Facebookショップ(Instagramショップ)で、SNSで新しい購買体験を創出する

2020.07.22

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米Facebookは2020年5月20日(現地時間)に、FacebookとInstagram上に簡単かつ無料でオンラインストアを開設できる「Facebook Shops」の提供を発表し、日本では、2020年6月16日に「Facebookショップ」という名称でサービス展開を発表しました。このFacebookショップの概要と、今後導入予定のプロダクトも含めた活用方法について解説します。

「Facebookショップ」とは?

Facebookショップはカスタマイズ可能なオンラインショップを無料で作成することができ、Facebookが提供するさまざまなアプリで公開ができる機能です。企業は自社のカタログからおすすめの商品を選んでコレクションを作成したり、画面の色を変更してショップの雰囲気をブランドイメージに合わせて表現したりすることができます。そのため、小規模事業者にとっても簡単にEC事業を始めることが可能です。

なお、日本でローンチされたFacebookショップは、米国でリリースされたFacebook Shopsと異なり、決済機能は持っておりません(2020年7月12日時点)。アプリ内で商品購入は完了せず、利用者は商品詳細ページまで移動した後は、アプリ外のWebページに遷移し商品を購入する流れとなっています。

Facebookは、単に商品を購入するという作業だけでなく、ショッピングの楽しさを体験できる場を提供したい意向です。新型コロナウイルスの影響において多くのビジネスが困難に直面しており、オンラインへシフトしようとする企業がスムーズにEC環境に適応できるとともに、利用者にとっても、お気に入りのアイテムを見つけ購入することができるような環境を構築しようとしています。例えば、Facebookショップでは、実店舗で店員に声をかけるのと同様の体験ができるように、Facebook MessengerやInstagram DMのメッセージ機能を活用して、ダイレクトに質問をすることが可能です。

すでにFacebookページやInstagramのショッピング機能を利用しているアカウントは自動的にショップへ移行することができます。メールやアプリ内の通知を受け取り次第、コマースマネージャを活用して、ショップの外観をカスタマイズしたり、商品を整理してコレクションを作成したりできるようになります。また、これからショップを開設したいアカウントは、下記に記載した複数の条件を満たしたうえでFacebookによる審査に承認されれば、無料でショップを作成することができます。

Facebookでショップを設定する場合の要件
・既存の「Facebookページショップ」にリンクされたページの管理者である
・ビジネスマネージャの管理者である
・Facebookページとカタログを同じビジネスマネージャアカウントで管理している

Instagramでショップを設定する場合の要件
・InstagramビジネスプロフィールにリンクされたFacebookページの管理者である
・InstagramビジネスプロフィールとFacebookページを管理しているビジネスマネージャの管理者である

今後導入予定のサービス(機能)として、「Instagramショップ」や「ライブショッピング機能」を発表しています。

「Instagramショップ」は、Instagramのナビゲーションバーに独立してショッピングタブが設置でき、利用者はアカウントを横断してコスメやインテリアなどカテゴリ別にアイテムを探したり、購入したりする体験が可能になります。

また、「ライブショッピング機能」では、ライブ配信前に動画に商品をタグ付けすることでライブ配信中にコメントタブ上部に商品を表示することが可能になります。今まではインスタライブ視聴中におすすめされた商品がいいなと思っても、インスタライブが終わってから商品ページへ遷移してから同じ商品を探したり、場合によっては一度Instagramを閉じて別のプラットフォームで検索し直したりしていたかと思います。今後、ライブショッピング機能が実現されることで、利用者の衝動的な消費行動に対しても、商品購入までシームレスに対応することが可能になります。

「Facebookショップ」の活用方法

新型コロナウイルスの影響で利用者の購買行動にも変化が見られ、今まで店舗で買っていたものをオンラインで購入する機会が増えています。また、企業側の取り組みとしても、インスタライブで商品紹介を行うアカウントは、新型コロナウイルス感染症が発生する前後で50%増加したとFacebookから発表されています(※1)。
※1:参照元 Facebook Newsroom 2020年4月20日『Instagramライブがデスクトップでも視聴可能に』

今後、インスタライブ動画内に商品をタグ付けができるようになると、ライブコマースやPRプロモーションとしての活用の幅が拡がってくると思いますが、ここでは、化粧品やジュエリーを想定して、簡単な企画案を考えてみます。

●ショップ×ライブショッピング機能
・美容インフルエンサーがインスタライブでおすすめの商品の使い方やおすすめポイントを発信し、視聴者とインタラクティブに会話するなかで衝動的な消費行動を促す企画

●インスタライブ×ファン化を醸成するアカウント運用
・ジュエリーデザイナーがインスタライブで視聴者から依頼されたイメージをその場でデザインに書き起こす。そのジュエリーができていく様子をアカウントで情報発信する
・インスタライブで発信したファッション商品を、アカウントで30日間の着回しコーディネートを実践する
・インスタライブでお酒を作っている工場や生産者のもとで、おすすめポイントを取材しながら、そのお酒に合うおつまみレシピをアカウントで毎週情報を発信する

ライブ配信では、利用者が信頼を置く企業アカウントやインフルエンサーの言葉で、情報を発信していくことが重要です。利用者は自分の友人や著名人が発する言葉を信頼して、商品を購入します。信頼できる情報を発信していくためには、安定的なアカウントの運用と併せて、発信者の言葉に嘘がないことが求められます。そのためどのような人を発信者としてキャスティングするかも重要な要素になります。

インスタライブやIGTVの開催と集客、安定的なアカウント運用、受け皿となるショップ設定(ECサイト構築)と運用などがすべて統合的に企画・管理されることで、利用者にとってよりシームレスな購買体験が可能になります。

まとめ

多くの企業がオンライン上での集客と販売に力を入れるなか、Facebookはシームレスなオンラインショッピングを実現する新しいサービス「Facebookショップ」の提供を発表しました。利用者はInstagram内で自分が欲しかった商品を発見・検討し、Webサイトへの遷移・購入までをシームレスに行うことができます。InstagramアカウントとECサイトをお持ちの企業は、Facebookショップの活用で、今までにない新しい購買体験を利用者に提供することが可能です。ぜひ、新しい取組みにチャレンジしてみてください。

 

この記事の著者

川田 麻由佳

2009年にアイレップへ入社。営業として健康食品、製薬企業、金融企業、アパレル企業を中心に幅広い業種業界のクライアント企業を担当後、データドリブンマーケティング事業の立ち上げメンバーとして数々のプロジェクトに従事。2019年4月より、ソーシャルメディアマーケティングからオフラインを含むカスタマーサポート業務まで統合的に業務を推進する、カスタマーリレーションDivisionのマネージャーに就任。ソーシャルメディアを活用したフルファネル型のコミュニケーション施策やソーシャルコマース、AIを活用した顧客対応ソリューションの提供など、CRM領域を包括的に推進。官公庁や各社勉強会、アドテックへの登壇実績あり。主な著書に『成果を上げるライブコマースの教科書』(共著/翔泳社)がある。

2009年にアイレップへ入社。営業として健康食品、製薬企業、...

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