本記事では、オウンドメディアは保持しているものの、うまく活用して成果をあげることが難しいというマーケティングご担当者様に対し、保有データを収集・統合し、ユーザーの行動を可視化する方法と、オウンドメディア内でユーザーにより効率よく周遊してもらうための施策例についてご紹介していきます。
オウンドメディアにおける導線設計
なぜ導線設計が必要なのか
どの企業のオウンドメディア(アプリやWebサイト含め)においても運営目的をもって作られており、ユーザーに対しこのように行動してほしい、というシナリオが存在します。しかし、そのシナリオ通りの行動をユーザーに促すためには、目的地までユーザーを導く道筋を設計する必要があります。これがオウンドメディアにおける“導線設計”です。
もし、適切な経路に適切なコンテンツが配置されていなければ、途中で離脱してしまうユーザーが多くなることは容易に想像できます。例えば、ECサイトを保有している企業がどんなに売りたいと考えている商品があったとしても、ユーザーの行動の経路に適切に商品が配置されていなければ、ユーザーはその商品にスムーズにたどり着くことができません。
こうした状況を避けるため、企業はどのようなユーザーが何に興味を持っており、Webサイト内でどういった行動をとるのかをしっかり把握し、認識することが大切です。そうすることで、おのずとどこに商品を配置すればいいのかが見えてきます。つまり、ユーザーの行動を把握し、課題点を浮き彫りにして都度改善をおこなっていくことで、ユーザビリティの高いオウンドメディアを作りあげていくことが可能となります。
ユーザーをオウンドメディア上で誘導する方法
具体的な設計の進め方
では、具体的にどんな方法で導線設計をしていくといいのでしょうか。効果的な導線設計を考えるには、まずはターゲット像と行動の可視化が必要です。ターゲット像の可視化では、どのチャネルからどのようなユーザーがオウンドメディアを訪問し、どういった情報に興味があるのかを把握します。また、行動の可視化では、ユーザーがどのチャネルから訪問し、どのページにたどり着き、どこで離脱するのかを見ていきます。このターゲット像と行動の可視化をおこなうには、まずはユーザーのデータを収集・統合し、そのデータをもとに分析をかけていきます。最後にその分析結果をもとに、具体的な施策へと落とし込んでいきます。
(1)データの収集と統合(準備段階)
データの収集段階では、まずはどういったデータが企業で保有されているかを把握します。DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)、会員データ、CRM データ、Webサイト・アプリ内行動データ、ソーシャルデータなどを洗い出します。その後、すべてのデータを統合し、顧客ひとりひとりのデータを紐づけていきます。
(2)ユーザーの分析
ユーザーのターゲット像と行動パターンを分析していきます。ターゲット像の分析で把握すべきことの一例は以下になります。
・年齢・居住地
・興味関心
・職業
行動パターンで把握すべきことの一例は以下になります。
・どのページにランディングしたのか
・どんな商品を買っているのか
・Webサイトへの訪問頻度
・滞在時間
(3)導線設計への落とし込み
ユーザーの分析結果をもとに、カテゴリごとのセグメント化をおこない、施策へと落とし込みます。例えば、よく訪問するユーザーと初めて訪問したユーザーのWebサイト内行動を比較したい場合は、訪問頻度でセグメント分けをし、傾向を捉えます。そうすることで、初めて訪問するユーザーがよく見ているページに、初心者向けのコンテンツを配置するといった施策を打つことが可能になります。反対に、Webサイトの使い方に慣れているユーザーには、より目的を達成しやすい設計を取り入れていくことができます。また、施策を実施した後は、改善策を打ち出すためにも必要となる効果測定をおこない、PDCAサイクルを回していくことが重要です。
具体的な施策例
ユーザーを想定される経路に導く施策はさまざまですが、いち施策例として、Webサイト内の環境整備・ポップアップ表示・チャットボットの活用などがあります。
Webサイト内の環境整備
Webサイト内行動を分析すると、どこで離脱するユーザーが多いのかが明確になってきます。離脱の理由には、一通りの行動を終えて満足して帰っていくことも考えられますが、それ以外では、次のページへとユーザーをうまく誘導できていないという可能性が挙げられます。そうした場合、ユーザーに次のアクションを促すタブをページの目立つ箇所に設置するなど、ユーザーが必要としている情報を適切な場所に配置することで、解決に導くことができます。
ポップアップ表示
ユーザーのステータスに合わせてポップアップ表示させることで、ダイレクトにユーザーを目的の経路に誘導することが可能です。例えば、商品をカートに入れたものの、その後カートから離脱したユーザーに対して、「○○円以上で送料無料」といった記載を表示させることで、追加の購入を促すことができます。さらに、「トップへ戻る」のメッセージを表示させることで、ユーザーがWebサイト内で迷子になることを防ぎます。このように、ユーザーの行動を軸としていくつかの表示内容を検討し、作成しておくことが大切です。
レコメンド表示
分析したデータの傾向から、特定のページを見たユーザーが同様に興味を持つ可能性が高いページをレコメンドすることも可能です。たとえば、類似する機能・仕様を有する商品やサービスへのリンク(関連リンク)、そのページに掲載した商品と同時によく閲覧・購入される商品(レコメンドリンク)が挙げられます。ユーザー「欲しい」と感じる情報を適切に提供することで、コンバージョンの確率を高めることができます。
まとめ
保有するデータを統合・収集し、ユーザーの行動を可視化する方法や、より効率的にWebサイト内を周遊してもらう施策例をいくつかご紹介しました。企業がオウンドメディア内でユーザーを的確に導き、成果に繋げるためには、データ収集・分析・施策への落とし込みといった一連の流れが重要になってきます。そのためにも、各企業の課題に沿った分析ツールを選定し、活用していくことが大切です。しかしながら、分析ツールを導入するまでにも、比較・検討といった選定にかなりの労力が必要で負担も大きく、各分析ツールの知識や理解も必要となってきます。大きな期待のもとやっとのことで導入、活用を開始したものの、思うように成果をあげることができず、「導入は失敗だった」と感じてしまう企業も少なくないのが現状です。
アイレップでは、高度なマーケティング戦略を駆使し、クライアントビジネスにおける具体的なゴール達成に向けて、それぞれの企業の課題に合わせたさまざまな分析ツールの選定から導入、施策の提案までトータルにサポートしています。オウンドメディアの運用や分析ツールの導入、施策に課題をお持ちの企業のマーケティングご担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。
当社がこれまでに得たデータや経験から、具体的事例・将来展望・業界の最新注目ニュースなどについて情報を発信しています。ニュースやコラムだけでなく、日常業務や将来のマーケティング施策を考えるときに役立つダウンロード資料や、動画で学べるウェビナーコンテンツも随時追加していきます。
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2024.03.26
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