Instagram広告の傾向・開催背景
2月14日(水)に、株式会社アイレップにて「2019年 最新Instagramプランニング&クリエイティブセミナー」を開催しました。
日本国内の月間アクティブアカウント数が2,900万※を突破し、急拡大を続けるInstagram 。今や企業のマーケティング領域において欠かすことのできない存在となりつつあります。
Instagram広告の成果を確実に出し、成功に導くためには、戦略的なキャンペーンの活用やInstagramの特性を生かした運用設計が必要とされています。質やテーマ性を重視するユーザーへ向けた共感を生み出しやすいコンテンツの立案、投稿するクリエイティブメッセージの一貫性と最適なコミュニケーションプランの設計が重要です。
本セミナーにはフェイスブックジャパン株式会社がゲストスピーカーとして登壇。Instagramの最新トレンドやInstagramクリエイティブの考え方について講演しました。また、Instagram広告運用の実績を持つ当社より、解決課題手法やInstagram広告活用最新メソッド、Instagramストーリーズの成果事例について解説。さらに、ビジネスシーンにおけるInstagram公式チャネルの効果的な運用手法や、オーガニック投稿の必要性、オーガニック運用におけるアイレップ独自のメソッドをご紹介しました。
※ Instagram国内月間アクティブアカウント数Facebook社公表値(2018年11月)
第1部
「Instagram Update 2019」
(講演:フェイスブック ジャパン株式会社 執行役員 エージェンシーパートナー 馬渕邦美 /
クリエイティブショップ クリエイティブストラテジスト栗山修伍)
2,900万という月あたりにログインするアカウント数(月間アクティブアカウント数:MAA)からも読み取れるように、Instagramの世界は急速度で拡大を続け、日々アップデートが進んでいる。馬淵氏は、Instagram上で爆発的に広がるコミュニティについて、20~34歳の女性だけではなく男性ユーザーが増加し、男女ともに活発に利用されていることや、ハッシュタグ検索・Instagramストーリーズにおける活用の高さを挙げ、いかにInstagramがユーザーの生活の中に深く入り込んでいるのかを解説した。さらに、Instagramストーリーズを使って投稿する方が増えていることに関連して、ユーザーがスマホを横にして見ること自体が少なくなっており、縦型の動画を見ることが日常化している点を非常に重要なポイントとして挙げた。スマートフォンユーザーが画面を縦型のまま使用する割合や、「縦型動画の広告を配信するブランドを革新的だと信じる」方が約6割いるというデータからも縦型クリエイティブの重要性がますます増していると述べた。
また、ビジネスとの親和性に関して、現状のモバイルシフトが大きな変化を生んだという。ユーザーがモバイル世界の中で情報を得て、消費行動を起こす範囲がますます広がり、モバイルの中で生まれる結びつきが大事な要素となっている。最新トレンドを知ることができて、ニーズに合った情報を求められるという点に対して、Instagramは大変強力なメディアであると馬淵氏は語った。ビジネスアカウントをフォローしているユーザーや、Instagramの投稿がきっかけとなり行動を起こしたユーザーのデータからも、ビジネスがInstagramのコミュニティの一員として共存していることを示している。 このようなビジネスの広がりに応じて、フェイスブック社は広告フォーマットを拡大している。Instagram ストーリーズ広告もそのひとつで、ユーザーが商品を見た後にオンラインや店舗での購入につながっているデータも出ており、Instagramが購買アクションに強く、有用なプラットフォームになってきていると語った。
直近では「アンケートスタンプ機能」をリリースした。これは、Instagramストーリーズを見たユーザーに対して2択の質問ができその場で簡単にアンケートができるユニークな投票機能であり、オーガニックではすでに先行リリースされ話題とされていた。今後広告としても利用可能となり新たなコミュニケーション方法として注目が高い。通常のInstagramストーリーズと比較すると閲覧時間(+3秒)アプリインストール効率(40%向上)と、結果につながり易いフォーマットであると言える。
栗山氏は、Instagramや広告クリエイティブを語る前提として、私たちを取り巻くモバイル環境が大きく変化してきている点を指摘。コンテンツを消費する頻度が高くなり、私たちの情報処理のスピードが上がってきていると説明した。当然、広告を見るスピードも上がっている中で、どのようにしてユーザーに見てもらえる広告コンテンツを作るか、その先のアクションに繋がるようにするかが注目されている。
Instagramの広告クリエイティブのあり方について、3つのポイントを挙げた。
3つのクリエイティブ視点
- シンプルで具体的なワン・メッセージ
- ベネフィットの明示
- メッセージとビジュアルの一致
これらのポイントを踏まえた効果を最大限にする広告クリエイティブを、事例を交えて紹介。さらにInstagramストーリーズ広告においては「導線の強化」を4番目のポイントとして加えた。いかにタップさせるか、スワイプなどのアクションを誘発するかの導線設計が工夫されているクリエイティブほど、パフォーマンスが高くなっているとのこと。さらに昨年、Instagramストーリーズに新たなフォーマットとして「カルーセル広告」が追加された。これによって最大3つのクリエイティブ・リンク先を追加することが可能なカルーセル形式が対応可能となり、まだ利用している企業は限られているが、広告としてのパフォーマンスが高くなることがわかってきていると述べた。
第2部
「Instagram公式チャネル運用&活用メソッド」
(講演:株式会社アイレップ 執行役員 平知己 / コミュニケーションデザイナー 清水万由奈)
Instagramは「Fun& Play」の場であり、ソーシャルグラフやデモグラフィック・データに近い形で集まるコミュニティではなく、インタレストグラフでつながっていると解説する平。そのような中で、広告はもちろんオーガニック運用も「Fun& Play」の考え方を大事にしなければユーザーに受け入れてもらえないと前置きした。
Instagramといえばブランディングというイメージがあって、ビジネスにおける獲得とは遠いメディアなのではないかという考えを持つ方もいるかもしれないが、Instagramが最も広告効果が高いと示す事例も出てきているとのこと。広告運用で認知・獲得させるTIPsも多数あるが、推奨するのはオーガニック運用と広告運用を分けて考え、トータルでプランニングしていくことだという。オーガニック運用でファンを育てておくことで、広告効果も高まる結果が見えてきていると語った。
清水からは、広告には広告の、オーガニックにはオーガニックの各役割に沿った効果の高いクリエイティブがあるため、チャネルに応じて出し分けていくことが重要となると説明。オーガニック運用は、ブランドへのロイヤリティを醸成し、ファンを育てる役割を担っているという。広告での「認知」があるため企業アカウントへ訪れ、そこで「好き」になるため「買う」というように、オーガニック運用できちんとファンが育つからこそ広告の効果が高まると語った。そのため企業アカウントでは、“広告”ではなく“コンテンツ”というものをきちんと発信していくことによって、ユーザーとの一体感を作り、ブランドへのロイヤリティを高めていくことがオーガニック運用で最大の鍵となるそうだ。
フォロワーをどのように増やすのか?どのようなクリエイティブを投稿すれば良いか? ハッシュタグに工夫は必要なのか?アカウントを開設したけれどそもそもどんなテーマにするべきかわからない…などの課題に対して、Instagramの基本的なオーガニック運用のポイントを、事例を踏まえながら解説。オーガニック領域における運用ポイントを5つ挙げた。
Instagramオーガニック運用の5つの鍵
①投稿数よりも、クオリティの高さに注力する
②コンテンツ設計は以下の3つのポイントを押さえること
- Instagramの世界観に溶け込む
- ライフスタイルに溶け込む
- ベネフィットを発信する
③ハッシュタグ設計は以下の3つのポイントを押さえること
- 検索と拡散のサイクルに入り込む
- ライフスタイルに溶け込む
- 幅広いインテントのユーザーと接点を持つ
④トーン・テーマをブランドメッセージが視覚的・感覚的に伝わるように設計
⑤目的に沿ったKPI設計と広告との連動による成果実現
ビジュアルコミュニケーションが中心となるInstagramでは、自社の発信するクリエイティブがどれだけブランドの価値を視覚的、感覚的に届けて ユーザーと関係構築していけるかが鍵となる。また、オーガニック運用と広告という領域を分断するのではなく、きちんと連動させて成果拡大を 図ることが重要になると述べた。『広告で「知っている」という状態を作り、コンテンツで「好き」を醸成する。ブランドを好きになった人がいる からこそ、「購買」につながる』といった考え方でオーガニックを運用していくことが非常に大事であるという。
第3部
「Instagram 広告活用最新メソッド/ Instagram ストーリーズ完全攻略」
(講演:株式会社アイレップ メディアセールス局 第2メディアセールス部 サービスプランナー 丸山沙織 / 高橋春輝)
丸山は、広告は「知ってもらう」入口の部分と、「買ってもらう」出口の部分のきっかけを作る役割であるとしたうえで、さらに商品への理解を促進するミドルフェーズでも活用することで、オーガニック運用と相乗でその効果を最大化することができると説明。ファネルごとに異なるユーザーのモチベーション・立場・好みを考慮し、同じ商材でも異なった見せ方、クリエイティブ、テキストを用い、コミュニケーションを取っていく必要があると語った。
また、Instagram広告のクリエイティブで成果をあげていくための重要なポイントを2つ提示。企業が各ファネルに応じてどのようにクリエイティブを変え、成果を出しているかについて、アイレップで手掛けた案件を用いて解説した。
インスタグラム広告のクリエイティブポイント
①ファネルに応じた訴求軸の変更
②クリエイティブTIPsを取り入れInstagramっぽさを大切にする
アイレップが推奨しているInstagram広告で成果をだすクリエイティブTIPsのひとつとして、「Instagram ストーリーズに広告配信するときは、縦長のクリエイティブを入れること」を紹介した。
本セミナーでは直近成果が挙がっているInstagram ストーリーズ カルーセル広告を積極的に活用した事例をはじめ、複数業種で多数の事例を紹介した。
アイレップでは、Instagramをデジタルマーケティング施策のひとつとして本格的に取り組む企業に向けた「IREP CREATIVE WORKSHOP」を用意しており、お客様のInstagram広告クリエイティブを一からサポートしている。半日をかけてサービスの強みや課題を洗い出し、ブレストをラフ案に落として実際にクリエイティブディレクターがその場で広告を制作する。アイレップ独自のプランニングメソッドを用い、お客様と一緒に形にする体制を整えているので、ぜひ活用して欲しいと語った。
最後に高橋より、広告の運用について、「誰に、どこで、どうやって」配信していけば成果が上げられるのかを、よく挙がる質問とともに解説した。
成果を上げるためのポイントは、質にこだわって制作した広告クリエイティブをユーザーのモチベーションに合わせて届ける点と、Instagramと広告プラットフォームが統合されているFacebookの持つユーザー情報をターゲティングに活用できる点だという。ひとりひとりのユーザー情報をベースに、登録された情報や興味のあるものを踏まえて広告配信を最適化することができ、コンバージョンに近いユーザーを見つけてくれるアルゴリズムが働いていると説明した。
よくあるご質問
Instagram広告のターゲット層は若年層や女性が中心なの?
ユーザー情報を元にした配信ができるため、増加傾向にある男性や、幅広い年代に対しても成果を上げることが可能となる。精度の高いターゲティング機能を活用し、配信したいユーザーを捉えることができる。そして、捉えたユーザーに対して適切なメッセージを届けることが成果につながる。
配信面はたくさん選べるけれど、一番効率が良い配信方法とは?
FacebookとInstagramのプラットフォームを横断して自動最適をかけることが最も効率が良い。さらにそれぞれのプラットフォーム、それぞれの配信面で最適な広告フォーマットを選択することが大事である。
最も効率的なキャンペーン設計や運用方法は?
フルファネルでキャンペーン設計を行うことが重要になる。コンバージョン手前のユーザーを後押しする顕在層への配信と、スケールさせるための新規ユーザーへの配信を組み合わせることで最も成果の上がる効率的な配信となる。
クリエイティブのPDCAはどうやって回したら良い?
広告配信後、徐々に入札に勝てず配信数が減少していく傾向があるため各プラットフォームには最適な広告の差替えタイミングが存在する。
FacebookとInstagramそれぞれのフォーマットと機能を掛け合わせること、成果の勝ち負けの判断基準を設けること、何をいつ検証するのか計画しておくことなど、配信前からクリエイティブのPDCAを設計しておくことが重要。
質を高めて成果につなげるクリエイティブを作り、そのクリエイティブを「誰に、どこで、どうやって」配信するかまで落とし込んで考えていくことが、プラットフォームを活かした配信になると結んだ。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
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