検索品質評価ガイドラインは目的や使われ方がイメージしにくいこともあり、よくわからないと感じている担当者も多いのではないでしょうか。本記事では、検索品質評価ガイドラインの位置づけや使われ方、SEO担当者が把握しておくべきポイントを解説します。
Googleが示す検索品質評価ガイドラインの位置づけ
検索品質評価ガイドラインとは、Googleが外部に委託している検索品質評価者が、検索結果の品質を評価するための指針をまとめたものです。検索品質評価テストとは、図1の「検索結果をテストする」の中に含まれます。
(図1:Google 検索の仕組み)
図1のようにGoogle 検索には、大きく4つのプロセスがあります。
情報を整理する
GoogleがWeb上の情報をクロールし、インデックスに登録して整理します。GoogleにインデックスされていないWebページは検索結果に表示されないので、Google 検索に表示させるにはインデックスされていることが重要です。GoogleのクローラーはGooglebotと呼ばれ、新しい情報を常にクロールしています。
参考URL:情報の整理 – Google 検索の仕組み
検索結果のランキングを決める
検索結果に有用な情報を表示できるよう、検索アルゴリズムがさまざまな要因やシグナルを考慮して自動でランキングを決めます。主に下記の要因がランキングに影響します。
・検索クエリの意味
・コンテンツの関連性
・コンテンツの質
・ウェブサイトのユーザビリティ
・コンテキストと検索ユーザーの設定(ユーザーの位置や言語、検索履歴など)
参考URL:ランキング結果 – Google 検索の仕組み
検索結果をテストする
検索結果が常にもっとも有用で関連性の高い情報を提供し続けられるよう、膨大な数のテストがおこなわれています(2021年のテスト実施回数は70万回以上)。このテストには、「ライブトラフィックテスト」「検索品質評価テスト」「検索結果の比較テスト」があり、そのうちの「検索品質評価テスト」で検索品質評価ガイドラインが使われています。
参考URL:厳格なテスト – Google 検索の仕組み
スパムを検出する
スパムサイトがユーザーに害を及ぼしたり間違った情報を与えたりすることがないように対策をしています。スパムを検出する自動システムが動いているほか、スパム対策チームも設置されており手動でもスパムサイトの排除がおこなわれています。
参考URL:スパムの検出 – Google 検索の仕組み
検索品質評価ガイドラインの使われ方
検索品質評価テストとは
検索品質評価テストは、Googleが外部に委託している検索品質評価者によりおこなわれます。検索品質評価者は世界中に多数いて、検索品質評価ガイドラインに沿ってコンテンツがユーザーの検索リクエストにどの程度合致しているかを継続的に評価しています。
(図2:検索品質評価テストにおける評価者の判定について)
検索品質評価ガイドラインの内容
検索品質評価ガイドラインには、評価項目に加えて、コンテンツの品質やYMYL(Your Money, Your Life)、E-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)の定義などが170ページ以上にわたって具体的に示されています。ページ数が多いので詳細を理解しようとすると時間がかかりますが、主要な評価項目は大きく分けて3点です。
1.ページクオリティ(Page Quality)
「評価対象のWebページが目的をどの程度達成しているか」が評価されます。通常、Webページはひとつ以上の目的があって作成されます(例:ニュースサイトのページであればニュースを表示する、商品販売ページであれば商品情報を表示して販売する)。この項目の評価では以下の要素が重要視されます。また、YMYLに該当する(人々の幸福、健康、経済的安定性、安全性に関わる)と定義されているトピックは評価基準が非常に高く設定されています。
・ページの目的
・E-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)
・メインコンテンツの品質と量
・Webサイトに関する情報/メインコンテンツの責任者に関する情報
・Webサイトの評判/メインコンテンツの責任者に関する評判
2.モバイルでの使いやすさ
「モバイル検索特有の状況にも対応できているか」が評価されます。モバイルで検索をする時は、デスクトップと比較してデータの入力が面倒、画面が小さい、モバイルでは使いにくいWebページがある、接続が遅いことがある、などの状況があります。また、その瞬間に結果を求めており、検索に多くの時間を費やせないモバイルユーザーのためにタスクを簡単にする必要があります。
3.ニーズとの一致(Needs Met)
「モバイル検索ユーザーのニーズに検索結果がどれだけ対応できているか」が評価されます。高評価を得るには、検索ユーザーのニーズに対応したWebページを公開することが重要です。この項目の評価はWebページだけでなく検索結果全体が対象で、以下の5段階で評価がおこなわれます。
評価 | 説明 |
FULLY MEETS(FULLYM) |
特定のクエリと結果にのみ適用される特別な評価カテゴリ。すべてまたはほとんどすべてのモバイルユーザーは、結果に即座に完全に満足し、ニーズを満たすために他の結果を表示する必要がない。 |
HIGHLY MEETS(HM) |
多くまたはほとんどのモバイルユーザーにとって非常に役立つ。一部のユーザーは、追加の結果を見たいと思うかもしれない。 |
MODERATELY MEETS(MM) |
多くのユーザーに役立つ、または一部のモバイルユーザーに非常に役立つ。一部または多くのユーザーは、追加の結果を見たいと思うかもしれない。 |
SLIGHTLY MEETS(SM) |
少数のモバイルユーザーに役立つ。検索クエリと検索結果に関連性はあるものの、強力で満足のいく関連性ではない。多くまたはほとんどのユーザーは、追加の結果を見たいと思う。 |
FAILS TO MEET(FAILSM) |
モバイルユーザーのニーズを完全に満たすことができない。すべてまたはほとんどすべてのユーザーが、追加の結果を見たいと思う。 |
テスト結果の使われ方
検索品質評価テストの結果は、直接検索結果のランキングに影響することはありません。評価結果はGoogleにより集計され、検索アルゴリズムの中でそれぞれのシステムがどの程度機能しているかを測定するために使われます。
Googleの発表によると、2021年には757,583件の検索品質評価テストがおこなわれたそうです。他の種類のテスト回数も合計すると70万回を超え、この結果から4,366件の改善がリリースされています。
検索品質評価ガイドライン、SEO担当者はどの程度知っておけばよい?
前述のとおり、検索品質評価ガイドラインは検索品質をテストするための指針であり、Googleが企業のSEO担当者向けに作成しているものではありません。SEOを専門とするコンサルタントや基本的な施策をやりきっているようなSEO担当者は、熟読することでGoogleが目指す検索結果を推測できるため有用ですが、そうでない限りはガイドラインの位置づけと役割、ご紹介した3点の評価項目を知っておく程度で十分と思われます。また、検索品質評価ガイドラインは不定期に内容が少しずつ更新されますが、その都度内容を細かく把握する必要性もほとんどありません。
GoogleはSEO担当者向けにSEO スターターガイドも公開しており、この中で検索エンジンが評価しようとしているコンテンツのポイントを解説しています。まずはこちらで基本的な考え方を把握したうえで、自社のWebサイトをより良くするために時間を使うことをおすすめします。
参考URL:SEO スターター ガイド: 基本 | Google 検索セントラル | Google Developers
まとめ
検索品質評価ガイドラインには検索結果の評価に関する詳細な情報が記されていますが、あくまでも評価者向けの情報であり、Webサイト改善のための直接的なアドバイスは載っていません。一方で、ガイドラインで示されている評価項目自体は、Webサイト運営でも重要です。一般のSEO担当者であればガイドラインの完全な理解は必要ないかもしれませんが、評価項目(ページクオリティ、モバイルでの使いやすさ、ニーズとの一致)やYMYL、E-E-A-Tといった概念は理解して、Webサイトを運営いただくことを推奨します。
前回更新:2021.11.18
▼関連資料
この記事の著者
増渕 佑美
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタントとして従事。ソリューション部署に所属。通販や人材などデータベース型サイトを中心に経験を積んでおり、現在はメディアサイトのSEOも担当し幅を広げている。
好きなこと:散歩、パズル、動物の動画をみること
2014年に株式会社アイレップに入社し、SEOコンサルタント...