第1部「成果を生み出す“最新のデータドリブンプロモーション”~実践編~」
第2部「アイレップオリジナル新データサービスのご紹介~キーワードデータを基にしたフルファネルマーケティング~」
第3部「Twitterにおけるキーワードデータの活用について」
(執筆:メディアマネジメント本部 第2メディアセールスグループ 牧 史也)
セミナー概要
2017年12月14日(木)、弊社株式会社アイレップにて、「2017総まとめ! データ活用セミナー~成果を生み出すプロモーション設計~」と題し、アイレップにおけるデータ活用戦略に関するセミナーを開催した。
第1部では、アイレップ 執行役員 帷 勝博が、アイレップのデータ活用プロモーションの考え方と、目標の設計と成果の視点から最新のデータ活用事例を語った。続く第2部では、同 データインテリジェンス本部 田伏 毅浩が、アイレップ独自の新サービス「Per-SONAR」を紹介し、第3部では同 メディアマネジメント本部 後藤 千裕がTwitterのメディア特性と、アイレップオリジナルツール「KeywordScope」を活用したターゲティング手法を紹介した。本稿では、このセミナーレポートを、以下に記載する。
セミナー開催の背景
データドリブンマーケティングの急速な普及により、デジタルマーケティングの考え方が大きく変わろうとしている。これまでは、「広告やSEOで効率的にターゲットユーザーを誘導すること」「誘導したユーザーをWeb接客により顧客化すること」「顧客化された人にCRM(カスタマーリレーションマネジメント)をおこなうこと」などがそれぞれ分断されて実施されることが多かった。しかし昨今では、DMP(データマネジメントプラットフォーム)の活用により、プロモーションからCRMまでをユーザー起点で統合し、高いLTVを実現するプロモーションならびにマーケティングの全体設計ができるようになった。
本領域に対してアイレップは、先行的に着手し、クライアントのビジネスに貢献するデータ収集・データ連携の手法開発と、それを用いたコミュニケーション設計に積極的に取組んできた。特にプロモーション領域では、最もクライアント企業が重視する「新規顧客へのアプローチ」にこだわり、様々なデータの中から、最も可能性が高いターゲットに対して、正しいタイミングで、親和性の高いクリエイティブを届ける手法を確立し、従来よりも大きな運用成果を提供することが可能となった。
そこでこの度、これまでアイレップが蓄積してきた、データ活用プロモーションの手法や戦略を徹底解説することに至った。
第1部 「成果を生み出す“最新のデータドリブンプロモーション”~実践編~」レポート
市場の変化とデータ活用フレームワーク
現在、多くの人々が多種多様なデバイスやメディアから莫大な情報に接している。誰でも容易に情報を得ることができるため、意思決定は高速化し、インサイト(購買意欲や消費行動を促す潜在的なきっかけ)も複雑化している。複雑化したインサイトを把握しターゲットとなる人物に広告を配信するためには、その人が「どんな人」で「どこに住んでいて」「何を求めているのか」を緻密に把握する必要がある。これまで、広告を配信したいターゲットは一部のWeb上の行動のみで判断され、完結していた。しかし昨今では、DMPに蓄積された様々なデータを統合し、分析することによって、複数の異なる視点からターゲットを推定することが可能になった。
本セミナーでは、具体的なデータ活用方法を「ターゲティング(誰に)」「クリエイティブ(何を)」「メジャーメント(どれくらい)」の3つに分類し、具体的にどのように活用できるのかを紹介した。
ターゲティング×データ活用
データを活用することで、ターゲットとなるユーザーを位置データから抽出することができる。
例えば「長距離移動を頻繁にするユーザー」に広告を配信したい場合、これまではエリアを指定した広告配信は可能だったが、実際に移動(出張や帰省)するユーザーをターゲティングにすることは困難だった。この課題に対し、DMPの居住地データを用いターゲットを特定することで、成果改善を実現することができるようになった。居住地データから2拠点に現れるユーザーを補足することで、移動する可能性が高いユーザーとしてターゲットに設定することができる。ターゲットユーザー以外の配信を抑制することで効率よく広告を配信することが可能になり、成果改善へつなげられる。
他にもデータの活用により、商圏内の競合店舗を把握して競合優位性を確立することや、テレビCMを視聴したユーザーに対して、テレビCMと連動した広告を配信するなど、様々なターゲティングができる。
これまで、インターネット広告を配信する際のターゲティングは、ユーザーのWeb上の行動と、それに対応した媒体の提供しているターゲティングロジックに依存していた。そのため、真のターゲットへ配信するには限界があった。しかし、データを活用することによってユーザーのWeb以外のオフライン行動まで把握し、またそれらを統合し分析することによって、真のターゲットにアプローチすることが可能になる。
クリエイティブ×データ活用
データ活用により、訴求すべき広告クリエイティブの明確化が可能だ。
商品購入やサービスを利用したユーザー(以下、CVユーザー)の年齢や性別、職業などのデモグラフィックデータと、ユーザーのWebサイト閲覧データを基に興味関心を分析し、統合することで、Webサイトに訪問するユーザー像を具体化させることができる。特にWebサイト訪問前後の分析を行うことで、CVユーザーにも様々な嗜好性があることを可視化でき、これまで認識できていなかった訴求軸の発見にも繋げられる。
広告を配信したいが、どういった訴求が良いのか判断できないというケースは少なくない。データの活用により、ユーザーの興味関心を可視化したうえで訴求軸を決定することができるため、成果が見込めるクリエイティブを配信することができる。
つまり、従来の広告プランナーやマーケターが依存していた訴求内容やクリエイティブから、仮説と根拠に基づいたクリエイティブによる広告配信が実現する。
データ×メジャーメント
データ活用により、広告効果を様々な形で測定することが可能になる。
Web動画施策を打ち、ブランド意向度を上昇させたいと考えている広告主は少なくない。これまで、動画の視聴完了数やリーチ数である程度の認知を把握することは可能だったが、認知後にブランドの意向度の変化を把握することまではできなかった。
データを用いることで、Web動画広告の施策評価の設定が可能になり、ブランド意向度も可視化することができるようになる。動画の内容からブランド意向度の定義をリスティング広告における「指名ワード検索量の増加」と設定し、ユーザーを動画接触層と非接触層に分類・比較することで、動画広告施策のブランド意向度を計測することが可能になる。
また広告施策による実店舗への来店を計測することも可能である。広告主が保有する顧客ID、販売店ID、収益管理センターIDなどを分析ツールと接続することで、ユーザー店舗の来店率、商品購入金額などを把握したうえで、様々な指標で広告施策を評価できると同時に、実店舗に来店するユーザーの傾向まで明らかにすることもできる。
データを組み合わせることで、Web上での商品購入やサービス利用に限らない評価指標を設定することが可能になり、広告主のご要望に合わせた広告施策の評価を実施することができる。
第2部 「アイレップオリジナル新データサービスのご紹介~キーワードデータを基にしたフルファネルマーケティング~」レポート
アイレップ新データサービス「Per-SONAR」
「Per-SONAR」とはアイレップが独自に開発した、フルファネルマーケティングを強化する分析システムツールである。
「Per-SONAR」はユーザーのWebサイト来訪時の検索キーワードだけではなく、Webサイト来訪者が日常的に接触しているキーワードまで取得し、ユーザーの一連の動きとして包括的に分析することで、Webサイト来訪につながりやすいユーザーのペルソナやインサイトを発見する。それにより購買ファネル上部にいる潜在顧客層に対して効果的なアプローチを実現する。
本サービスの開発背景には、ターゲットと実際のWebサイト来訪者との乖離の最小化により、広告効果を最大化させるという意図がある。広告プロモーションにおいて、ターゲットと実際のWebサイト来訪者の乖離は起こりうることだった。これは、Webサイト訪問者がどのような興味関心を持っており、どういった経路でCVに至ったのかを把握せずに、媒体のターゲティング機能を利用しているためである。
「Per-SONAR」はアイレップが特に強みとしている獲得ユーザーのデータを基に、検索キーワードからWebサイト来訪者のWeb上の動きを把握・分析することで、ターゲットユーザーの具体化と、このような乖離の最小化を実現する。
新たに可能になった分析
「Per-SONAR」はAudienceOne®(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社が開発した国内最大級のDMP)のデータを活用した情報取得が可能だ。ユーザーは様々な検索キーワードによって最終的に商品購入やサービス利用に至っているが、行動態度によって検索キーワードは異なる。「Per-SONAR」を用いることで、多種多様な検索キーワードを以下の手法で分析し、商品購入やサービス利用に至ったユーザー像を可視化することでできる。
例えば、あるECサイトにて水着を購入したユーザーのケースを想定し、その嗜好性を把握してみよう。
① 「ファネル分析」
初回にWebサイトへ流入したキーワードを分析することで、認知、比較検討、購入ごとのキーワードをファネル表示できるようになった(図1)。検討のきっかけとなったキーワードから、購入の決定打となったキーワードまで把握し、各ファネルユーザーの興味関心を可視化する。
(図1:ファネル分析(ECサイト流入時のクリックキーワードと、外部サイトでの接触キーワードをファネルに表示))
② 「パス分析」
検索キーワードを商品購入やサービス利用に至るまで時系列順に並べ、ユーザーの絞込み行動を可視化する(図2)。購入に至るまでの検索の傾向を把握することで、ユーザーがどういったものを求めているのか明確にすることができる。
(図2:パス分析(ECサイトで水着を購入したユーザーの検索キーワードの絞り込み経過を表示))
③ 「デモグラフィック分析」
Webサイト流入時の検索キーワードと、デモグラフィックデータを突合わせ、どういったユーザーが訴求したい商品を求めているか把握する(図3)。
(図3:デモグラフィック分析(ECサイトで商品を購入した全ユーザーの平均デモグラフィック情報と、水着を購入したユーザーのデモグラフィック情報を表示))
これらの分析を活用することにより、多様化するユーザーのインサイトを可視化し、商品購入やサービス利用の起点になっているニーズに対してアプローチ可能になる。また、競合Webサイト流入前に、自社広告の配信機会を増やし、競合優位性の向上が期待できる。
さらにクリエイティブに関しても、データを基に商品購入するユーザー像を具体化することで、そのユーザーの興味関心に合わせたクリエイティブ軸を明確化することができ、効果的な広告訴求が見込める(図4)。
(図4:3つの分析をもとに、クリエイティブを制作し、ターゲットに広告訴求)
第3部 「Twitterにおけるキーワードデータの活用について」レポート
Twitter広告とキーワードターゲティング
witterは現在、月間4,500万UU(ユニークユーザー)で、昨年と比較すると500万人以上の伸長を見せている。その理由として、特定のスマートフォンにデフォルトでTwitterアプリがインストールされていることや、30代主婦の女性、50代男性の利用が増加しているという背景がある。今やTwitterは若年層だけでなく、幅広い世代に利用されるソーシャルメディアとなっている。
Twitterは拡散力・伝播力が高いソーシャルメディアで、ユーザーは自身のツイートや、気に入った投稿のリツイートだけでなく、最新情報の検索や趣味の情報収集など、様々な情報源として活用している。Twitterを通じて得た情報から、商品購入やサービス利用の意思決定を行うユーザーは他のソーシャルメディアよりも多い傾向にあるため、Twitter広告を効果的に活用することで広告効果を高めることができる。ただし、Twitterは新鮮な情報を得る場という性質上、ユーザーは自分にとって新しく、有益である情報には敏感に反応するが、興味のない情報は見ないという傾向も有する。そのため、ユーザーの興味関心に合わせたターゲティングがより重要となる。
アイレップ独自開発 Twitterキーワードプランニングツール「KeywordScope(キーワードスコープ)」
Twitter広告の代表的なターゲティングとして「キーワードターゲティング」と「フォロワー(ハンドル)ターゲティング」がある。本セミナーでは、「キーワードターゲティング」の効果を高めるために開発された「KeywordScope」を紹介した。
「KeywordScope」とは、Twitter上のユーザーがどのようなキーワードを使用しているか把握するキーワードプランニングツールである。
これまで、キーワードターゲティング実施にあたって、Twitter上で語られるキーワードを的確に網羅することは難しく、キーワードを指定してターゲティングするキーワードターゲティングでは、リーチの拡大に限界があった。「KeywordScope」は、特定のキーワードとWeb上で同時に発信されるキーワードを発見することで、プランナーの知見に依存していたキーワードの網羅性の向上を可能にする。さらに、Twitterの投稿内容を分析し、一般的なキーワードだけでなくTwitter上で語られている特徴的なキーワードを見つけ出し、キーワードターゲティングにおけるリーチを拡大することができる(図5)。
(図5:「KeywordScope」を活用してキーワード「ノートPC」を分析し、Twitter語「パソ子」を捉える(イメージ図))
また、前述した「Per-SONAR」と「KeywordScope」を併用することで、より効果的なターゲティングが可能になる。「Per-SONAR」を利用し、CVユーザーのWeb行動データを、コンバージョンまでの距離をもとにファネル化する。「KeywordScope」でファネルの階層ごとに、検索されているキーワードを基に共起ワードを分析し、Twitter独自で使用されているキーワードまで発見する(図6)。これにより各ファネルにいるユーザーに対して幅広くリーチする事が可能になる。また各ファネルのユーザーのWeb行動データを分析することによって、ユーザーの興味関心を可視化し、それに相応しい訴求、クリエイティブを検討する事ができようになる。
(図6:「Per-SONAR」と「KeywordScope」を活用し、美容エステ店舗を利用したユーザーの興味関心キーワードをファネル型で捉える)
まとめ
データを活用し、ターゲティング、クリエイティブ、メジャーメントをそれぞれ利用することで、広告を配信すべきユーザーのターゲティング精度をより向上させ、インサイトを捉えたクリエイティブの訴求を可能にする。さらに配信した広告が、実際にどのような成果を出しているのか様々な角度から把握し、広告主が求めている成果に対して、よりダイレクトに貢献することが可能となる。
この記事の著者
DIGIFUL編集部
「DIGIFUL(デジフル)」は、株式会社Hakuhodo DY ONEが運営する「デジタル時代におけるマーケティング」をテーマにした、企業で活躍するマーケティング担当者のためのメディアです。
当社がこれまでに得たデータや経験から、具体的事例・将来展望・業界の最新注目ニュースなどについて情報を発信しています。ニュースやコラムだけでなく、日常業務や将来のマーケティング施策を考えるときに役立つダウンロード資料や、動画で学べるウェビナーコンテンツも随時追加していきます。
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