CRMデータ活用事例紹介 -RFM分析・LTV分析を通して自社の顧客理解深め、引き上げ対象を選定し、戦略的に施策を実施する-

2021.01.15

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自社にとって最適なマーケティング施策とはどのようなものでしょうか。消費者ニーズが多様化するなか、経験や直感に頼った施策で成果を出し続けることは難しくなってきています。本記事では、CRMデータを活用・分析することで課題を見つけ出し、それに合わせた戦略や施策の展開について事例とともにご紹介します。

事例紹介:製菓メーカー

クライアント企業の事業概要

洋菓子を製造・販売している製菓メーカー。直営店は地方のみで、自社のECサイトや大手通販サイトを通して全国から購入可能です。ECサイト利用の際は会員登録が必須となっているため、購買者の顧客データ・購買データを保持しています。

クライアント企業が抱えていた課題

自社のECサイトの優良顧客化をどう進めていくかを悩んでおり、施策案を模索している状況でした。購買回数の引き上げという課題を持っているものの、どういったアプローチが最適なのか分からない状況であったため、納得感のあるプロセスを重要視されていました。また、購買者の顧客データは保持していましたが、社内でデータ利活用が浸透していなかったため、顧客分析はなかなかできていない状況でした。

課題解決の方法と実施のステップ

もともとは施策の提案が欲しいというご依頼でしたが、まずは自社で保持しているCRMデータを分析し、現状を把握したうえでターゲットを明確化し、対象者に最適な施策の実施ができるようご提案しました。以降は、実際に実施したステップをご紹介します(図1)。

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(図1:施策立案までのステップ)

 

RFM分析の実施

(1)顧客構造の把握

はじめに、最終購入日(Recency)、購入回数(Frequency)、購入金額(Monetary)の3つの軸を用いるRFM分析を実施しました。クライアント企業の顧客の特性やボリュームを踏まえ、既存顧客を優良顧客・一般顧客・育成顧客の3つに分類しました。特に、年間購入回数が1回である顧客が全体の7割存在していることが分かったため、年間購入回数の引き上げを優先事項とし、一般顧客として分類しました(図2)。

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(図2:本事例で定義した顧客構造)

(2)優良顧客の理解

RFM分析で分類した各顧客ランクの属性情報、購入頻度や推移、購入金額、商品の傾向を分析し、ペルソナ像を可視化しました。優良顧客は、一購買のあたりの品目数・数量が一般顧客・育成顧客よりも多く、それに伴い金額も高くなっていることが分かりました。また、一般顧客が年に一度の購買であるのに対し、優良顧客は約4ヶ月に一度のペースで定期的に購入しており、季節商品や期間限定の商品を購入している傾向が見られました(図3)。

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(図3:優良顧客像サマリ)

次に、ひとりひとりの顧客に対して、「アクティブ期間×購入回数×購入単価」でLTV(ライフタイムバリュー)を算出することで、各顧客ランクの中で高LTVの顧客を発見しました。優良顧客の中でも特にLTVが高く、自社のECサイトのファンとなっている層を「最優良顧客」、一般顧客の中でもLTVが高めで、購入回数の増加により優良顧客になり得る層を「高LTV一般顧客」と定義しました(図4)。

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(図4:LTV分析実施よって細分化した顧客構造)

さらに、アクティブ期間、2回目購買のタイミング、併売上位の商品などを各顧客層と比較したのちに、自社の既存顧客の各ランクを一段階引き上げるための顧客へのアプローチのタイミングや手段を検討しました。2回目の購買タイミングについては、優良顧客は初回購買日から6~8週後に購入する割合が高いことから、そのタイミングでリピート施策を実施することが有用であると推察しました。

(3)ターゲット選定と施策の立案

下記の5ステップに則り、上述の分析結果を施策の立案に繋げていきました(図5)。

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(図5:施策立案におけるステップ)

 

1.対象ターゲットの明確化
RFM・LTV分析の結果をもとに、顧客ボリュームやビジネスインパクトの出やすさを加味したうえで、引き上げの対象ターゲットを明確化しました。今回は、下記2つをターゲットとしました。
(1)高LTV一般顧客(購入頻度・購入単価向上により優良顧客への引き上げを狙う)
(2)優良顧客(ロイヤリティ向上により最優良顧客への引き上げを狙う)

2.市場分析&競合分析
対象となる市場と競合について調査することで、対象ターゲットに対して打ち手が有効な市場セグメントと競合の取り組み状況を把握しました。

3.施策の方向性&KPI設計
対象ターゲットと市場分析・競合分析で明らかになった参入していくべき市場をもとに、施策の方向性をまとめました(図6)。また、数年後の売上目標(KGI)に対して、客数及び客単価をどの程度引き上げる必要があるか整理しました。

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(図6:購入頻度・購入単価向上のための施策検討の切り口)

 

4.施策案の詳細化
対象ターゲットと市場において、施策案を詳細化しました。システム連動型(ツールの導入)、商品/サービス変更型(商品/パッケージの開発等)、制度新設型(ポイントプログラムの新設等)の大きく3つの観点から施策を検討したうえで、短期的にすぐに実施できるものと中長期的に実施するものをそれぞれご提案しました。

(1)高LTV一般顧客に対する施策案
購入頻度向上:MAの導入、メルマガのシナリオ配信、SNSの運用改善により、ひとりひとりの顧客に対して適切なタイミングでアプローチを実施

単価向上:自社のプレミアム感を演出する商品やパッケージを開発

(2)優良顧客の更なるファン化
ロイヤリティ向上:サブスクリプションサービスやロイヤリティプログラムを構築

5.売上シミュレーション
各施策を実施した際の投資コストと売上高、引き上げ率を算出したうえで、売上貢献価値があるものなのかを検討していただきました。

まとめ

本記事では、CRMデータを用いて顧客理解を深めたうえで、戦略的に施策を立案した事例をご紹介しました。マーケティングの手法はいくつかありますが、まずは自社の顧客の購買状況や課題を把握したうえで、適切なタイミング・手法でアプローチすることが大切です。

当社では、データを用いた顧客理解から施策の立案・実施、その後の効果検証まで一貫して支援しています。「自社の顧客へのマーケティング施策の効果を改善したい」「自社の顧客理解をもっと深めたい」というご担当者がいらっしゃいましたらぜひアイレップまでご相談ください。

<DL資料>ダッシュボードテンプレート(Google データポータル)

この記事の著者

DIGIFUL編集部

「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。

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