動画広告「元年」と呼ばれてから数年経ち、動画広告を当たり前のように目にするようになりました。(「元年」がいつだったかは諸説あるようです。)
「動画広告」と聞くとYouTubeなどの動画プラットフォームでコンテンツの合間に表示される広告をイメージすると思いますが、動画広告には他にも種類があり、掲載場所や方法が異なります。
また、動画広告を具体的に進めていくと「VAST」という言葉を耳にすることがあります。VASTとは簡単に言うと、動画広告を配信する標準規格のことなのですが、結局VASTが何なのかがよくわからない、といった声をよく聞きます。
本記事では、動画広告の種類とVASTについて、簡単に解説します。
本記事はデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社の「DAC Solution Service」より転載しました。
https://solutions.dac.co.jp/
動画広告の種類
動画広告には、大きな分類として「インストリーム」と「アウトストリーム」という2種類があります。
「そもそもストリームって何?」と思う人もいるかと思います。ざっくり説明すると、TV番組のように動画コンテンツが流れていることをストリームと表現します。その合間に広告が流れるものがインストリームです。なので、アウトストリームはインストリームではないもの。つまり、動画コンテンツが無く、バナー広告のように掲載されるものがアウトストリーム、という分類になります。
インストリーム、アウトストリームについて、もう少し深掘りしてみましょう。
インストリーム動画広告
動画コンテンツの合間に流れる広告のことです。具体的には、YouTubeやTVerなどの動画プラットフォームで動画コンテンツを見ると、動画コンテンツの最初や途中で流れる広告がインストリーム動画広告です。
インストリーム動画広告は、動画コンテンツの前後や途中といった流れるタイミングによって、さらに分類されます。
動画コンテンツの開始前に流れる広告を「プリロール広告」、動画コンテンツの途中で流れる広告を「ミッドロール広告」、動画コンテンツが終わった後に流れる広告を「ポストロール広告」と呼びます。
アウトストリーム動画広告
Webサイトやアプリの広告枠に配信される動画広告のことです。動画コンテンツがないメディアへ配信できるため、幅広く掲載することが可能です。
アウトストリーム動画広告は、掲載方法によってさらに分類されます。ここではよく見かける4種類の広告について紹介します。
インバナー動画広告(In Banner)
バナー広告枠に配信する動画広告のことです。バナー広告枠はペイドメディアにはほぼ設置されているため、多くのメディアへ掲載することができます。
インリード動画広告(In Read)
Webページをスクロールしている時に、コンテンツ中の動画広告が表示されると再生される動画広告のことです。
インリード広告とは、広告を掲載する枠が設けられておらず、記事の途中に広告枠を出現し、時間が経過すると広告枠が消滅する掲載方法の広告のことです。動画の場合は、動画再生時間だけ広告枠が表示されるのが一般的です。
一般的には、広告枠が出現する箇所までスクロールしてから、動画広告を配信し、動画表示するため、ビューアビリティ率が高く視聴されやすいのが特長です。
インフィード動画広告(In Feed)
FacebookやTwitterなどのタイムライン上に掲載される動画広告のことです。メインコンテンツと同じようなレイアウトで掲載されることで、広告として目立ちにくくなりますが、動画広告は自動再生することが多いため、画像テキストのクリエイティブと比べると目を引きやすいです。
インタースティシャル動画広告
Webページから別のページへ遷移する時、遷移先のページを表示する前に掲載される動画広告のことです。
ただし2017年に「Better Ads Standards(※)」において、ユーザーに好ましくない広告の1つに挙げられたため、DACとしても推奨しておりません。また、Google はChromeブラウザではインタースティシャル広告を含む迷惑広告を、2019年7月9日から全世界で非表示にする機能を有効にしました。
※ Better Ads Standards とは、Coalition for Better Ads(CBA)というオンライン広告に関係する各種団体、会社が参加している米国の団体が定めた優良広告の基準です。この基準にて、ユーザーに好ましくない広告フォーマットについて公開しています。
CBA Better Ads Standardsについて:https://www.betterads.org/standards/
以上が、簡単にまとめた動画広告の種類です。他にもたくさんの種類がありますが、よく見かける動画広告として、覚えておくとよいと思います。
VASTとは?VASTって結局なんなの?
動画広告の種類について理解したところで、次は動画広告を配信する際によく聞く「VAST」について、簡単に解説します。
VASTとは
VASTとは、動画広告掲出テンプレート(Video Ad Serving Template)の略称で、IAB Tech Lab(※)が策定した標準規格です。
※ IAB Tech Labは、米国のインタラクティブ広告業界団体であるInteractive Advertising Bureau(IAB)が設立した、デジタルメディアとデジタル広告業界におけるグローバルな技術標準の確立と導入を促進するための国際的な研究・開発のコンソーシアムです。
テンプレートとあるように、広告配信サーバー(アドサーバー)と動画プレイヤー間で行うデータの受け渡し方法を定義したもの(テンプレート、規格)のことです。世界的に定めた標準規格のため、VASTの規格に準拠していれば、アドサーバーと動画プレイヤー間で個別にデータの受け渡し方法を取り決めることなく、動画広告を配信することが可能になります。
VASTで受け渡しするデータは、動画ファイルのURLやサイズ、ファイル形式、再生時間といった動画素材に関する情報と、インプレッションやクリック、ビューアビリティ、再生開始、停止、ミュート、再生時間率(25%/50%/75%/100%)などの測定指標をカウントするリクエストURLです。
VASTで受け渡しすることで、動画プレイヤーはどのアドサーバーでも動画広告を再生することができます。また、アドサーバーは動画再生や測定するための開発が不要になります。
双方にメリットがあるため、動画広告の配信はほとんどVASTで行われています。
VASTのバージョン
VASTは2008年に初めて提唱されてからバージョンアップを重ねており、現在の最新バージョンは、2019年6月に発表したVAST 4.2です。
Ver.3.0以降は下位バージョンの機能を全てサポート(下位互換)しています。
簡単にこれまでのバージョンと代表的な機能についてまとめます。
Version | 代表的な機能について説明 |
---|---|
1.0 | (IAB Tech Labサポート対象外) |
2.0 (2012.03) |
|
3.0 (2012.07) |
|
4.0 (2016.04) |
|
4.1 (2018.11) |
|
4.2 (2019.06) |
|
(参考:IAB Tech Lab VASTガイドライン一覧ページ(英語))
VASTに準じた動画広告配信の流れ
VASTに準じた動画広告の配信を具体的にイメージするために、簡単に配信フローを解説します。
まずは、アドサーバーから動画広告を配信するシンプルな配信の例です。
VASTの情報を受け渡しすることにより、動画プレイヤーはVAST情報をもとに広告表示やカウント測定できるようになります。
次に、動画広告をDSPやアドネットワークなど第三者配信アドサーバーが配信する例を紹介します。
アドサーバーには、第三者配信アドサーバーが発行するURLを設定し、アドサーバーから第三者配信アドサーバーにリダイレクトするVAST Wrapper(ラッパー)という方法です。
VAST Wrapperによって、動画広告の第三者配信も容易に対応することができるため、収益機会を逃さずに広告配信することができます。
他にも、XmediaOne®トラッキングやIAS、MOATなどの広告測定ツールによる広告トラッキングが対応可能です。
まとめ
今回は、動画広告の種類と動画広告の配信を支える規格VASTについて解説しました。
DACは、動画広告の配信も可能な広告配信プラットフォーム「FlexOne®」を提供しています。
また、動画プレイヤーも複数取り扱っています。
ご興味がございましたら、ぜひお問い合わせください。
この記事の著者
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