利用者が増加し続ける、コネクテッドTVとYouTube広告の活用方法

2022.05.31

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コロナ禍を経て生活者のさまざまな行動に変化が生れました。本記事ではYouTubeをはじめとする動画配信サービスを見る環境の変化と、それらを媒介に広告配信する際の利活用ポイントについて解説します。

ユーザーの動画視聴環境の変化

コネクテッドTVの普及と視聴ユーザーの増加

在宅時間が増え、家の中での過ごし方も変化してきました。インテージ社の調査では、インターネット結線によって動画やWebサービスを楽しむことができる“スマートテレビ”の普及率は2021年で約32%だと報告されています。つまり約3人に1名がスマートテレビが視聴可能な環境にあると言えます。

参考:https://gallery.intage.co.jp/smarttv/

コネクテッドTVでは従来のように地上波放送を視聴するほか、YouTubeや、TVerなどの動画配信サービスも視聴されています。実際に、当社が担当する複数案件からYouTube動画広告が配信されたデバイス内訳の平均値をみてみると、テレビ画面で配信されている広告が年々増加していることが確認できました。デバイスの普及により、今まではスマートフォンで視聴していた動画サービスも、テレビ画面での視聴にシフトしていると言えるでしょう。

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テレビ画面視聴の特徴

テレビ画面で動画を視聴する際、スマートフォンと比較すると大きく2つほど違いがあると言えます。

共視聴

言わずもがな、テレビはスマートフォンやPCといった、“個人視聴”に向いているデバイスとは異なり、リビングルームなどで大人数で視聴することができるデバイスです。コロナ禍をきっかけに視聴態度が変化し、“2人以上で動画を視聴する”ことが増えたユーザーが年代を問わず増加しています。共視聴はコンテンツを通して会話が生まれ、1人で視聴するよりコンテンツが記憶に残りやすい可能性も考えられます。

”ながら”視聴

これは弱点にもなるポイントですが、特にスマートフォンと比較するとテレビ画面は“何かをしながら”視聴されることが多いデバイスです。当社でおこなった独自調査では、以下の点が確認できました。

・テレビ画面で放映される広告は最初2秒ほど視聴されず、その後も興味がなくなれば視線を外されてしまう。
・スマートフォンで視聴している広告は必ず最初から目に入り、スキップできない広告であれば強制的に視聴させることができている。

広告の視聴完了にはテレビは不向きな可能性がありますが、テレビを視聴しながらスマートフォンを操作できる分、気になる広告があれば、その場で検索・購入してもらうこともできると考えます。

※独自調査
・実施時期:20223
・調査方法:集合会場調査。アイトラッキンググラス(視線計測可能な眼鏡)を用いてユーザーの広告視聴状況をメディアごとに計測。
・N数:20

どちらのポイントも、それぞれのデバイスに良し悪しがあります。これらの特性を無視せず広告プランニングしていくことが、これからの時代のメディアプランニングには求められると考えます。

テレビ画面を活用した広告事例

実際に、当社にて運用したYouTubeテレビ画面での広告事例を紹介します。

テレビCM放映と比較し、効率的にCV増加を実現した事例

とある広告主は、限られたユーザーに対してリーチ・CVを促したい意図がありました。テレビCMでは大量リーチが狙えますがターゲティングができず、費用が膨大にかかってしまっているのではないか、との仮説があり、ターゲティングが可能なYouTubeであればより経済的にターゲットリーチ・CV促進ができると考えました。
その仮説を実証するため、テレビCMとYouTubeの両方を放映するエリアと、YouTubeのみテレビ画面で配信するエリアを分け、CVの増分をもって成果を判断することにしました。

結果は、テレビCM+YouTube放映エリアと比較すると、YouTube単体エリアのリーチ量は1/10ほどで、フリークエンシーも半分ほどの量になりました。ですが、CVリフトが約2倍近く獲得でき、増分CPA換算するとYouTube単体エリアはテレビCM+YouTubeエリアの1/10の効率でCVを獲得できていました。もちろん配信量はYouTube単体の方が少ないですが、限られたターゲットに対して、効率的にCVを促せた事例となります。

※増分CPA:CV獲得において、次の1件を獲得するために必要なコスト

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まとめ

上記の事例はテレビCMやモバイルでの動画広告配信を否定するものではありません。今回は1ケースのみの紹介でしたが、テレビ画面での広告配信をうまく活用することで、効率よくプロモーションKPIを達成できるケースがあります。

旧来のようにスマホやPCのみでYouTube広告を視聴するのではなく、コネクテッドTVも視聴環境のひとつとなった生活者の視聴環境変化も見極めて、プロモーション目的に応じて手法を工夫し続ける必要があると考えます。

この記事の著者

浅田 実季

2017年にアイレップへ入社。入社時からメディア担当として媒体社へ常駐し、業種や領域を横断してプロダクト理解に長けている。2018年より獲得領域の運用やTVCMとデジタルを横断した戦略プランニング、効果計測立案に従事。

▼最近の趣味
人から勧められた本を片っ端から読む、業務後に華道に通う、観葉植物を順調に育てる

2017年にアイレップへ入社。入社時からメディア担当として媒...

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