近年、デジタル技術の急速な進展とともに、働き方も大きく変化しています。フリーランスや複業※が広く受け入れられるようになり、個人が自分のスキルを最大限に活かして活躍できる環境が整いつつあります。
そのなかで、デジタル領域に特化したオンラインコミュニティ「DIGIFULベース」を運営する株式会社Hakuhodo DY ONEの取締役副社長執行役員 永井敦氏に、「DIGIFULベース」が目指す新しい働き方や、複業コミュニティの重要性について話を伺いました。
※複業:複数の仕事を持つこと。本業の傍らおこなう「副業」と異なり、すべての仕事が本業であるという考え方。
本記事は、書籍『ポートフォリオ型キャリアの作り方 「複業力」で変わる働き方、そしてお金と自由』のインタビューを一部抜粋して掲載しております。
染谷:今日はお忙しいなか、ありがとうございます。まず、「DIGIFULベース」について詳しく教えていただけますか?
永井:「DIGIFULベース」は、デジタル領域で活躍するフリーランスや、会社員として働きながら複業をおこないたい人材向けのオンラインコミュニティです。
多様なスキルや経歴を持つメンバーが、コミュニティを通じて情報交換をおこない、定期的な交流会を通じて関係を深めています。また、事務局主催の勉強会やメンバー主催の勉強会も定期的に実施しています。メンバー同士での仕事の相談も頻繁におこなわれており、将来的には新しいビジネスをともに創り出すことが期待されています。
染谷:それは非常に魅力的ですね。具体的にはどのような学びの機会が提供されているのでしょうか?
永井:「DIGIFULベース」では、統合デジタルマーケティングや、クリエイティブに関する知識を動画で体系的に学ぶことができます。デジタルスキルは現代のビジネスにおいて必須ですので、メンバーが常に最新の知識と技術を身につけられるよう、セミナーや動画学習コンテンツの充実に努めています。
染谷:それは素晴らしいですね。「DIGIFULベース」と並行して「DIGIFULコネクト」というクラウドソーシングサービスも運営されていますが、こちらについてもお話しいただけますか?
永井:「DIGIFULコネクト」は、デジタルマーケティングやDXに精通したプロフェッショナル人材を、マーケティングやコンサルティング、システムエンジニアリング領域の企業案件につなぐサービスです。せっかく複業やフリーランスとしてのスキルを持っていても、それを発揮できる場所がなければ意味がありません。
現在は、私たち博報堂DYグループの保有する案件が中心ですが、将来的にはより多くの企業案件に対応し、フリーランスや複業人材と企業を直接マッチングさせることを目指しています。これにより、「DIGIFULコネクト」の登録メンバーの可能性を広げると同時に、企業側も必要なスキルを持つ人材を効率的に見つけることができるようになります。
染谷:「DIGIFULベース」が目指している新しい働き方についてもお聞かせいただけますか?
永井:「DIGIFULベース」が目指しているのは、フリーランスや複業といった働き方が浸透し、個人が多様なスキルを持つことでキャリアの選択肢を広げ、経済的にも精神的にも豊かな生活を送れる社会です。
特に複業については、単なる収入の手段ではなく、自己実現やスキルアップの場として機能すべきだと考えています。現代社会は急速な変化を遂げており、ひとつの職業に依存するリスクが高まっています。複数の収入源を持つことは、個人が経済的な安定を保つためにも非常に重要です。
染谷:まさにその通りですね。では、複業コミュニティがなぜ重要なのか、詳しく教えていただけますか?
永井:仕事をするうえで、組織が提供する機能はやはり必要です。職場での人とのつながり、スキルアップの機会、プロジェクト参画による収入などが挙げられます。その同等の機能をコミュニティに持たせたいと考えています。
成功事例や失敗事例を共有することで、自分ひとりでは解決できなかった課題に対して新たな視点を得られることも大きなメリットとなります。また、複数の分野で活動するメンバーが集まることで、新たなビジネスチャンスやコラボレーションの機会が生まれることにも期待しています。
染谷:コミュニティが提供する心理的なサポートも重要ですよね。
永井:複業を始めることは非常にチャレンジングであり、困難な状況に直面することもあります。そのような時に同じ志を持つ仲間がいることで、励まし合い、困難を乗り越える力を得ることができます。このようなサポート体制も、複業コミュニティには不可欠な要素だと考えています。
染谷:そのようなコミュニティに参加して欲しいのはどのような人でしょうか?
永井:自己成長を求め、さまざまな分野でスキルを磨きたいと考える「すべての人」に参加してほしいです。特に、自分の得意分野を活かして新しい挑戦をしたい方、多様なスキルを持つことでキャリアの幅を広げたい方、他者との協力や情報共有を通じて、より多くの知識や経験を得たいと考える方には最適です。また、将来的に独立を目指している方や、スキルやネットワークを構築したいと考える方にも大いに役立つコミュニティだと思います。
染谷:コミュニティに積極的に貢献する意欲を持つ方が集まると、活動がさらに充実しますね。
永井:その通りです。自分のスキルや知識を他者と共有し、コミュニティ全体の成長に貢献する姿勢を持つ方こそが、コミュニティの発展を支える中心的な存在になります。異なるバックグラウンドを持つ人たちが集まり、互いに影響を与え合うことで、より豊かな学びと成長が期待できます。
染谷:話は変わりますが、企業側から見たときに、複業人材を活用するメリットは何ですか?
永井:複業人材を活用するメリットは、社内の人材だけでは解決できない場合に、多様なスキルを持つ外部人材を柔軟に活用できる点にあります。複業人材は複数の分野で経験を積んでおり、その視点やスキルを企業に持ち込むことで、革新的なアイデアや解決策を提供することができます。これにより、企業は新しいビジネスチャンスを掴みやすくなり、競争力を高めることができます。
染谷:それは企業にとって大きな利点ですね。さらに、企業の運営面での利点もありますか?
永井:もちろんです。複業人材をプロジェクトごとに必要なスキルを持つパートナーとして契約することで、必要な時に必要なリソースを効率的に投入することができます。これにより、コスト効率の高いプロジェクト運営が可能になります。また、複業人材のネットワークを活用することで、企業は新たな市場や顧客層にリーチし、成長の機会を拡大することもできます。
染谷:企業内部への新たな視点の導入も、非常に価値がありますね。
永井:外部からの新しい視点を取り入れることで、企業は自社の業務プロセスや戦略を見直すきっかけを得ることができ、内部のイノベーションが促進されます。我々は、今後もさらなるサービスの拡充を図り、企業のデジタル領域における課題解決とビジネス成長を支援するとともに、フリーランスや複業人材の活躍機会を創出し、多様な働き方の実現を目指していきたいと考えています。
染谷:今日は非常に充実したお話をありがとうございました。「DIGIFULベース」の今後の発展を楽しみにしています。
永井:こちらこそ、ありがとうございました。これからも頑張っていきます。
インタビュアーをされた染谷さんの最新著作『ポートフォリオ型キャリアの作り方 「複業力」で変わる働き方、そしてお金と自由』では、「複業力」をテーマに、さまざまな新しい働き方を学ぶことができます。興味のある方は、是非お読みください!
株式会社Hakuhodo DY ONE
取締役副社長執行役員
永井 敦
経営コンサルティング会社を経て、大手レンタルCD/DVDチェーン本部企業にて人事業務全般を経験。2005年よりデジタルマーケティング企業である株式会社アイレップに人事担当マネジャーとして入社。その後、経営企画業務を中心として管理部門全般を統括。2013年にCFO、2017年に副社長 就任。2024年、博報堂DYグループ内でデジタルマーケティング機能の組織再編を実施、アイレップ改め株式会社Hakuhodo DY ONE 副社長としてコーポレート部門全般の統括に加えて、マーケティングオペレーション部門も統括し現在に至る。
インタビュアー
株式会社MASH
代表取締役
染谷 昌利
12年間の会社員時代からさまざまな副業に取り組み、2009年にインターネット集客や収益化の専門家として独立。独立後はインターネットメディアの運営とともに、書籍の執筆・プロデュース、企業や地方自治体のIT(集客・PR)アドバイザー、講演活動など、複数の業務に取り組むポートフォリオワーカー。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。
当社がこれまでに得たデータや経験から、具体的事例・将来展望・業界の最新注目ニュースなどについて情報を発信しています。ニュースやコラムだけでなく、日常業務や将来のマーケティング施策を考えるときに役立つダウンロード資料や、動画で学べるウェビナーコンテンツも随時追加していきます。
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