分析・施策の高度化へ~Google アナリティクス活用&最新事例セミナーレポート

2020.06.25

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本セミナーでは当社より、データの統合と活用のポイント、課題解決アプローチの手法について、最新事例を交えながら講演しました。また、AI開発運用の実績を持つ株式会社イー・エージェンシーがゲストスピーカーとして登壇。AI活用の基礎やケーススタディ、検討ステップについて解説しました。

第1部
「事例から学ぶ!これから始めるデータ統合と活用講座」

(株式会社アイレップ 執行役員 芝野徹也)

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高まるデータ統合ニーズ

第1部では芝野より、オンラインとオフラインのデータを掛け合わせることのメリットや、自社データ(オフライン情報やCRM)を活用した統合的なマーケティング施策について、事例を交えながら解説した。

昨今、インターネットや新聞上で「O2O」という言葉や、店舗ビジネスを展開する企業とWebサービスを提供する企業が連携した取り組みを目にする機会が増え、 “オンライン”と“オフライン”を越境した動きが非常に盛んになっている。その一方で、アイレップがクライアント企業と接するなかで、オンラインデータとオフラインデータの統合がなかなか進まない現状も見えるという。芝野は、その課題には大きくふたつの共通点があると説明した。

ひとつは、マーケティング上の課題がある。Webサービスでビジネスを行う企業において、オンラインデータとオフラインデータが繋がっていないために、店舗ビジネスと相関性のあるオンライン上の効果や普段のユーザー像が捉えにくい状況がある。単発での購入やWebサービスでのコンバージョンまでは把握することができるが、ライフタイムバリュー(顧客生涯価値:LTV)が計測しづらく、一気通貫した投資収益率(ROI)が見えづらいなど、マーケティング施策が立てられないという問題があるとのこと。 もうひとつは、データ統合へのハードルだ。データを管理する部署が、IT部門や広告、Webサービス担当部門などに分かれ、各部門を横断する場合は調整が難しくなることがある。また保有するデータが、基幹システムやWebサイト上のデータ、広告データなど、複数存在し、それぞれの数字が同一指標で計測されていないため、相関性がわからないといった問題もある。この2点が大きなハードルとなり、データを統合するメリットや投資を促すような判断材料が得づらいといった課題をクライアント企業から感じていると語った。

芝野は、データ統合フェーズにおいても、さらに大きな壁があると説明。サイトのデータにも、自社のWebサイトで収集するデータと、自社のWebサイトに訪問する前と後に収集する外部のデータがあり、それぞれのデータが繋がっていないことを指摘。これらの壁を横断して解決していくことが重要になると語った。

 

データ統合の王道アプローチ

アイレップが支援するクライアント企業におけるデータ統合の王道アプローチは、ふたつに大別できる。ひとつが、これから本腰を入れていく企業を対象にしたツールを活用して簡易に実現する手法。もう一方が、ある程度進んでいる企業を対象にしたオーダーメイドのシステム構築で実現する手法の2種類あるという。

前者はデータ統合に際する壁が多く、いかに早くその壁を乗り越えて最初の架け橋をかけるかが重要となる。様ざまなツールがあるなかで、アイレップが推奨するのが「AudienceOne®」という、アイレップのグループ会社であるデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社が提供するデータ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)。当該製品の特徴でもある、サードパーティーデータベースの活用を提案しており好評を得ているとのこと。最大級規模のデータを保有していることから、多くのクライアント企業に採用されていると説明した。「AudienceOne®」の利用における最大のポイントは、クライアント企業が保有する顧客IDなどの基幹データとユーザーのオンラインデータがサイトのログインごとに紐付けられる仕組みとなっており、手間が非常に限定的でスピーディーにデータ統合ができる点であるという。例えば、企業が保有しているオフラインの会員データに「AudienceOne®」を組み合わせることで、広告の接触データや、広告以外での他サイトの行動データが可視化され、そのユーザーが普段どのようなWeb閲覧行動をしているかが見えるようになる。つまり、オフラインでの会員データに対して深みを持たせることができ、ユーザーに対するペルソナの想定がより深く理解できる。アイレップではデータの蓄積と活用ができることをデータ統合として捉え、ツールを用いて企業をサポートしていると述べた。

一方、ある程度データ統合が進んでいるが、よりマーケティング活動に繋げていくために投資をしたい場合、システムのカスタマイズに話が及ぶが、システム構築が目的化してしまう傾向があることを指摘した。何でも実現できるからこそ、何をデータ化し、どのような施策に繋げるためにデータ統合するのかを整理するために、アイレップでは「施策マップ」という形式を用いているという。実際にカスタマイズしてシステムを構築し、データを繋ぐ場合、どのように進めていくのか。芝野は、オンラインデータからオフラインデータまで一気通貫する効果検証を視野に入れた設計とPDCAサイクルを意識した設計がデータ統合の鍵になると語った。

 

第2部
「アクセスデータ×CRM~会員データ×サードパーティデータで 実現するAI活用講座」

(講演:株式会社イー・エージェンシー データサイエンス戦略室 室長 阿部雄太)

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AIマーケティングの基礎知識+高精度AI開発の重要ポイント

第2部では阿部氏より、アクセスデータとCRMデータおよびサードパーティデータの統合によるAI活用について、AIマーケティングの基礎、ケーススタディ、AI活用の検討ステップにおけるポイントを解説した。

阿部氏は、近年データの量と種類が増え続けており、人間の手に負えなくなってきている現状を挙げ、AIや機械学習による自動処理や効率化のニーズが高まっていると述べた。

AIは、人間の脳と比較して、識別系・予測系・会話系・実行系の4つの機能に分類される。本講義のテーマとなる、マーケティング領域におけるAI活用では、サイトへの訪問者の行動予測・業績の未来予測・異常検知などの「予測」に関する要望が多い状況にあるという。

なぜ、CRMデータ、サードパーティデータデータなどからユーザーの行動予測ができるのかというと、それらのデータから予測対象の特徴が把握できることが挙げられる。予測対象の特徴を検知するための、データ収集方法にはいくつかパターンがある。例えば、AIでコンバージョン意欲が高いユーザーを予測・特定したい場合、コンバージョン意欲が高いユーザーの特徴をデータから捉えなければならない。つまり、いくらAIや機械学習が発達していても、AIで予測したい対象に特徴がなければ何も得られず、精度も上がらない。特徴を捉えるためのデータ収集が重要であると示した。

では、AIを活用するにあたりどのようなデータ収集すべきなのか。これまでは、サイト分析やマーケティング評価をする目的、かつ人間が理解するためのデータ収集をしていた。これからは、AIにも理解させるためのデータ収集を意識することが必要となる。AIが特徴を見つけやすくするために、以下のようなデータを細かく収集して統合し、AIの開発に利用することが重要となるそうだ。

  • アクセスデータ
  • オンライン購買データ
  • 会員の属性データ
  • 重要ページタッチデータ
  • 店舗・営業データ
  • サードパーティデータ...など

こうしたデータをもとにした予測系AI開発・活用の最新ケーススタディも紹介。求人サイトにおいてサイト表示や広告配信を最適化する事例や、メディアサイトにおいてPVや会員登録を最大化する事例について解説した。

では、このようなAI開発・活用によって成果を上げるには、どのような手順を踏めばよいのか。

AI活用の検討ステップ〜予測系AIの場合〜

阿部氏は、予測系AI活用における検討ステップを4つに分けて説明。検討を進めるうえで最も重要なことは、獲得したい価値は何かを明確にすることであると前置きした。攻めのAI活用例として、顧客体験・UXの向上や売り上げの増加、守りの活用例としては、リスク検知やコストカットなどが考えられる。

はじめのステップでは、予測モデルを作ることによって「解決したい課題は何か?を明確にする」ことが非常に大事であるという。マーケターの場合は、大別して次の課題に分けて検討することができる。

  • KPIの改善
    (UU/PV/回遊率、コンバージョン、顧客総利益(LTV)、購入金額、リピートなどを増やしたいという課題)
  • 作業の自動化・効率化
    (重要顧客へのアプローチ、広告費の効率配分、在庫最適化、人的コスト圧縮化などへの課題)
  • 事業課題の解決
    (コンバージョンを早めたい、定期購入顧客を増やしたい、DMリスト作成を自動化したい、需要を予測したい、リスクを予測したい、新商品・コンテンツを作りたい、などの課題)

次に、「現状で(自社で)収集しているデータの整理」を挙げた。

  • アクセスデータ
    (アクセス行動に関するデータはもちろん、タッチ(操作)データ、読了率、検索行動でどのような行動をとっていたか、デバイスごとに分けたデータや、前回アクセスからの差分データなど)
  • 購買・顧客データ
    (購入商品データ、金額データ、購入頻度、性別・会員属性、会員レベル、資料請求/ダウンロードデータなど)
  • その他データ
    (店舗購買データ、広告接触データ、イベント開催データ、コンテンツデータ、地域・天候データ、サードパーティデータ、場合によっては競合サイトデータなど)

上記データは、予測に役立つことがあるため、自社内で何の情報が蓄積されていて、統合されているデータが何かを明確化するようにとアドバイスした。

さらなるステップとして、「解決したい課題は、どのモデルタイプで解決できるかを明確化する」ことを挙げた。冒頭説明があったように、AIのモデルは識別系、予測系、会話系、実行系、加えて人間代行型か人間拡張型に分けられる。予測系AIのなかでも、例えば、“これまで人間が異常値を抽出していたが自動化したい”、“ビッグデータから高精度な予測をしたい”などの、人間の能力を拡張するものもある。企画段階で、解決したい課題がどのモデルで解決できるかを明確化する必要があると述べた。

最後に、「いつどこでAIモデルを使うか?」の検討が必要であるといい、AIで自動化したい、課題を解決したい部分がどこになるかを社内で抽出することが大切だと提示した。AI開発のプロジェクトのなかには、AIを開発してみたものの業務への組み込みがうまくいかず、活用されないという事例もあるという。阿部氏は、AIを利用する人を巻き込むことも必要であると添え、AIの可能性をイメージし、楽しみながら取り組むことの重要性を述べた。そうすることで、開発したAIが育ち、事業に活用されるような良いものができると結んだ。

株式会社イー・エージェンシーは、アクセスデータを活用したAIモデルの開発や、パーソナライズ、顧客リストを最適化するプロジェクトを主軸に提案を行っている。アクセスデータに精通したAI開発チームやマーケティングデータの活用に最適な開発プラットフォームを保有し、AI開発運用の強みとしている。

Google および Google ロゴは、Google LLC の商標です。

<DL資料>はじめてのGoogle アナリティクス 360

この記事の著者

DIGIFUL編集部

「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。

当社がこれまでに得たデータや経験から、具体的事例・将来展望・業界の最新注目ニュースなどについて情報を発信しています。ニュースやコラムだけでなく、日常業務や将来のマーケティング施策を考えるときに役立つダウンロード資料や、動画で学べるウェビナーコンテンツも随時追加していきます。

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