング、体験設計などです。各社の組織が分断することなくチームとして有機的に機能するようにしたことで、潜在需要の掘り起こしから、ファン育成までのフルファネルマーケティングの推進が可能な体制になっています。
今回のカンファレンスでご紹介するGRIP&GROWTHは、HAKUHODO DX_UNITEDが中心となって博報堂DYグループ8社の機能をひとつながりにすることで、BtoB企業のマーケティングおよびセールス領域のDXを推進するソリューションです。是非、博報堂のBtoB領域の取り組みを知っていただき、ご相談いただけたらと思います。
続いて博報堂生活者エクスペリエンスクリエイティブ局の茂呂譲治局長/エグゼクティブクリエイティブディレクターが登壇し、セッションの全体像と狙いを紹介しました。今回のカンファレンスにおけるそれぞれのセッションが、DXフルファネルにおけるマーケティング・セールス領域のどこに対応しどのような意味を持つものなのかを説明し、「GRIP&GROWTHはどのようなBtoB領域の個別課題~全体課題まで、統合的に答えることができるソリューションと体制になっています。BtoB領域におけるお悩みがありましたら、是非ご相談ください」と話しました。
―― 顧客発想ができる、フットワークが軽い専門家チームを作った
次に、博報堂生活者エクスペリエンスクリエイティブ局の池田善行クリエイティブストラテジスト、庄司健一郎ディレクター、アイレップの竹内哲也 執行役員ソリューションビジネスUnit Unit Manager 兼 セールスイネーブルメント室 室長の三人が登壇しました。
竹内:
我々三人で、それぞれのプログラムについての見どころをお話したいと思います。また、プログラム全体のGRIP&GROWTHというコンセプトについても、その意図をお伝えできたらと思います。まずは自己紹介をさせてください。
池田:
博報堂の池田です。GRIP&GROWTHでは統括ディレクターとクリエイティブストラテジストを担当しています。
庄司:
同じく博報堂の庄司と申します。GRIP&GROWTHではプロジェクトサブリーダーを務めています。主にクリエイティブ領域を担当しています。
竹内:
アイレップでソリューションビジネスUnitのUnit Managerと、セールスイネーブルメント室の室長を担っています。本日はよろしくお願いいたします。
GRIP&GROWTHは、「顧客とつながる」「顧客とともに成長する」という言葉を掲げています。これがそもそも何なのかをまずご説明いただけたらと思います。
池田:
「GRIP&GROWTH」というソリューションの名前にはそれぞれの単語に意味を込めています。まずGRIPは、BtoBのマーケティング、セールスのDXをやっていくときに、お客様とどうつながっていくか、顕在顧客だけでなく潜在するお客様を含めて、どのようにアプローチしていくか、ということを表しています。いわゆるリードジェネレーションに関する部分です。
そしてGROWTHは、お客様とつながった後、商品をご購入いただいた後に、どういうつながりを作っていくか、ということを表しています。ただマーケティングでつながるということではなく、お客様のビジネスをどう成長させていけるか、そこにどう貢献していけるかを考えます。この全体のアプローチを、GRIP&GROWTHでご支援する、という形になります。
竹内:
一般的には新規の顧客獲得がリードジェネレーション、獲得した顧客とどう接点を持ってどう育成していくのかがリードナーチャリング、その後にどう営業に渡すのかというフィールドセールスがあると思います。この三つを、GRIP&GROWTHというコンセプトにまとめたということですよね。
池田:
そうです。ナーチャリングやセールスといったそれぞれの分野では、かなりの専門性が必要になります。そのため博報堂を中心にグループ会社7社、パートナーの2社が関わり、GRIP&GROWTHの領域にチームワークで対応していきます。
それぞれの役割を簡単にご紹介すると、まず博報堂DYメディアパートナーズとDACは、マスメディアやビジネスメディア、デジタルアドなど博報堂DYグループのメディアを扱う役割を担っています。特に潜在顧客にどうアプローチするかというところに強みがあり、BtoBのビジネスメディアと新しいソリューションを作る、といったことが考えられます。
博報堂プロダクツ、アイレップ、タービン・インタラクティブの3社は、オウンドサイトを作り、どういったコンテンツを載せてリードを獲得し、ナーチャリングしていくかといった部分で中心になります。それぞれの会社の中にコンテンツやオウンドメディアを作る部隊があり、そういった面でのDXが得意です。
セレブリックスは営業代行やインサイドセールスの専門部隊です。セールスを科学的に分析するアプローチを蓄積しているユニークな会社で、最終的な営業の契約締結に対してご支援をいたします。ユナイテッドはBtoBビジネスで特に重要な営業・事業戦略に関するDXコンサルティングを担当します。
toBeマーケティングと才流には、今回パートナーとして加わっていただいてます。toBeマーケティングは営業支援ツールであるSalesforceを使ったリードジェネレーションやCRM(SFA)に強みを持つエージェンシーです。才流は「BtoBマーケティングのメソッドカンパニー」を自称されており、その通りBtoBマーケティングのコンサルティングに関するプロフェッショナルです。
このようにGRIP&GROWTHには様々なメンバーにご参加いただいておりまして、それぞれのセッションでは各社の専門家の方にご講演いただきます。
竹内:
GRIP&GROWTHは色々な企業が参加した大きな枠組みになっています。他では出せない特徴、価値があれば教えてください。
池田:
専門家が集まっても、それぞれ個別にソリューションを提供するようでは付加価値が生まれません。GRIPとGROWTHをうまくつなぎ、マーケティングを統合的に支援することが欠かせませんし、それを上手くできるのが博報堂の価値だと思います。重要なのは「顧客発想」で、お客様の課題にどう応えるか、どれだけ精度を高めるかということであり、そこにこだわるのが博報堂、GRIP&GROWTHの強みです。
竹内:
GRIP&GROWTHのサービス提供能力を見た時に、かなり広範囲を対象にしていると感じます。
池田:
BtoBのファネルをつなげていくことに悩んでいる企業の方は多いと思いますので、価値を感じていただけると考えています。一方で、これだけ沢山の会社がプロジェクトに関わっているので「体制が大きいのではないか、すぐに動いてくれないのではないか」と場合によっては不安を感じられるかもしれません。しかし我々としては、沢山の会社のロゴは入っていますが、実際に動くのは人と人のスペシャルチームであり、フットワーク軽く動いていきたいと思っております。ご依頼いただいたお客様の課題に向き合って、ソリューションをカスタマイズしていく考えです。
竹内:
池田さんは「戦略支援|マーケ&セールスを真に動かす『顧客発想の戦略術』」というセッションで、庄司さんは「戦略支援|顧客理解から『マーケティングの打ち手』を導き出す方法」というDAY1のセッションで講演されます。
そして、DAY2の4番目に「戦略支援|顧客起点でセールスとマーケティングを全体最適で推進するためには」と題して私が講演させていただきます。顧客起点でセールスとマーケティングを全体最適で推進するためには何が必要なのか、ということについてお話します。マーケティングから考えるのではなく、あくまでセールスの観点でどの部分をマーケティングに切り出していくのか、どの部分をデジタルでトランスフォームするのかといった部分を、ポイントを絞ってお話したいと思います。
DAY1、DAY2の各セッションの概略については、別レポートでご紹介予定です。
GRIP&GROWTHに関するお問い合わせはこちら。
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青木 雅人
株式会社博報堂DYホールディングス 執行役員
株式会社博報堂 執行役員
株式会社博報堂DYメディアパートナーズ 執行役員
1989年株式会社博報堂入社。生活者データベースの構築、社会テーマ・メディアに関する研究、マーケティング・テクノロジー開発を担当。博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センター室長、博報堂研究開発局長を経て、2020年4月博報堂DYホールディングス執行役員、博報堂執行役員。2021年4月より現職。
茂呂 譲治
博報堂 生活者エクスペリエンスクリエイティブ局 局長
エグゼクティブクリエイティブディレクター
2011年博報堂に中途入社。デジタル時代の企業変革から実装まで向き合うクリエイティブ組織を率い、自らも複数企業のパートナーとして多様な課題に向き合う。
社内プロジェクトでは、社内外複数企業と連携し、メディア、テクノロジーを中心としたソリューション開発や体制づくりも牽引。
池田 善行
博報堂 生活者エクスペリエンスクリエイティブ局
GRIP & GROWTH 統括ディレクター/プロジェクトリーダー
クリエイティブ・ストラテジスト
庄司 健一郎
博報堂 生活者エクスペリエンスクリエイティブ局
GRIP & GROWTH プロジェクトサブリーダー
UXディレクター
竹内 哲也
アイレップ ソリューションビジネスUnit Unit Manager/セールスイネーブルメント室長/執行役員
早稲田大学政経学部卒。大手SI会社、経営コンサルティングファームなどを経て、2014年にデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムに参画。2018年よりアイレップも兼務し、グループ全体の統合デジタルマーケティングを包括的に牽引。2019年度よりアイレップ専任執行役員。ソーシャルメディアマーケティング支援企業のシェアコト社外取締役も兼任。専門は事業開発。著書に『統合デジタルマーケティングの実践: 戦略立案からオペレーションまで』『デジタル時代の基礎知識『BtoBマーケティング』 「潜在リード」から効率的に売上をつくる新しいルール』がある。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。
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「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo ...