若年層へのマーケティングを考えるうえで外せない「Z世代」という存在。若年層の心を掴むため、アイレップでもZ世代社員を中心としたプロジェクトチームを構成しました。今回は、アイレップZ世代社員のファッションの消費行動に関するアンケートの結果と、3名のリアルなカスタマージャーニーを公開します。また、それらをもとにコスメ領域におけるZ世代マーケティングのおさえておくべきポイントをご紹介します。
Z世代とは
Z世代とは、1996年以降に生まれた世代を指しています。彼らは子供の頃からデジタル機器を使用することが当たり前の環境で過ごしており、デジタルネイティブと言われています。また、Z世代の中で一番上の世代である1996年生まれは中学生の頃からソーシャルメディアを使い始めており、彼らの生活にはさまざまなSNSが浸透しています。ITリテラシーが高く、オンラインでのコミュニケーションが当たり前となっている彼らは、これまでの世代とはまったく違う存在です。これから消費市場の中心となるZ世代を新しい顧客として開拓していくために、彼らの価値観や行動について知っておくべきでしょう。
参照元:Criteo 2018年8月14日「ミレニアル世代 vs Z世代:押さえておくべき4つの違いと特徴」
アイレップZ世代社員のコスメに関する消費行動のアンケート結果
アイレップのZ世代社員100名を対象に、コスメの購買行動に関するアンケートを取りました。
アンケート結果からわかったポイントは以下のとおりです。
- Z世代社員が参考にしているSNSはInstagramが55%と最も高く、次いでYouTubeが47%という結果となった。
- 1度のショッピングで使う金額は5,000円未満が77%を占める。等身大の予算内でなるべくコスパが良いものを求め、高価なものは購入しない傾向にある。
- SNSでの話題や口コミを重視する人は87%。また、話題になった商品を購入したことがある人は71%と、SNSでの話題はZ世代にとって影響の高いものといえる。
- ECサイトより実店舗を利用する人の方が多い。どちらも同じくらいと回答した人と合わせると79%が実店舗を利用している。
- ブランドのネームバリューよりも、肌との相性や使用感を重視する傾向にある。
結果詳細は以下のようになりました。
1.コスメ・スキンケア商品を購入する際、参考にしているSNSはどれですか。(複数回答可)
(図1:コスメ・スキンケア商品購入の際に参考にしているSNS)
2.コスメ・スキンケア商品を購入する際、参考にしているインフルエンサーはいますか。
(図2:コスメ・スキンケア商品を購入する際に参考にしているインフルエンサーの有無)
3.コスメ・スキンケア商品を購入する際、参考にしているアプリはありますか。
(図3:コスメ・スキンケア商品を購入する際に参考にしているアプリの有無)
4.コスメ・スキンケア商品を購入する際、一度にいくら使いますか。
(図4:コスメ・スキンケア商品を購入する際に、一度に使う金額帯)
5.コスメ・スキンケア商品を購入する際、ブランドのネームバリューを重視しますか。
(図5:コスメ・スキンケア商品を購入する際にブランドのネームバリューを重視するか否か)
6.コスメ・スキンケア商品を購入する際、SNSでの話題や口コミを参考にしますか?
(図6:コスメ・スキンケア商品を購入する際にSNSでの話題や口コミを参考にするか否か)
7.SNSで話題になったコスメ・スキンケア商品を購入したことがありますか。
(図7:コスメ・スキンケア商品を購入する際にSNSで話題になった商品を購入したことがあるか否か)
8.コスメ・スキンケア商品を購入する際、どちらをよく利用しますか。
(図8:コスメ・スキンケア商品を購入する際に利用する場所)
9.コスメ・スキンケア商品を購入する際、重視しているポイントがあればご記入ください。
(図9:コスメ・スキンケア商品を購入する際に重視するポイント)
Z世代社員のリアルなカスタマージャーニー
3名のアイレップZ世代社員に最近購入したコスメ・スキンケア商品の購入までの経緯についてインタビューし、カスタマージャーニーを作成しました。そして特徴的な行動について、理由を尋ねました。
(1)渡邊さん(以下、渡邊)
性別:女性
休日にしていること:イラスト、カメラ、漫画
よく使うSNS:Twitter
(2)西川さん(以下、西川)
性別:男性
休日にしていること:バレーボール、アニメ・漫画
よく使うSNS:LINE、Instagram
(3)冨家さん(以下、冨家)
性別:女性
休日にしていること:睡眠、ドラマ鑑賞、ドライブ、写真撮影、ショッピング
よく使うSNS:LINE、Instagram、TikTok
(1)渡邊さんの場合(アイシャドウを購入するまでのカスタマージャーニー)
(図10:渡邊さんのカスタマージャーニー)
筆者:
渡邊さんは一度店舗でテスターされていましたが、1回目の時に購入しなかった理由はなんでしょうか?
渡邊:
見ていた商品は色の種類がたくさんあり、試すほどどれが自分に合うのか分からなくなったからです。購入意向は高かったのですが、他のブランドのアイシャドウもたくさんあったので、その時に即決まではいきませんでした。
筆者:
結構保守的に買い物されるのですね。ちなみに、2回目のお店では購入に至ったようですが、やはり決め手は店員さんによるアドバイスでしょうか?
渡邊:
そうですね。実際に店員さんのメイクがとても上手く、自分に似合う色を勧めてくれました。そして何より、似合わないものは似合わない、とはっきり伝えてくれたことが信頼につながりました。信頼できる人に勧められたら買っちゃいますね。
▼特徴 |
(2)西川さんの場合(BBクリームを購入するまでのカスタマージャーニー)
(図11:西川さんのカスタマージャーニー)
筆者:
BBクリームを購入するきっかけは何でしたか?
西川:
学生時代にモデルの仕事をしていた時に、メイクさんに「ベースメイクだけしてきて」と言われて、そこからベースメイクとは何かから調べ始めました。
メンズコスメの情報はインターネット上にはあまりないので、調べるのは結構苦労しましたね。
筆者:
基本的に西川さんはモノを購入する際、たくさん調べてから購入するタイプのように感じました。結構、口コミの影響は高いのでしょうか?
西川:
そうですね。購入のフックとしてテスターも重要ですが、それよりも口コミの方がインパクトは大きいです。実際、試す前に「これを買おう」とすでに自分の中では固まっていました。
筆者:
ちなみに、SNSをあまり見なかったのはなぜですか?
西川:
服やレストランはSNSを使うことが多いですが、メンズコスメはリアルな声があまりなさそうだな、と思いほとんど使いませんでした。主に口コミやランキングを見て、最後ちょっとだけTwitterで商品検索して見てみたくらいです。
▼特徴 |
(3)冨家さんの場合(クレンジングを購入するまでのカスタマージャーニー)
(図12:冨家さんのカスタマージャーニー)
筆者:
普段からよくSNSをメインにコスメの情報収集をしていますか?
冨家:
そうですね、Instagramが多いです。自発的にこんなコスメを調べてみたい、と思って情報収集することもありますが、おすすめに出てきて触れることも多いです。
コスメ特集のアカウントや、同年代のインフルエンサーの投稿を見て情報収集します。
筆者:
やっぱりSNSで話題になっている商品は試してみたくなりますか?
冨家:
興味は持ちます。やはり複数のSNSで話題になっていれば信頼も上がるので。ただ、あくまで興味関心や好意度アップなので、SNSの情報だけで直接購入まではいかないです。
筆者:
それでは、冨家さんにとって何が購入の決め手となりますか?
冨家:
利用ユーザーからの評価は結構重視しているポイントです。時には低評価から見ることもあります。もちろん高評価のコメントも見ますが、どれだけ自分がその低評価を許せるかどうかによって買うかどうか決めますね。ちなみに、実際に使ってみていいなと思った商品はリピートしてまとめ買いしちゃいます。
▼特徴 |
コスメ領域におけるZ世代マーケティングのポイント
今回実施したアンケートとインタビューから見えた、コスメ領域におけるZ世代マーケティングの3つのポイントをご紹介します。
(1)デジタル施策だけではなく、店頭コミュニケーションも欠かせない
ファッション編でのアンケートと同じように、コスメの場合でも購入は店舗利用をする人が多いことがわかります。SNSを用いたデジタルコミュニケーションだけでなく、店舗でのコミュニケーションも購入の後押しに大きな影響を与えるといえます。
(2)複数のSNSでの接触が信頼度を増加させる
InstagramやTwitter、TikTokなど、Z世代が接触するSNSにおいて、特定のSNSだけではなく複数のSNSを利用してコミュニケーションを図ることがポイントです。それにより、商品の信頼度や説得性が高まると考えられます。
(3)SNSでの話題化が購入につながることもある
アンケート結果からも分かる通り、SNSで話題になった商品が購入される割合は高いといえます。この場合、いいポイントだけでなく人それぞれで感じるマイナスポイントがあったとしても、むしろその商品への信頼度が高まり、印象が良くなる可能性があります。
まとめ
ここまで、Z世代のコスメの購買行動の特徴と、マーケティングのポイントについてご紹介しました。SNSや口コミで話題になった商品に対しては興味関心・好意度が高まり、実際に購入する傾向があるという結果が出ました。SNSでの戦略的なコミュニケーションをおこない、消費者の信頼度向上に向けた関係作りが大切です。
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この記事の著者
森本 千恵
プランナーとしてインタラクティブデザイン部門に配属後、旅行、IT、不動産、ファッションなど、業界問わず案件を担当。
Web動画広告やOOH広告、SNSキャンペーン施策など、あらゆるプランニングに従事。
▼趣味
趣味はランニング。国内外問わずフルマラソン走ってます。
休日はひたすら韓国ドラマを見て過ごしています。
プランナーとしてインタラクティブデザイン部門に配属後、旅行、...