【第2回】Search Ads 360活用講座 ファーストパーティーデータを活用した最先端の入札最適化 ~数式列機能を活用した成果改善事例の紹介~
第1回はSearch Ads 360の自動入札ツールとしての特徴と活用事例をご紹介しました。
Search Ads 360 活用講座 第1回 リスティング広告アカウントの一元管理を実現!自動入札活用による成果改善事例のご紹介
第2回にあたる今回は、Search Ads 360独自のコンバージョンタグ「Floodlight タグ」と、Floodlight タグにより実現される独自機能「数式列」について、活用事例も交えてご紹介します。数式列機能を活用することで、広告成果のモニタリング・レポーティング作業の効率化、さらに、ファーストパーティーデータとSearch Ads 360の機械学習を活用することで、クライアント企業の事業目標に沿った広告運用が実現します。
(1) Floodlight タグとは?
Search Ads 360で高度な入札最適化を実現するために欠かすことのできない“Floodlight タグ”について紹介します。
前回、Search Ads 360自動入札のポイントとして以下の2点に触れましたが、これらもFloodlight タグ(およびFloodlight アクティビティ)の実装によって実現します。
- ポイント(1):Google 広告とYahoo!広告を横断した入札
- ポイント(2):重複コンバージョンの排除
しかし、Floodlight タグの機能はこれだけではありません。
- ポイント(3):カウント方法のカスタマイズ
Floodlight タグでは、Webサイト上で発生したコンバージョンを「カウンタ アクティビティ」と「セールス アクティビティ」の2種類でカウントできます。図1のように、「カウンタ アクティビティ」と「セールス アクティビティ」それぞれに複数の定義方法があり、任意の方法でコンバージョンをカウントすることが可能です。
(図1:Floodlight コンバージョンのカウント方法)
- ポイント(4):カスタムFloodlightタグ変数
Floodlight タグはカウント方法のカスタマイズだけでなく、一般的なタグの標準パラメータで収集できる基本情報(訪問数や収益)以外の情報を取得することも可能です。
Floodlight タグで基本情報以外の情報を取得するためには、カスタムFloodlight タグ変数を設定する必要があります。タグ内にカスタム変数を設定することで、たとえば、ユーザーが購入した商品のジャンルやユーザーに割り当てた顧客バリューなど、Floodlight タグが記録する各コンバージョンに関する任意の値を取得することが可能になります。
カスタムFloodlight タグ変数で取得したデータから、顧客価値の高いコンバージョンのウェイトを大きくし、顧客価値の低いコンバージョンのウェイトを小さく評価する入札戦略を作成することで、任意のコンバージョンに焦点を当てて入札戦略を作成、広告配信が可能になります。この入札戦略作成に用いられる機能が“数式列機能”です。
(図2:一般的なタグとカスタムFloodlight タグ変数の比較)
(2) Search Ads 360の独自機能“数式列”とは
数式列機能とはSearch Ads 360の独自機能で、指定した数式でデータを計算したカスタマイズ項目を生成する機能です。数式列機能を活用することにより、レポーティングの際に独自の計算を適用する必要がある場合でも、レポートダウンロード後のファイルでデータ加工をする必要がなくなります。また、Search Ads 360管理画面で直接数式列を作成、数値を確認することができます。
(図3:Search Ads 360管理画面の数式列作成画面)
前段でも少し紹介しましたが、数式列に沿って最適化をおこなう入札戦略を作成することも可能です。Search Ads 360独自の数式列機能によって媒体入札ではできない高度な入札戦略が実現します。
機械学習を用いた新たな入札戦略”Smart Bidding”
Search Ads 360の数式列機能を活用して、獲得件数を追いつつ意図するコンバージョンに重み付けし、獲得を寄せていく新たな広告運用を”Smart Bidding”と呼びます。同じくGoogle マーケティングプラットフォームの広告配信プラットフォームであるディスプレイ&ビデオ 360のカスタム入札機能を活用することで、コンバージョンに紐づくインプレッションに疑似的に重み付けをおこない、ディスプレイ広告でも価値が高いコンバージョンをより多く獲得できるように調整することが可能になります。
Smart Biddingはクライアント企業のサービス・商品が複数ある場合や、利用期間によってコンバージョン1件の価値が異なるビジネスモデルにおいて、顧客価値の高いコンバージョンを獲得できていないという課題を解決し、よりクライアント企業の事業目標に沿った広告運用を実現します。
例えば、クライアント企業のビジネスモデルが新規ユーザー・既存ユーザーそれぞれの購入をコンバージョンポイントとし、その中でも新規を増やしたいという事業目標を置く場合、一般的な目標CPA入札では新規・既存それぞれのコンバージョンを等しく扱うため、それぞれのコンバージョンの価値は同一となり新規を増やす広告運用は困難となります。
また、一般的な目標ROAS入札では広告費用対効果を最大化する中でコンバージョン価値の重み付けをおこないます。これは、あくまで広告費用対効果を重要視する運用手法であってコンバージョン件数を最大化する目的ではないため、全体のコンバージョン件数が減少してしまう可能性や既存の獲得に寄ってしまう可能性があります。一方、Smart Biddingではコンバージョン数の最大化を目的とし、その中でも新規ユーザーの獲得を増やす運用が可能となります。
(図4:Search Ads 360数式列機能活用イメージ)
次に、カスタムFloodlight タグ変数を使った数式列機能の活用方法以外の活用パターンをご紹介します。
サブ目標(マイクロコンバージョン)を数式列で重み付け
広告予算が少額の場合や、商品が高額で一生に一度の買い物など、ユーザーが情報収集や検討する時間が必要となり、慎重に行動する場合、コンバージョンが月に数件しか取れない場合があります。
この解決策としてマイクロコンバージョンを設定し、最終コンバージョンに至るまでの中間地点もコンバージョンポイントと定義してデータ量を補うことが可能です。しかし、媒体入札では最終コンバージョンとマイクロコンバージョンそれぞれを等しく扱い、同一の価値として評価するために、最終コンバージョンは増えない一方でマイクロコンバージョンばかり増えていったという経験はないでしょうか?
Search Ads 360の数式列機能を活用すれば、核となる最終コンバージョン重視し、マイクロコンバージョン件数も加味した入札最適化が可能です。たとえば、ユーザーが広告をクリックしてからの導線が、(1) Webサイト来訪、(2) カート追加、(3) 購入完了(最終コンバージョン)と遷移する場合、数式列で(1) Webサイト来訪×0.1+(2) カート追加×0.5+(3) 購入完了×1.0のような重み付けをすることが可能です。したがって、入札戦略に含むオブジェクトを増やし、機械学習に使用するデータを最大化しつつ、(3) 購入完了に焦点を当てた広告配信を実現することができます。
Google アナリティクス指標を数式列で重み付け
Search Ads 360とGoogle アナリティクスプロパティを連携することで、Google アナリティクスデータをSearch Ads 360で重み付けし、入札ソースとして活用することも可能です。
Google 広告でもGoogle アナリティクスコンバージョンを入札ソースとして活用することは可能ですが、Search Ads 360ではWebサイト滞在時間などの指標も入札ソースに加味することができます。
例えば、Google アナリティクス指標から、(1) 初期段階の流入価値×0.01+(2) サイトに 10 分以上滞在×0.05+(3) 5ページ以上訪問×0.1+(4) 応募完了×1.0 のような重み付けした数式列を作成することが可能です。媒体入札では加味できないデータを入札シグナルとして活用できるというメリットがあります。
(3) Search Ads 360数式列機能活用による成果改善事例のご紹介
Search Ads 360を導入し、カスタムFloodlight タグ変数で取得したデータを数式列で重みづけ配信を実施した人材業界の事例を紹介します。
(図5:人材業界Search Ads 360数式列機能活用事例)
カスタムFloodlight タグ変数を設定することで、注力したいエリア・雇用形態・職種等のファーストパーティーデータを取得し、Search Ads 360の数式列でエリアごとに重み付けを実施しました。結果、狙い通り強化エリアの獲得件数は増加しました。
また、Search Ads 360の導入によって分断されていたGoogle 広告・Yahoo!広告のキャンペーン同士の一元管理、媒体を横断した自動入札戦略の最適化が実現したことで、コンバージョン数が増加、CPAが改善しています。
(4) まとめ
今回はSearch Ads 360独自のコンバージョンタグ「Floodlight タグ」とSearch Ads 360独自機能「数式列」について紹介しました。Search Ads 360の数式列機能を活用してみたいという方がいらっしゃいましたらアイレップまでご相談ください。
次回以降も、Search Ads 360のその他機能の詳細を解説していきます。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。
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