ランディングページ(以下、LP)制作の必要性を理解していても、「設計のやり方がわからない」「うちのLPはこれで良いのかな?」というご相談を頻繁にいただきます。そこで、本記事では4つのステップでできる獲得LPの設計を解説します。
獲得LPとは
顕在層を購入に導く
記事LPが潜在層を購入モチベーションの形成から購入まで導くのに対し、獲得LPは顕在層を最短距離で購入に導く広告です。
潜在層とは、特定の分野において漠然とした悩みを持っているものの、自分では解消の方法がわからない状態のユーザーと定義されるため、広告主様の商品を購入してもらうまでにモチベーションを高める必要があるなど時間をかける必要があります。そのためには、広告感の少ない記事LPで商品やサービスに興味を持ってもらい、購入に対するモチベーションを高めなければなりません。
その商品に対する購入のモチベーションが高まったユーザーを顕在層と呼び、獲得LPで購入まで導きます。潜在層に対して記事LPから獲得LPまで購入までのモチベーションを高めて購入まで導くことも有効ですが、最初から顕在層をターゲットとして獲得LPに遷移させ、広告主様の商品を購入してもらうことも十分可能です。本記事では、顕在層をターゲットとした獲得LPの構成について焦点をあてて解説します。
※これ以降、「ユーザー」という言葉は顕在層を意味するのでご留意ください。
(図1:獲得LPの導線設計)
良い獲得LPとは
獲得LPを制作するうえで注意しなければならないポイントをまとめました。
(図2:獲得LP制作時の注意点)
ユーザーに広告主様の商品を購入してもらうには、①態度変容、②情報設計、③何をしてもらいたいのか、の3つのポイントを押さえることが重要です。ユーザー視点に立って、どんな情報をどのようなストーリーでユーザーに伝えて、どんな行動を起こしてもらいたいのかを考えましょう。制作側の一方通行的な情報の押し付けで、あれもこれも情報を紹介し、新商品の購入もイベントも来てほしいとゴール設定をしてしまうと、ユーザーがそれらを求めていなければ興味関心が下がって商品を購入してくれません。そうならないように、商品に対するユーザーインサイトを知る必要があるのです。
本記事では、初めて獲得LPにチャレンジすることになった、制作経験はあるがいつも「なんとなく」で作っている初心者の方に向け、ユーザーインサイトを知る方法はもちろん、競合LPの分析や獲得LPの構成案の作り方までを4ステップにわけて解説していきます。
ステップ1:ユーザーインサイトのリサーチ
ランディングページを作るうえで最も重要なのは、その商材を求めるユーザーのインサイトを知ることです。
例えば、男性をターゲットにした美容外科クリニックのLPで、CVポイントが無料カウンセリングと仮設定した場合で考えてみます。ターゲットが脱毛サロンに求めるものはなんでしょうか?院内の清潔さ、駅近、痛みの程度、効果、料金など人によって異なりますが、このようなユーザーのインサイトをリサーチによって洗い出し、どの要素がターゲットに刺さるのかを整理することで、獲得LPで何を訴求すれば良いのかがわかります。ゆえに、ユーザーインサイトのリサーチはとても大事なステップなのです。
ここからは、リサーチの一連の流れがイメージできるように「男性 脱毛 美容外科クリニック」をテーマに獲得LPを作ることになったとして話を進めていきます。はじめに、リサーチ方法を紹介します。
オーガニック検索
(図3:検索画面イメージ)
前述の例をキーワードにして、検索エンジンで検索してみましょう。そして、検索結果に出てきたWebサイトのタイトルやページの内容をチェックします。ページ内にはアンケート結果や実際の口コミ、ユーザーが気にする部分などが書かれている場合があるので、インサイトを分析する上で参考になります。ここはしっかり押さえてください。
SNS
(図4:SNSでの投稿イメージ)
SNSでの投稿を見てみましょう。実際にその商材を利用した感想やポジティブなコメントなどが投稿されていることがあるので、その投稿から商材に求めるニーズが紐解ける可能性があります。
テレビ
(図5:テレビ番組の特集)
稀ですが、テレビ番組の特集として取り上げられることがあります。インタビューを受けている人の声や商材の人気などをチェックしておきましょう。現在ではYouTubeのような動画サイトに投稿されていることも増えているので、合わせて調べてみると有益な情報が見つかるかもしれません。
口コミ
(図6:ポータルサイトでの個人の感想イメージ)
口コミサイトや個人ブログで書かれている体験談や感想は、ユーザーが気にしていることに触れている場合があります。これまでに紹介した他のリサーチ結果と被る内容が投稿されていたとしたら、インサイトである可能性が高いです。
ターゲットに近い人にヒアリング
(図7:知り合いに聞く)
社内や知り合いなどで、実際にその商材を利用したことがある人やターゲットに近い人がいれば、購入の決め手やどんなところを気にするのかなど聞くと良いでしょう。インターネットの情報とは違う情報が手に入ることもあります。その場合は、1つの意見として参考にするのが良いでしょう。
有料ツール
(図8:有料ツールイメージ)
最後に紹介するリサーチ方法は有料ツールです。有料なので、ランニングコストが発生するというデメリットはあります。しかし、これまでに紹介したやり方では見えてこないユーザーの関心や行動を効率的に知ることができるので、興味がある場合は導入を検討してみてください。
ステップ2:競合他社のLPを分析
競合他社のLPを分析します。具体的には競合の獲得LPがどのような構成でFV(ファーストビュー)※1からページ下部まで作られているのかを、コンテンツごとに箇条書きレベルで洗い出していく作業です。Excelなどの表計算ソフトで以下のように一覧で表すとわかりやすくなります。
ちなみにこの作業は、獲得LPの制作に慣れている中級者以上の方も多く実践していることなので、初心者の方もぜひ取り入れてみてください。
※1 FV(ファーストビュー):ユーザーがそのWebサイトやページに訪れた際、スクロールせずに最初に見える部分。見える範囲は閲覧環境やデバイスによって違う。英語は Above the fold 。
(図9:競合LP分析イメージ)
ステップ3:競合LPの分析から業界の王道と思われる要素を整理
分析した競合LPの情報を、ステップ2でご紹介した「(図9:競合LP分析イメージ)」の一覧表で見てみましょう。傾向や共通点が出てくるので注目してみてください。その際に、デザイン面での傾向も意識して見ると、分析の精度が上がります(詳細は後述)。
構成分析
今度は、競合LP分析から、構成上の傾向があるか分析してみましょう。
(図10:LP構成分析イメージ)
競合LPによって差はありますが、FVの訴求(コピー)や、それ以降に出てくるコンテンツの種類、文字量などが似ていることに気づくことがあります。競合他社も、ユーザーが求める情報やインサイトを研究し、どんな構成にしたら自社の商品を購入してくれるのか仮説を立てて獲得LPを制作しています。そのため、競合LPを分析することは、自社LPの構成案を考えるときの参考になるのです。
デザイン分析
(図11:デザイン分析)
広告主様のブランドイメージやデザインレギュレーションなどがある場合を除いて、デザイン面で傾向があるか競合LPから分析しましょう。主に①トンマナ・背景デザイン、②素材、③フォントの視点を持つことがコツです。
デザインを分析することのメリットは大きく2つあります。1つめは、業界によってデザインのトレンドを知ることができること、2つめは、デザイナーがデザインしやすくなることです。逆にデメリットとしては、デザイン表現の幅が狭まることですが、PDCAを回していくことで少しずつ改善できるので、初期制作においては大きな心配事にはなりません。
ここまで調査を進めれば、競合LPには、ユーザーインサイトに響く訴求やコンテンツが盛り込まれていることがわかるでしょう。このように分析することで、初心者の方でも構成意図が読み解きやすくなるのでおすすめです。
ステップ4:構成案を作成する
では、最後に構成案を作ってみましょう。やり方は、これまでのユーザーインサイトのリサーチと競合他社のLP分析を基にLPのストーリーを組み立てるだけです。下図を参考にしていただき、ご自身でもチャレンジしてみてください。
※多くの業界での再現性が出るようにしているため、景表法や薬機法などは意図的に考慮していない部分があります。
(図12:構成案)
まとめ
獲得LPは一度作ったら終わりではありません。たとえば、ユーザーインサイトが変われば獲得LPの構成も修正する必要があります。なぜならユーザーが求める情報に合わせて訴求する内容も適宜変えなければ、自社の商品は購入されにくくなるからです。
アイレップは市場や社会の動向を注視しつつ、広告主様に獲得LPの改修のご提案をしております。既に獲得LPを制作していて、成果改善で伸び悩んでいる企業様でも、ぜひお気軽にお問い合わせください。
▼関連資料
この記事の著者
伊東 陽平
出版業界で編集者・ライターを経て、広告代理店でWEBディレクターに転身。LP、比較サイト、オウンドメディア、ホームページなどの制作をおこない、マネージャーとなる。アイレップ入社後、クリエイティブの戦略設計やUXデザインなどキャリアを広げ、全社組織PJTや案件統括などにもコミット。
出版業界で編集者・ライターを経て、広告代理店でWEBディレク...