「初めてのGoogle アナリティクス」と題して、Web解析をこれから始める人やマーケターが知っておくべき基本的な「ディメンション」や「指標」の概念についてご紹介します。レポートを使った分析では、これらの言葉や意味を理解しないと数値を読み解くことができず、改善のヒントを見逃してしまいます。
本記事では代表的なディメンションと指標についての説明と使い方についてご紹介します。これらを理解しWeb解析の第一歩を踏み出してみましょう。
Web解析レポートを構成する要素「ディメンション」と「指標」
Googleアナリティクス をはじめとしたWeb解析レポートは、「ディメンション」と「指標」という2つの要素の組み合わせによって構成されています。
例えば、Googleの検索エンジンからユーザーが何人サイトに来訪したかを調べたい場合には、どのような要素を組み合わせたら良いでしょうか。
この場合はディメンション「参照元/メディア」と指標「セッション」を掛け合わせることで流入元別の訪問数をレポーティングできます。このように、代表的な「ディメンション」と「指標」の要素を理解しておけば、それらを簡単に組み合わせて分析することが可能になります。
(図1:ディメンションと指標)
「ディメンション」とは分析の軸となるデータです。
「デバイス」・「OS」・「地域」などのユーザーがサイトにアクセスしている環境を表すディメンションや「参照元/メディア」などのサイトへの流入経路を表すディメンションなどが代表的なディメンションとして挙げられます。また複数のディメンションを掛け合わせることで、データをより細分化し、掘り下げた分析を行うことが可能になります。
「指標」は実数や割合などの数値を使った定量的なデータです。
ページへのアクセス数を示したページビュー(PV数)、セッション(訪問数・訪問回数)、ユーザー(訪問者数・ユニークユーザー数)や、目標達成率を表すコンバージョン率(CVR)などが代表的な指標として挙げられます。Web解析においては、これらの指標の増減を前月・前年などの期間を基に比較し、プロモーション施策やサイト内の導線改善などの効果を計測していきます。
レポートの多くは、表の左側の文字の要素をディメンション、右側の数値を指標といった構成になっており、何 (ディメンション)がどのくらい (指標)増えたのか、もしくは減ったのかを見てプロモーション施策の評価や分析を行います。
またGoogle アナリティクスでは予め多くの「ディメンション」と「指標」が定義されており、これらの意味を知ることでどのレポートを見て、施策やキャンペーンの効果を評価できます。
(図2:ページレポートにおけるディメンションと指標)
Googleアナリティクスの主要なディメンション
ここではGoogleアナリティクスでよく使われる代表的なディメンションについてご説明します。前述の通りディメンションは分析軸となり、標準で用意されているレポートと併せて見ていくと理解しやすいと思います。
ディメンションをユーザー属性、サイト流入、サイト内行動、コンバージョンの4つに分類してご紹介します。
各ディメンションの紹介の下にレポートの参照先を記載しているので、ご自身のアカウントにてレポートを参照しながらご覧ください。
ユーザー属性のディメンション
サイトに来訪しているユーザー像を分析する際に使用するディメンションです。Googleが独自で集計したデータを基にしたユーザー属性レポートと、ユーザーがアクセスしている環境やデバイスを計測できるレポートなどが用意されており、サイト来訪者のユーザー像を特定することに役立ちます。
(1) 年齢:Google独自のデータを利用し年齢層を識別しています。※1
レポート参照先:ユーザー>ユーザー属性>年齢
(2) 性別:Google独自のデータを利用し性別を識別しています。※1
レポート参照先:ユーザー>ユーザー属性>性別
※1 これらのレポートはGoogle独自に収集したデータを基に作成しており、データはすべて推計値となります。
(3) ブラウザ:サイト閲覧に使用したブラウザ(Google Chrome 、Internet Explorerなど)を識別します。
レポート参照先:ユーザー>テクノロジー>ブラウザとOS
(4) デバイスカテゴリ:サイト閲覧に使用した端末を識別し、「デスクトップ」、「モバイル」、「タブレット」の3カテゴリに分けてレポートすることができます。
レポート参照先:ユーザー>モバイル>概要
(図3:デバイスカテゴリレポート)
サイト流入のディメンション
サイトへの流入元となるメディアや広告キャンペーンなどの流入経路を分析するためのディメンションです。これらのディメンションを使うことで、どの広告キャンペーンが最もサイト来訪に貢献し売上に繋がったかを分析することができ、次の広告キャンペーンに向けて継続的な効果改善を行うことができます。
(1) Default Channel Grouping:サイト訪問時の流入経路をグルーピングしたディメンションです。
レポート参照先:行動>チャネルレポート
(図4:チャネルレポート)
(2) 参照元/メディア:サイト訪問時の流入経路を、メディアが広告URLに設定したパラメータに基づきグルーピングしたディメンションです。
レポート参照先:集客>すべてのトラフィック>参照元/メディア
サイト内行動のディメンション
サイト流入後のユーザー行動を分析するためのディメンションです。ページごとの流入数の分析にとどまらず、詳細な設定を行うことでサイトコンテンツのクリックやサイト内検索キーワードなどを取得することが可能となります。
(1) ページ:ページ毎の閲覧数や離脱数を計測するディメンションです。
レポート参照先:行動>サイトコンテンツ>すべてのページ
(2) ランディングページ:サイト訪問時に最初に流入・閲覧したページを計測するディメンションです。
レポート参照先:行動>サイトコンテンツ>ランディングページ
コンバージョンのディメンション
サイトから発生した成果(コンバージョン)に関するディメンションです。Eコマースサイトにおいては購入された商品の商品名、SKU、カテゴリなどを軸とした分析に活用することが可能です。
(1) 商品:購入された商品の品目名を表すディメンションです。
レポート参照先:コンバージョン>eコマース>商品の販売状況
(2) トランザクションID:ECサイトで発生したがトランザクション(購入完了)ごとに付与する識別子です。(1回の購入ごとの売上や購入商品を確認したいときに使用します)
レポート参照先:コンバージョン>eコマース>販売実績
Googleアナリティクスの主要な指標
指標は「トラフィック指標」、「エンゲージメント指標」、「コンバージョン指標」の3種類に分類されます。それぞれの役割と各指標の集計ロジックについて理解することで、広告キャンペーンやサイト導線の改善施策などの結果を正しく評価することに繋がります。
ここではWeb解析において重要となるいくつかの指標を紹介します。これらを前月や前年などの期間で比較して流入やコンバージョンのトレンドを分析してみましょう。
トラフィック指標
サイトへの流入数を表す指標です。ここで紹介するページビュー、セッション、ユーザーはWeb解析の基本となり、あらゆるレポートで使用されるのでしっかりと意味を理解しておいてください。
(1) ページビュー:サイト訪問時に閲覧したページ数
(2) セッション:サイトへの訪問回数(流入から離脱までを1訪問と定義します)
(3) ユーザー:サイトへ訪問した固有のユーザー数 (ユニークユーザー数)
これらの指標の計測ロジックの例題は以下のとおりです。※図5
(図5:ページビュー・セッション・ユーザー概念図)
ページビュー:Aさん Bさん が2日間で合計7ページ閲覧しているので、ページビューは7回となります。
セッション:Aさんが1月1日と2日に2回訪問し、Bさんが2日に1回訪問しているのでセッション数は3回となります。
ユーザー:AさんとBさんの2人がサイトへ訪問しているのでユーザー数は2となります。
エンゲージメント指標
エンゲージメントとはサイトコンテンツに対するユーザーの関与や親和性を表し、サイト内行動の分析に使われる指標です。代表的な例として回遊率や再来訪率などで、サイトへの関与の高いユーザーの割合の計測に使用されます。
(1) 直帰率:ユーザーがサイトに訪問し、閲覧開始したページから他のページに回遊せずに離脱した割合
(2) ページ / セッション(回遊率):1度の訪問でユーザーが閲覧するページ数の割合
(3) ページの滞在時間:ユーザーがサイト訪問時に滞在した時間の平均値
コンバージョン指標
設定した目標の完了数や購入数を表す指標となり、サイトから発生した成果の計測に使われます。目標の設定はサイトごとに定義が異なり、目的に合わせて独自に設定を行う必要があります。主に「お問い合わせ完了」や「購入完了」といった想定される成果が発生した回数を計測する場合が多いです。
(1) 目標の完了数(CV数):サイトの目標の完了数
(2) コンバージョン率(CVR):訪問から目標の完了に至った割合
(3) トランザクション数:Eコマースサイトにおける購入完了数
まとめ
データを読み解く最初の一歩
「ディメンション」と「指標」についてご理解いただけたでしょうか。 Google アナリティクスではこれらのディメンションや指標を掛け合わせて、サイトのコンディションや広告などのプロモーションの成果を分析します。まずは標準で用意してあるレポートを開き、どのようなディメンションと指標を組み合わせているかを意識的に見ていくとより理解が深まるかと思います。
次回は、”一歩差がつく”分析として、ユーザーの行動や属性の絞込みを行えるGoogle アナリティクスの機能や活用方法をご紹介します。
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この記事の著者
DIGIFUL編集部
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