消費活動のデジタル化が進んでいく中、これから2030年に向けてコマース業界はどのようになっていくのでしょうか?本記事では2030年に向けてのコマース業界について考えるヒントを探るべく、投資家向けに発表された調査レポートBig Ideas 2022に記載された未来予測を取り上げて紹介していきます。
Big Ideas 2022とは
Big Ideas 2022は投資家のキャシー・ウッド氏率いる資産運用会社ARK Investが年に1度発表している調査レポートです。ARK Investは破壊的イノベーションへの投資に特化した資産運用会社で、キャシー・ウッド氏は"2018 Bloomberg's Top 50"に選ばれるなど注目されています。Big Ideas 2022では今後注目すべき14の破壊的イノベーションについて取り上げられています。これらの破壊的イノベーションが2020年の14兆ドル市場から2030年には210兆ドル市場に成長すると予測されています。
2020年と2030年の破壊的イノベーションの株式市場規模
参照元:Big Ideas Report: Innovation Research by ARK Invest - PDF (P7)
デジタルコンシューマーの未来予測
Big Ideas 2022のなかでデジタルコンシューマーについて取り上げられています。コロナ禍によりオフラインからオンラインへのシフトが加速しましたが、2030年には生活時間の52%をオンラインで、48%をオフラインで過ごすと予測しています。
2030年までのオンラインとオフラインの生活時間配分
デジタルでの生活時間/オフラインでの生活時間
参照元:Big Ideas Report: Innovation Research by ARK Invest - PDF (P24)
デジタル広告の未来予測
デジタル広告については、消費者にリーチする主要なチャネルはデジタル広告になり、世界のデジタル広告市場は今後8年間、年率11%で成長すると予測しています。
2030年までの世界の広告費
従来型広告費/デジタル広告費
参照元:Big Ideas Report: Innovation Research by ARK Invest - PDF (P26)
ソーシャルコマースの未来予測
オンラインショッピングの次の波としてソーシャルコマースが来ると予測しています。ソーシャルコマースは、正しく導入されれば、オンラインショッピングの利便性とソーシャルメディアのネットワーク効果を融合させることができるはずです。Eコマース全体の販売総額(GMV)は現在の年率10%未満から2026年には22%へ倍増し、ソーシャルコマースの販売総額は年率41%でEコマースの倍で伸びると予測しています。
2026年までのコマースのデジタル化
ソーシャルコマース/純粋なEコマース/従来型コマース
参照元:Big Ideas Report: Innovation Research by ARK Invest - PDF (P27)
EC担当者が知っておくべきこと
デジタルコマース市場はこれからも伸び続けます。そのなかでEC担当者は、急成長するソーシャルコマースについて動向やアップデート情報を抑えておくべきでしょう。
世界的にはソーシャルコマースの流れは進んでおり、Amazon、Facebook、Instagram、Twitter、YouTubeそれぞれのプラットフォームでテストフェーズが開始され、今後日本も含めた全世界への展開が予想されています。
Amazonでは2019年より「Amazon Live(アマゾンライブ)」というサービスを開始しました。Facebookは2020年からFacebook上に無料でショップを開設できるFacebookショップ、Instagram上に開設できるInstagramショップをスタートしています。Twitterもショップ機能を2022年米国からリリースする予定です。SNSの中で拡散性が高く、男性ユーザーも多いTwitterでのソーシャルコマースはこれからの動向が期待されます。GoogleもYouTubeにおいて動画内で紹介した商品にタグ付けをおこない、商品ページに誘導する機能を開始すると発表がありました。世界的なソーシャルコマースの隆盛に伴い、ソーシャルメディアのショッピングに繋がる各種機能はどんどんアップデートされ、生活者もパーソナライズされた情報の中でソーシャルメディアを基軸とした行動を自然にとるようになっています。これからEC担当者は、ソーシャルメディアの重要性を理解し、ソーシャルメディアの利用者をいかにソーシャルコマースに結び付けてそのまま購買させるかを検討していくことが大事になってくるでしょう。
参考:武者 慶佑、池田 好伸、川田 麻由佳「成果を上げるライブコマースの教科書」、翔泳社、2022年3月、p29
まとめ
Big Ideas 2022では、消費者側のデジタル化が進み、消費者リーチのチャネルとしてのデジタル広告の拡大が予測されています。こうしたなかで、デジタルコマースではEコマースの成長率が倍増し、さらにソーシャルコマースが急成長すると予測しています。市場の予測があっても具体的に何から進めていくかは容易ではありません。コマースの未来にどのように対応していくのか、どのようにしてデジタル消費者を獲得、維持すべきかについて検討を続けていくことが重要です。これからも業界動向を注視していきながら、未来を見据えて対応を検討していきましょう。
ソーシャルコマースやその他サービスについて、ご関心、ご相談があれば、ぜひ当社へお問い合わせください。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。
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