GTMのサーバーサイドタグ設定でデータ計測をするメリット

2022.09.02

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近年、ユーザーのプライバシーに対する関心の向上に伴い、安全性と正確性を両立させるデータ計測の方法が模索されています。本記事では、サーバーサイドでタグを管理するGoogle タグマネージャー(以下、GTM)のサーバーサイドタグ設定について紹介します。

GTMのサーバーサイドタグ設定とは何か

サーバーサイドタグとは

GTMのサーバーサイドタグ設定とは、Googleが開発した新たなタグ管理方法です。これまでは、Googleのタグ管理ツールであるGTMをWebサイトに設置し、GTMで広告タグや解析タグの設置や発火を管理していました。データ計測時は、ブラウザのCookieを利用して一時的にブラウザ上にデータを保持し、Google広告やGoogleアナリティクスなどのサーバに送信するという方法をとってきました。

GTMサーバーサイドタグ設定は、GCPなどクラウドの仮想サーバ上にGTMサーバーコンテナを設置し、計測イベントをサーバに送信することでブラウザから離れたサーバ上でデータを分析したり、外部への送信を管理することができる機能です。

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図1:サーバーサイドタグを利用したGA4データ計測の仕組み

サーバーサイドタグが必要とされる背景

サーバーサイドタグが開発された背景として、ユーザーのWebサイトやアプリケーションなどデータセキュリティへの関心が高まりやデータの取り扱いに関する法規制の強化、ブラウザによってCookieに対する制限が強化されたことが挙げられます。これまでは、広告タグやアナリティクスタグにより自動で計測データを外部サーバに送信していたのが、計測データの管理についてこれまで以上に責任が求められるようになったことで、データの処理や外部への送信などをコントロールする技術が必要になったと考えられます。

サーバーサイドタグ設定のメリット

サーバーサイドタグ設定をおこなう3つのメリットを紹介します。

1.Webサイトのパフォーマンス向上
1つ目のメリットは、ブラウザの外で各種タグの管理やデータの処理をおこなうことで、Webサイトのパフォーマンスが向上することです。Webサイトのソースコード上にさまざまなタグが設置されている場合、それらをブラウザで読み込み処理しようとすると時間がかかり、Webサイトのパフォーマンス(表示速度)低下につながる可能性があります。必要なタグをGTMのサーバーコンテナ上で管理することで、処理するソースコードの量が減り、Webサイトのパフォーマンス向上につながります。

2.自社管理サーバーにデータを送ることによる安全性の担保
2つ目のメリットは、第三者がアクセスできない自社管理のサーバにデータを送ることで、データの安全性を担保できることです。通常の広告タグやアナリティクスタグを利用して外部サーバに送信する場合、タグが発火する際に意図しないデータが書き込まれ、計測されてしまう恐れがあります。GTMのサーバーサイドタグ設定をおこなうと、ユーザーのデバイスからサーバにイベントデータを送信し、サーバ内で各種タグに対応したデータの処理をおこなうため、意図しないデータを外部に送信したり、第三者に閲覧されるリスクを回避できます。

3.1st Party Cookieの保持期間をサーバ側で設定できる
3つ目のメリットは、サーバに計測対象サイトのサブドメインをマッピングすることによって、データ計測で利用する1st Party Cookieの保持期間を長期化することができることです。プライバシー保護を目的に開発されたITPの機能をもつSafariブラウザの環境下では、従来のデータ計測に利用されてきた3rd Party Cookieは即時削除され、JavaScriptにより発行された1st Party Cookieの期限は最長7日間に設定されます。サーバーサイドタグ設定では、計測対象のWebサイトと同じドメインのサーバからCookieを発行することで、ITPの対象とならず保持期間を長く設定することができます。

サーバーサイドタグ設定のデメリット

最後にサーバーサイドタグ設定のデメリットを紹介します。サーバーサイドタグを設定するには、GCPのようなクラウドサービスの利用が必要です。計測をおこなう際、GoogleアナリティクスやGTMの利用は無償ですが、クラウドに立ち上げたサーバの運用コストが毎月発生します。また、通常の計測タグ実装に加え、サーバの立ち上げ管理をおこなう必要があり、エンジニアの稼働が必要です。サーバを別部門が管理している場合、サーバにサブドメインをマッピングするために社内の他部門に依頼することも必要となるかもしれません。このように、GTMの操作だけでは完結できないことから、サーバーサイドタグ設定をおこなう際は、事前にコストを見積っておく必要があります。

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図2:サーバーサイドタグ設定のメリットとデメリット

まとめ

本記事では、具体的な実装方法に踏み込む前に知っておくべきサーバーサイドタグ設定の概要、メリットなどを説明しました。サーバーサイドタグ設定はデータの安全性を担保しながら精緻な計測をおこない、マーケティング施策をより効果的に運用していくうえで注目の技術です。前提となるプライバシー保護の潮流に関する内容や実装にあたってより詳細な内容を知りたい際には、お気軽に当社までお問い合わせください。

この記事の著者

島田 拓来

2015年アイレップへ入社。専門領域はGoogle アナリティクス、tableau®設計構築。SEO領域のディレクター業務を経てアナリストに。Google アナリティクス、Adobe アナリティクスのデータ活用のほか、ダッシュボード構築のプロジェクトが得意。

趣味:料理、料理動画を見ること

2015年アイレップへ入社。専門領域はGoogle アナリテ...

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