昨今、社内に散らばったマーケティングデータを活用するために、DWHなどにデータを統合する企業が増えてきています。しかし、データ統合というものはただ統合すればそれだけでビジネス的価値が生まれるものではありません。そこで本記事ではビジネス的価値を生み出すデータ統合を行うために留意するべき事項についてご紹介します。
1.データ活用ブームの到来
“データドリブンマーケティング”といった用語が広く使われるようになってから時が経ち、さまざまな企業がデータ活用に向けた動きをとっています。実際に当社においても、クライアント企業から自社のデータ統合やデータ分析のコンサルティングといった内容の問い合わせをいただく機会が増えています。この状況を鑑みると、本当の意味でデータ活用ブームが来ているのは今だと言えるかもしれません。
しかし、そのようななかで多くのクライアント企業から相談いただく内容が「データを統合することは決まっているものの、統合した先の活用方法が決まっていない」というものです。つまり、データを統合すること自体が目的になってしまっているのです。本来、データドリブンマーケティングというのは現状のマーケティング課題をデータによって解決するものであるはずが、課題が特定されていないなかでデータ統合の話だけが先走ってしまっている、という問題を多くの企業が抱えています。
2.データを統合する意義
ここで、改めてデータを統合する意義を概念的な観点からおさらいしていきましょう。まず、多くの企業でさまざまなマーケティングデータを蓄積しているものの、データが散在してしまっていることが多くあります。この状態では、顧客の行動を十分に捉えることができません。
最も多いケースは、Google アナリティクスなどのアクセス解析ツールで取得できるオンラインデータと、POSシステムなどに蓄積されるオフラインデータが分断されているケースです。顧客の行動はオフラインのみ、またはオフラインのみで完結するとは限りません。例えば、Webサイトで自分が望む商品を探すものの、実際に店舗に行って肌触りや使い心地を確かめてから購入する、という場合があります。このように、本当の意味で顧客を理解したうえで最適なコミュニケーションを図るためには、オンラインデータとオフラインデータのどちらか片方だけでは情報が不十分です。
(図1:デジタルマーケティングにおいてよくある課題)
その問題を解決するのが、BigQueryやTreasure DataをはじめとしたCDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)などにデータを統合するというアプローチです。分断されていたデータを1か所に統合することで、本当の意味での顧客理解、その理解をもとに立案した最適なコミュニケーション施策が可能になります。このように、より高度なマーケティングをおこなうことが可能になるというのが、概念的な観点でのデータを統合する意義になります。
(図2.分断されたデータを統合してマーケティングへ活用)
3.活用イメージを具体化することの重要性
概念的にはデータを統合する意義はそれでも良いのですが、実際にデータ統合をプロジェクト化する段階になると不十分です。より具体的に統合の先にどんなことをしたいのか?を決めていく必要があります。ここを明確にしなければ、どんなデータをどこにどんな方法で統合していくべきかの方向性が定まらず、プロジェクトの進行が遅延してしまったり、無理やり統合したとしても実際の活用が進まなかったりと、ビジネス的価値を生むことができない事態に陥ってしまいます。
データ統合をはじめとするデータ基盤整備のプロジェクトにかかる費用は決して安いものではないため、それをどう活用してビジネス的価値を生み出すかを予め具体的に考えるべきです。もちろん、データを統合した後にこんな活用もできるのではないか?といったディスカッションを重ね、活用の幅を広げていくこともあります。しかし、なるべく早くビジネス的価値を生みデータ統合に対する投資を確実に回収するためにも、まずはこれをやろう、という活用方法をあらかじめ決めておくことが重要です。
例えば、オンラインデータとオフラインデータを統合した後に検証したい仮説をあらかじめ定めたうえで、まずは顧客理解のための分析から入るパターンや、より実施策への活用する場合にRFM分析により顧客セグメントを作成したうえで、各セグメントへの広告配信をおこなうパターンなどがあります。こうした具体的な活用イメージを事前に定めておくことで、プロジェクトの進行がスムーズになり、その結果、より早くデータによる価値を生み出すことができます。
(図3.データを統合した後のアクションを明確にしておく)
4.まとめ
ここまで、データ統合の際には目的や具体的な活用イメージを事前に定めておくことが重要であることを解説しましたが、自社のリソースだけではなかなか難しいこともあるかと思います。その際はぜひアイレップのソリューションをご検討ください。アイレップは、データ統合をするにあたり目的設定から実際の導入、及びその後のデータ活用までを一気通貫でソリューションとして提供しています。データ統合に関してご関心がある方は、お気軽にお問い合わせください。最後に、当社がデータ統合を検討している企業向けに紹介しているBigQueryソリューションの資料がございますので、そちらもダウンロードしてみてください。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。
当社がこれまでに得たデータや経験から、具体的事例・将来展望・業界の最新注目ニュースなどについて情報を発信しています。ニュースやコラムだけでなく、日常業務や将来のマーケティング施策を考えるときに役立つダウンロード資料や、動画で学べるウェビナーコンテンツも随時追加していきます。
デジタルマーケティングの最新情報や知見を得るための信頼できる情報源の1つとしてお役立てください。
「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo ...
関連動画
関連記事
Google Chromeが3rd Party Cookie廃止を撤回。広告業界は「クッキーレス」にどう向き合うか
2024.08.01
#マーケティング
#データ分析
#Cookieレス
#サードパーティーCookie
#AudienceOne🄬
#LiveRamp