企業に眠るさまざまなデータを統合してマーケティング施策を高度化させる“統合デジタルマーケティング”を下支えするデータ基盤の代表的な製品として、Treasure Dataが挙げられます。Treasure Dataを活用した”統合デジタルマーケティング”を実現するための取り組みにおける考え方を、取り組みの中核を成すデータ分析に焦点をあて、前編と後編の二回に分けて紹介します。前編では、主にTreasure Dataの概要とその一般的な活用イメージを紹介します。
データプラットフォームとは?
Treasure Dataは、データプラットフォームの代表的な製品です。データプラットフォームとは、「データを収集し、蓄積し、活用するための基盤」の総称です(もう少し柔らかく言うと「データを一か所に統合して入れておくための箱」というイメージです)。
データプラットフォームは、昨今のトレンドでもある、”ビッグデータの分析、活用”を実践するための重要な基盤の役割を果たします。今回紹介するTreasureDataだけでなく、Googleなどさまざまな企業が独自のデータプラットフォームを提供しています。
(図1:データプラットフォームの説明図)
Treasure Dataとは?
Treasure Dataとは、トレジャーデータ株式会社が提供しているデータプラットフォームです。マーケティング施策で使用される1st パーティーデータや3rd パーティーデータなど、多種多様なデータを収集、分析し、外部のマーケティングツール、さらにはレポーティングツールへ容易に連携することが可能です。
(図2:TreasureDataとは?)
TreasureDataを導入することによるメリットは数多くありますが、あえて絞るのであれば「①社内データの一元管理による業務効率向上」「②高度な顧客分析による施策精度向上」の2つが挙げられます。
(図3:TreasureData導入のメリット)
(補足)CDPとDMPの違い
(図4:CDPとDMPの違い その1)
Treasure Dataを理解するうえで避けて通れないのが“CDP”という言葉です。CDPとは、カスタマーデータプラットフォームの略で、自社が持つ顧客のメールアドレスや電話番号、住所、年齢といった個人を特定可能な1st パーティーデータを格納することができるプラットフォームです。しばしば対比される存在としてDMPという言葉がありますが、DMPはデータマネジメントプラットフォームの略で、CDPとの主な違いは、DMPは個人を特定可能な1st パーティーデータを格納することに思想上の重きを置いていないという点です。CDPは、3rd パーティーや2ndパーティーデータだけでなく、個人を特定可能な1st パーティーデータまで、事実上あらゆるデータを顧客IDに紐づけて格納することができるプラットフォームです。昨今、One to Oneマーケティング、すなわち優良顧客のプロファイルデータの分析を通じたターゲティングや訴求の精度向上に注目が集まる中、それらを実現するためのデータ基盤としてTreasure Dataが採用されるケースが増えています。
(図5:CDPとDMPの違い その2)
Treasure Dataの活用ステップ
Treasure Dataの活用ステップは、(1)データ収集/統合、(2)データ分析、(3)データ活用 の3ステップにまとめられます。
(図6:Treasure Dataの構造図~収集から統合,活用まで~)
データ収集/統合
まず、データをTreasure Dataに溜める必要があります。収集/統合できるデータは、顧客データ、POSデータ、広告出稿データ、自社サイトのアクセスログデータのような1stパーティーデータや、気象データ、自社サイト外の行動データのような3rd パーティーデータに至るまで多岐に渡ります。ただし、何も考えず、すべてのデータをTreasure Dataに収集すればいいということはなく、“収集したデータで何がしたいのか”という目的を具体的に定めた上、収集すべきデータを選別し整理することが大切です。
データ分析
データをただ収集するだけや、収集したデータをそのままマーケティングツールにダイレクトに連携するだけでは、ビジネス課題の解決には繋がりにくいです。なぜならば、データを活用しビジネス課題を解決するためには、データからインサイトを発掘したうえで施策に活用することが重要だからです。
Treasure Dataを活用することで、蓄積されたデータをSQLで迅速に抜き出し、抜き出したデータの分析や可視化を通じ、インサイトを発掘することができます。
データ活用
データの分析や可視化を通じてインサイトをマーケティング施策に活用することで、収集・統合を行っただけの“眠った”データが、実際のマーケティング施策に活用可能な“生きた”データへと変貌します。例えば、分析結果をもとに独自のユーザーセグメントを作成し、そのセグメントごとの特徴を具体化することで、特定のユーザーに対して広告、メルマガ、プッシュ通知などでアプローチを行えるようになります。すなわち、適切な情報を適切な顧客に適切なタイミングで訴求することが可能になります。特に、個人情報を含む1stパーティーデータをもとにして精緻なセグメントを作成できる点が、マーケティング施策の精度向上に大きく貢献します。このように、顧客一人一人にとって心地よいコミュニケーションを実現できることがTreasure Dataの大きなメリットです。
まとめ
今回は、Treasure Dataによるデータ分析の高度化(前編)と題して、Treasure Dataの概要とその一般的な活用イメージを解説しました。後編では当社における実際の活用事例を紹介します。また、当社ではTreasure Dataなどのデータプラットフォームを活用した統合デジタルマーケティングを支援しています。ご興味・ご関心がおありの方は、こちらからお問い合わせください。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
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